シマンテックは13日、ノートン2012関連製品を発表した。また同時に「ノートン ネット犯罪レポート」の最新状況の報告が行われ、ネット犯罪の規模の大きさ、莫大な被害額などが示された。その内容については、こちらの記事、もしくは同社Webサイトを参照してほしい。
次いで、ノートン2012の発表とデモンストレーションが行われた。まず、システム要件であるが、対応OSはWindows XP SP2以降、Vista、7。基本的にOSが動作する最少要件を満たせば問題ない。迷惑メール対策に対応するメーラーは、Outlook 2002から2010、Outlook Express 6.0、Windows Mail。対応するWebブラウザは、Internet Explorer 6.0、Mozilla Firefox 3.0、Google Chrome 10以上のバージョン。
ダウンロード版は9月13日より、パッケージ版は9月16日より発売開始となる。価格はオープン価格であるが、推定実売価格は、ノートン インターネット セキュリティ2012が6,480円、ノートン アンチウイルス2012が4,980円となっている。他にもニコニコパックなどの、異なるパッケージもある。詳しいシステム要件なども含め、シマンテックの公式ページにて確認してほしい。
ノートン2012の新機能および改良点
やはり、注目したいのは、新機能や改良点である。インストールして気がつくのは、GUIがに改良が加えられたことだ。図3はメイン画面であるが、日常的によく使うものだけで構成され、よりシンプルになった。
他にも設定画面などが刷新された。今回の変更はユーザーからの声を反映したものが多い。たとえば、拡張表示ではCPU使用率が復活した。これは、2011でなくなったものであるが、ユーザーからの強い要望で、グラフはないものの復活したものである。
機能面では、IDセーフインザクラウドに注目したい。従来のIDセーフは、PC上にIDやパスワードを保存し、オンラインショッピングやネットバンキングの際に、自動的に入力する機能である。いちいちIDやパスワードを入力する煩わしさから開放され、キーロガ-などへの対策にもなる。IDセーフインザクラウドは、そのプロファイルをクラウド上におくことが可能となった。これにより、ノートン インターネット セキュリティ2012がインストールされた他のPCからもIDやパスワードが共有できるようになる。プロファイル自体にもパスワードがかけられており、さらに、ノートンアカウントによる2重の防御が行われている。
また、実際の入力方法も変更になった。従来のIDセーフでは、新規保存の際に、ポップアップが表示されていた。そのためWebページの一部が見えなくなってしまった。2012では、メッセージバーが表示されるようになり、Webページを隠してしまうようなことがなくなった。
ノートンマネージメントも新たな機能である。ノートン インターネット セキュリティ2012では、3台までのPCにインストールができる。たとえば家族で使っている場合、子供のPCのライセンス期限はどうなっているのか?最新版にアップデートされているかなどを確認する必要もある。もし、別居している家族などの場合には、確認に手間暇がかかる。そこで、ノートンマネージメントでは、インストールの有無、状態の確認、有効期間などの情報をクラウド上に保存する。これにより、PCが起動していなくても、現在の状態を確認し、問題解決などを行うことができる。
家族といえども、勝手にPCを立ち上げたりすることは、避けたいこともある。ノートンマネージメントを使えば、家族といえどもプライバシーを侵害することもない。クラウド上にあるので、どこからでも管理を行える。また、回線状態に応じて、ネットワークの使用状態(帯域幅)を設定できる。具体的には遅い回線を使用している場合など、プログラム更新では大きなダウンロードが発生し、他の操作に影響を与えてしまう。たとえば、[重要な更新のみ]を選択すると、定義ファイルの更新のみリアルタイムに行い、プログラム更新は行われない。3Gを経由してデザリングを使うなどといった場合など、遅い回線で効果的な設定といえる。
次に、セキュリティバッジである。これは、検索結果などに「Norton Secured」とバッジが表示される。このバッジがついたサイトは、ベリサインのSSL証明書によって証明され、暗号化されたサイトであることを示す。これまでも、ノートンセーフウェブで検索結果をアイコンで評価してきたが、より高い安全性を判断できる。
システムの安定性の向上にも寄与
ノートン2012では、システムの安定性についてもいくつかの機能が強化・追加された。まずは、ダウンロードインサイトで安定性の評価が追加された。従来のダウンロードインサイトでは、ノートンコミュニティにおいて、どのくらいのユーザーが使用していて、安全かどうかを評価していた。2012では、さらに安定性にも着目している(図10)。
そのプログラムをインストールした結果、ブルースクリーンになってしまうなどのクラッシュの可能性を評価するものである。これは、1か月間で他のPCでそのくらいクラッシュしたかという数値をもとに判定される。マルウェアはもちろんであるが、クラッシュの原因となるプログラムもまた、注意すべきものである。 そして、スタートアップマネージャも新機能の1つである。スタートアップマネージャは、ノートン360ではすでに搭載済みの機能である。PCの起動が遅くなってしまった場合などに、不要なプログラムをオフにしたり、起動のタイミングを遅らせることができる。
必要最低限のプログラムとすることで、PCの起動を高速化できる。また、パフォーマンスの改善も行われている。2012は2011と比較して、スキャンで30%、起動時間で17%、ファイルコピーで24%の高速化が図られたとのことである。防御力と同時に、安定性や高性能を提供されたことを強調していた。
新たなメンバーシップベースサービス:Norton One
シマンテックでは、複数デバイスで個人ユーザーを守るパーソナライズドサービスである、Norton Oneの提供についても発表した。背景には、個人でも、デスクトップPC、ノートPC、タブレット、携帯電話など、複数のデバイスを所有することが一般的になっている。PCのみを守っていればよいという時代は終わり、これらのデバイスも同時に、しかも連携して脅威から守る必要がある。
シマンテックでは、Norton Oneにより、ユーザーの所有するデバイスやはニーズに合わせた最適なソリューションを自由に選択し、組み合わせることができる。特に、ライセンスを別な機器に移行したり、使用しなくなった機器がある場合は、ライセンスの削除といったことも可能になる。スマートフォンなどでは、買い替えなどの機会も少なくない。また、家族などでPCの変更もあるだろう。このような場合にも、柔軟に対応できる。実際のサービス提供は、2012年前半を予定している。