腕時計のG-SHOCK向けには、昨年規格化されたばかりのBluetooth 4.0に含まれるBluetooth Low Energy(BLE)を初めて搭載した「GB-6900」を展示。国内では3月に発売予定で、米国でも今年中に販売予定だという。

GB-6900

BLEは、Bluetooth 4.0で規定された省電力のための下位規格で、通常のBluetooth 4.0のオプションとの位置づけになる。Bluetoothの電波を1~2秒おきに、間欠的に発することなどで電力消費を抑える。省電力のために電波到達距離、通信速度も抑えられているが、電力が小さく、時計メーカーが中心になって規格化したものであり、時計への搭載が期待されていた。

GB-6900では、BLEのチップを同社としては初めて搭載。BLEチップは小さく、電波・ソーラーが入るようなサイズの時計であれば問題なく搭載できるという。また、今回はバイブレーション用に振動モーターを搭載しているが、これが不要であれば女性用の中でも特に小さい時計にも搭載できるそうだ。電池消費は、1日12時間稼働として2年間の電池寿命であり、通常のボタン電池を使った場合とも遜色がない。GB-6900では、腕から外して置くと、センサーによって使用していないとみてBLEの電波を止める機能があり、2年間という電池寿命はこのBLE電波の停止時間を除く12時間稼働し続けたと仮定した。

BLEには、プロファイルとしてTime Profile(TIP)、Phone alert status profile(PAS)、Alert notification profile(ANPS)、Find me profile(FMP)という4つのプロファイルがあり、送受信する双方の端末がプロファイルを持っていれば、それぞれの機能を実現でき、主に時計とスマートフォンとの接続が想定されている。

TIPは、スマートフォンの時刻を受信して時計の時間を修正する機能。スマートフォンは基地局から正確な時刻情報を受信しており、それによって時間を合わせる。同様に、海外についてこの機能を利用すれば、時差を合わせる必要もない。ANPSは、スマートフォンが受信したメールや電話の送信者・発信者名を時計側に表示し、バイブレーションで知らせてくれるといった機能を備える。PASは、時計からスマートフォンの操作が可能になる機能で、GB-6900では、時計の画面をダブルタップすると着信音を止めるといったことが可能。FMPは、スマートフォンと時計が一定距離(2~5m)を離れたらと警告したり、時計からスマートフォンを鳴らしてどこにあるかを探すといった使い方ができる。

着信があったところ。発信者が表示され、時計自体のダブルタップでミュートなどができる

音楽プレイヤーで楽曲名が表示されているところ

こちらはFind me機能を使ったところ。時計からの指令で、スマートフォンの音が鳴る

PCに近づいたり離れたりするだけでログイン、ログアウトができる

オムロンの血圧計にBLEを搭載してスマートフォン、G-SHOCK感でデータをやりとりしている

BLEの登場により、腕時計とスマートフォンを中心に、音楽プレイヤー、車、テレビ、PC、自転車、ヘルスケア端末、ゲーム機など、さまざまな機器が対応することが期待されている。カシオによれば、時計に関してはシチズンやセイコーエプソンを始め、世界のさまざまな時計メーカーの採用が決まっているという。

スマートフォンでは、すでにNECカシオモバイルコミニュケーションズが対応機種を用意しているほか、iPhone 4SはBluetooth 4.0を搭載し、BLEにも対応している。ただし、プロファイルがインストールされていないため、これが搭載されれば、iPhone 4SでもBLEが利用できるようになるそうだ。カシオでは携帯メーカーや携帯キャリアにも声をかけており、メーカー側の反応は良好。コスト上昇もわずかで消費電力もほとんど増えないため、今後多くの機種に搭載される見込みという。

将来的には、BLE搭載腕時計をしたままPCに近づくとログイン、離れるとログオフする、血圧計の情報をスマートフォン経由で腕時計に送信する、高度計やGPSと連携する、などといったさまざまな用途が検討されており、低消費電力で手軽に使える無線通信として、カシオでも大きな期待を寄せているようだ。

将来的な展望として、さまざまな機器につながることが想定されている