UQコミニュケーションズは6日、同社が取り組む次世代モバイル通信規格「WiMAX 2」のフィールドテストを報道陣向けに公開した。WiMAX 2は、現在のWiMAXよりも高速な、下り最大330Mbpsを実現する無線技術で、UQでは今後実験などを続け、「2013年の早期にスタートさせたい」 (野坂章雄社長)考えだ。
UQが提供している高速無線サービス「UQ WiMAX」は、2009年7月1日の有料サービス開始以来順調に契約数を伸ばしており、11年3月に80万契約、11年6月に100万契約を突破。12年3月末には200万契約を目標としている。基地局は10年3月で7,000局、11年5月で15,000局まで増やし、12年3月末には2万局に達する見込み。
地下街を始め屋内でのサービスエリア化も進めており、2012年3月末までには都営地下鉄・東京メトロの地下鉄トンネル内でもサービスを提供していく計画で、今年3月末で全国の実人口カバー率は72%、東名阪地域では同99%に達している。当初USBドングルタイプの端末からPC内蔵へと対応端末が増え、最近はポータブル無線LANルータータイプが登場し、タブレット端末やスマートフォンのような無線LAN対応機器の増加が契約数増加に大きな役割を果たしている。KDDIから発売されたWiMAX内蔵スマートフォン「HTC EVO WiMAX」も順調だという。
1年契約を前提とした料金プラン「UQ Flat 年間パスポート」の月額3,880円という通信料金も特徴。自宅のブロードバンド回線と外出先のモバイル回線をWiMAXでまとめることによって、回線設置工事もなく、全体として低コストでブロードバンド環境が実現できることができるのもユーザー数増加に寄与しているそうだ。
WiMAXは、高速・大容量・低遅延という特徴を備え、モバイルデータ通信でありがちな容量制限もないため、大容量のデータ通信の要望にも対応できる。ただ、2011年見込みで月間トラフィックが7GB、15年には10GBに達するというPCのデータ通信量の増大、15年には10年比で約14倍に増加するモバイルデータトラフィックという予測を考えると、都市部の混雑地域では「2012年度中にはWiMAXもオーバーフローする」(同)危険性がある。
通信機器の増大によるトラフィックの急増への対策では、基地局をさらに増やして密度を増やす(1つの基地局がカバーするセルエリアを狭くする)という方法があるが、特に都内ではすでに200~300m間隔で基地局を設置しており、「これ以上(セルを)縮小しても隣接する基地局間で干渉が発生し、かえって品質が劣化する」(同)状況で、セル縮小の上限が近づいているそうだ。