Microsoft Moneyが担った資産管理ツールの歴史

Microsoftは以前から、個人資産管理ツールとして「Microsoft Money」シリーズを発売してきた。ファーストバージョンは1998年だが、ベースとなる英語版は1991年と、Windows 3.0の時代から続いた長い歴史を持つソフトウェアである。元々米国では、MS-DOS時代から発売されていたQuickenという、同種のツールが圧倒的シェアを持っているため、Microsoft Moneyは後塵(こうじん)を拝することになった。

だが、前述のQuickenは日本語版をリリースしていない。その理由として考えられるのは、日本は欧米に比べて、自身の資産管理を行う習慣が少ないからではないだろうか。「日本には家計簿があるではないか」という声が聞こえてきそうだが、そもそも個人資産管理ツールとは、入出金に加えて株式や外貨預金、投資信託や債券、ストックオプションなど様々な金融商品もサポートしなければならない。つまり、家計簿ソフトでは、自身の資産全体を見回すことができないのだ。

また、日本の納税システムが電子化されたのはここ数年来の話。個人認証にICカードが必要になるなど、ソフトベンダー側の努力だけで参入するのが難しかった経緯がある。また、企業における会計システムも米国とはルールが異なるなど日本独自の習慣によって、最大シェアを持つQuickenを日本市場に導入することは難しかったようだ。蛇足だが、Quickenの発売元である米Intuit(インテュイット)社は日本法人を設立し、会計ソフト会社を買収して展開していたが、2003年に米国本社から分離独立して、社名を弥生株式会社に変更している。

このような背景を持つ個人向け資産管理ツールのなかでも、日本語化を推進してきたMicrosoft Moneyの存在は、日本国内に同ツールの存在を示す大きな役割を担っていた。しかし、それでも国内で資産管理ツールを使う習慣は根付かず、2009年9月末を持って販売終了。最終バージョンは2007年に発売されたMicrosoft Money Plus Editionである。

詳しいバージョンは覚えていないが、筆者もオンラインバンキングと連動するようになった頃からMicrosoft Moneyを使っていたが、先の販売終了に伴い、それまでの資産管理をMicrosoft Excelへ移行した。記憶からMicrosoft Moneyの名が薄れてきた頃に現れたのが、今回紹介する「Microsoft Money Plus Sunset Deluxe日本語版」だ。

同アプリケーションの特徴を端的に述べれば、前述の最終バージョンからオンライン連携機能を廃しつつも、オンラインバンキングなどの電子明細は従来どおりサポートしている。また、銀行口座や株式、証券などの資産を一元管理する機能も基本的にはそのまま。これらの機能を無償で使用できる。

それでは導入方法から確認してみよう。セットアップはダウンロードサイトにアクセスし、ダウンロードしたセットアップファイルを実行するだけだ。なお、推奨ダウンロードファイルとして、「Money Plus Local Help Files - 日本語」が列挙されているが、こちらはあらかじめ含まれているので、別途ダウンロードする必要はない(図01~02)。

図01 リンク先からセットアップファイルをダウンロードする

図02 セットアップ時はMicrosoft Money Shared Librariesの展開などが必要だが、ユーザーは画面の指示に従って進めるだけでよい