1986年、少年ジャンプにて連載がスタートした漫画『聖闘士星矢』。星座とギリシャ神話をモチーフにし、「聖衣(クロス)」を身にまとって戦う熱い男たちの物語は、日本中を熱狂させた。30代の男子ならば、縄跳びでネビュラチェーン(アンドロメダ瞬の代表的な技)のマネをした記憶があるのではないだろうか。その連載終了から20年以上経過した今年、4月1日よりテレビアニメとして、完全新作『聖闘士星矢Ω』の放送が開始された。

それを記念して3月30日に、東京の映画館「新宿バルト9」にて行われた「SEIYA NIGHT ─「聖闘士星矢Ω」ワールドプレミア」。日本の名古屋、大阪に加え、台湾、フランスのパリ、ブラジルのサンパウロにもライブビューイング会場が設置され、世界中で盛り上がる一大イベントとなった。その盛り上がりをたっぷりとレポートしていきたい。

深夜の1時スタート、朝の6時終了という遅い時間帯のイベントながら、キャストの人気声優たちがゲストとして参加するだけあり、女性客を中心に会場はほぼ満員。聖闘士星矢のモロ世代である筆者としても心の中で非常に盛り上がっていたが、スタートと同時にまず会場を驚かせたのが、MAKE-UPのNoBさんがいきなり登場し、アニメ聖闘士星矢の初代オープニング"ペガサス幻想(ファンタジー)"を熱唱したことだった。会場のボルテージはいきなりマックス。そして、その終了から間髪入れず、言わずと知れた影山ヒロノブさん(様といいたいほど)が登場。2代目のオープニング"聖闘士神話(ソルジャードリーム)"を歌い、参加者を熱狂の渦に巻き込む。

ペガサス幻想(ファンタジー)を熱唱したNoBさん

数多くのアニメ主題歌でおなじみの影山ヒロノブさんは聖闘士神話(ソルジャードリーム)を歌う

その後には、主役である光牙役の緑川光さん、蒼摩役の小西克幸さん、ユナ役の雪野五月さん、龍峰役の柿原徹也さん、エデン役の諏訪部順一さん、そして星矢役の古谷徹さんが登場。それぞれ挨拶し、会場は歓声に包まれた。プロデューサーの若林さんから、「原作の車田先生、テレビ朝日、東映アニメーションの三者で話し合いながら作ってきた企画です」と、原作の流れをしっかりと汲む新作であることを説明。緑川光さんよって紹介された車田先生の手紙に「新しい星矢を楽しんでください」とあることもそれを裏付けている。そして、第1話の試写となった。

光牙役の緑川光さん「世界中で応援しくれるファンのみんなの前でペガサス流星拳を打てるようになれればいいなと思っています」

星矢役の古谷徹さん「十数カ国行きましたが、星矢の人気が凄くて、また星矢はやらないのですか?とよく聞かれたのですが、ようやく念願かなって、再び星矢を演じることができました。感無量です」

ユナ役の雪野五月さん「子供のころに見てた作品に自分が出られるというのが信じられなくて、スタジオで古谷徹さんのペガサス流星拳というセリフを聞いて、本当に感動しました」

蒼摩役の小西克幸さん「『聖闘士星矢Ω』に参加していることが不思議に思います。夢見てる感じでオンエアまで油断できないです。違う人が声をやってるんじゃないのかって」

龍峰役の柿原徹也さん「今でも信じられない気持ちです。世界中でこんなに愛されている作品ですが、僕たちの世代、そして次の世代につながっていくような作品にしてきたいと思います」

エデン役の諏訪部順一さん「ブロンズ聖闘士になれて嬉しいです。中学生のころダンボールで自作の聖衣を作ったのを思い出しました。40歳になりましたが少年の心を忘れずに小宇宙(コスモ)を爆発させてがんばっていきたいと思います」

『聖闘士星矢Ω』は、かつて星矢によって封印された戦いの神で火星の守護者「マルス」の復活が迫る中、星矢によって命を救われ、アテナこと城戸沙織によって聖闘士(セイント)となるため育てられた「光牙」が主人公。その光牙がマルスに捕まったアテナを救うため、小宇宙(コスモ)に目覚め、旅立つというもの。

