2011年7月7日よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて毎週木曜日の24時45分(※初回のみ25時~)より放送開始となるTVアニメ『うさぎドロップ』。宇仁田ゆみ氏の人気コミック「うさぎドロップ」(祥伝社・フィールコミックス)を原作とする本作は、宇仁田氏初の映像化作品として大きな注目を集める。

TVアニメ『うさぎドロップ』は2011年7月7日よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始

独身男・河地大吉が急に女の子・鹿賀りんを育てることになり、右往左往しながらも、次第にふたりが「家族」として成長していく様を絶妙なタッチで描いた『うさぎドロップ』は、2007年度このマンガがすごい! オンナ編第5位を獲得。松山ケンイチ主演の実写映画も2011年8月20日の公開が予定されている。

放送を直前に控えた今回は、TVアニメ『うさぎドロップ』で、TVアニメ初監督を務める亀井幹太監督が語った作品の魅力を紹介しよう。

亀井幹太監督が語るTVアニメ『うさぎドロップ』の魅力

――劇場アニメ『テイルズ オブ ヴェスペリア ~The First Strike~』で初監督を務められた亀井監督ですが、今回はTVアニメということで、何か気持ちのうえで違いはありますか?

「映画の場合は、その作品が好きな人をはじめ、興味のある方がお金を払って観に来てくださるわけですよ。でも、テレビの場合は、もちろん原作付きなら原作ファンの方も観てくださると思うのですが、それにプラスして、何の気なしにテレビをつけた、作品自体に興味のない方も視聴者になりますので、そのあたりに少し差があるのではないかと思います。いずれにせよ、やるにあたっては不安しかないですよね」

――最初に監督を依頼されたときはいかがでしたか?

「まずは『こういう話があるんだけど、どう?』って聞かれたんですけど、ちょっとそこは悩みましたね」

――TVシリーズの監督をやってみたいという気持ちはありましたか?

「ちょっと微妙な感じなんですけど、自分の場合、特に監督をやりたいというわけではないんです。ただ、面白い作品を、皆さんに観てもらいたいと思ったとき、それをコントロールできるのはおそらく監督という仕事になるわけですから」

――引き受けるにあたってどのようなところで悩みましたか?

「まず、『何で俺に?』ってところですよね。もともと原作が掲載されている雑誌の読者層はOLの方がメイン。それをおっさんがどうやって料理すればウケるんだ、みたいなところで悩みどころがけっこうありました。それで、最初に話を持ってきてくれた中武(哲也)プロデューサーに、『何でオレ?』って聞いたんですよ。そうしたら、すでにその段階で、彼は脚本家にもアプローチしていて、その脚本家の方はちょうど子育ての真っ最中だと。そこに子育て経験もないおっさんである自分を組み合わせることで、何かが出るのではないかという計算があったらしいです。なかなかの策士ですよね」

――話を最初に聞いた段階で原作の『うさぎドロップ』はご存知でしたか?

「まったく知らなかったです。話を聞いたときに原作を渡されて読んでみたところ、本来だったらありえないシチュエーションで始まるんだけど、そんなところをまったく気にしない状態で、大吉とりんがお互いに成長していくところがとにかく面白かった。あと、これはマンガの持ち味だと思うんですけど、何か事件が起きても、それがあまり重くならない。シリアスな展開にいちいち持っていかないところが好印象でした」

――原作を読んだときにアニメーションの絵は浮かびましたか?

「そこまでいかなかったですね。まだ、できるかどうかの判断すらしていなかったので」

――どの段階でいけるという判断をなさいましたか?

「読み終わってみて、まず面白いと思ったので、その段階でぜひやってみたいという気持ちになりました。映像という意味では、原作もそうなのですが、とにかくりんのアップの笑顔だけじゃない可愛さ、そういうところがうまく描けるのではないかと思いました。あとは、大吉の家ですね。ちょっと古めの日本家屋といった感じが、絵的にも面白くなるのではないかと。そのあたりは、背景さんの力が大きくなりますけどね」

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