『聖闘士星矢Ω』のメインビジュアル (C)車田正美/東映アニメーション・テレビ朝日・電通

第1話ということもあり、光牙の過去、聖闘士になるための修行、マルスの復活、アテナが捕まる、それによって光牙が小宇宙に目覚ると、これからスタートする物語の序章的な意味合いが強い内容だが、赤ん坊の光牙を助ける射手座ことサジタリアスの黄金聖衣・星矢、少年となった光牙を鍛えるオピュクスの白銀聖闘士シャイナ、療養中の沙織を世話する執事・辰巳など、原作のファンならニヤリとしてしまうキャラクターが続々と登場。シャイナは小山茉美さん、辰巳は堀之紀さんと元祖『聖闘士星矢』と同じ声優となっているのもうれしいところだ。そして、光牙が小宇宙に目覚め、聖衣をまとい、あのポーズからペガサス流星拳を放つ一連の流れは感動もの。アテナを守るために熱く燃える光牙という図式は子供にもわかりやすく、まさに大人と子供が一緒に楽しめる内容だろう。親子で早起きして視聴する人も多くなりそうだ。そして、2話目以降で蒼摩など、だんだんと仲間が増えていく模様。熱い友情も聖闘士星矢の大きな魅力となっているだけに、光牙との絡みも非常に楽しみだ。

試写の後は、『聖闘士星矢Ω』のオープニング"ペガサス幻想ver.Ω"を歌うNoBさんと中川翔子さん(名義はMAKE-UP feat.中川翔子)が登場。さっそく2人で熱く歌い上げ、会場を盛り上げた。中川翔子さんはオープニングを歌い、アテナ役に抜擢されたことについて「まさかまさかの奇跡です」とうれしさを爆発させていた。NoBさんは「ペガサス幻想は100万回ぐらい歌っているけど、今日が一番嬉しかった」と上機嫌だった。

"ペガサス幻想ver.Ω"を歌うNoBさんと中川翔子さん

続いて、キャストのトークショーとなり、1話について古谷徹さんは「特に金色の人(星矢のこと)がよかった」と語り、緑川光さんが「金色の人に迷惑かけたくなかった」と続いたので会場は笑いに包まれた。さらに、第1話目にはゲストとして来場しているキャストのほとんどが出ていなかったと進行役からツッコミが入ると、小西克幸さんが「それは言っちゃダメ」と返し、会場は爆笑(第1話では、ゲストのうち古谷徹さん、緑川光さん、中川翔子さんが演じるキャラクターしか登場しない)。監督から「大事に一人ずつ出していきますので」と解説が入る。そこから、各キャラクターの解説となるが会場を沸かせたのが蒼摩役の小西克幸さん(38歳)の「14歳の役をがんばってます!」というセリフと、エデン役の諏訪部順一さんの「ミステリアスです。なぜなら、まだ本編で演じていないからです」とまだアフレコしていないことを告白したこと。エデンは強い、という断片的な情報だけが紹介された。

原作ファンが注目したいのは、柿原徹也さんが演じる龍峰。あのドラゴンの紫龍とその幼なじみである春麗の息子という設定で、父の奥義である"廬山昇龍覇"も放つというから登場が楽しみだ。雪野五月さんが演じるユナは、女聖闘士として生きる事への葛藤を抱きながらも、光牙たちとの出会いで少しずつ変わっていくキャラクターだという。

アテネ役について語る中川翔子さん

プロデューサーの若林さんから今後の展開について、「光牙がアテナを求めて旅に出て、その中で原作のキャラクターも登場するので、楽しみにしていてください」と説明。聖闘士星矢は人気キャラクターが多いだけに、誰が登場するのか気になるところ。

また、中川翔子さんはアテナ役について、「光牙の育ての母であり、女神であり、潘恵子さん(初代アテナ役)のイメージもあってプレッシャーがあったのですが、星矢の「うむ」というセリフで私の小宇宙が爆発して、そこから前向きにしっかりやりたいと思えるようになりました」と緊張した面持ちで語った。

そしてイベントのラストでは、古谷徹さんが「うおおおおおおおおお!!!!!! 燃え上がれ俺たちの小宇宙」、続いて緑川光さんが「ペガサス!」と叫び、最後は全員で「流星拳!!!」と右手を突き上げ、絶叫と会場が一体となって終了となった。

最後は会場全員で「流星拳」と叫び、ワールドプレミアは終了となった

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