これまで3回にわたり「Acronis True Image Home 2010」を用いたバックアップと復元を解説してきたが、今回はAcronis True Image Home 2010のバックアップ・復元をサポートする機能やオプション設定などを解説していく。今回対象にするにはAcronis True Image Homeシリーズではお馴染みの、Acronisセキュアゾーンやリカバリマネージャ、一時作業環境を実現するTry&Decideだ。

ゼロからはじめる「Acronis True Image Home 2010」 - 最新版2010の新機能とインストール
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ゼロからはじめる「Acronis True Image Home 2010」- バックアップイメージからデータを復元

最初にオプション設定を確認する

第4回の最初は、Acronis True Image Home 2010のオプション設定から確認しよう。アプリケーションを活用する場合、本来は最初に確認し、自身のスタイルに合わせて設定すべきものだが、大半の項目が万人向けに調整されているため、極端な表現だがオプション設定を行なわずとも、Acronis True Image Home 2010を使用する上で大きな問題とならない。だが、Acronis True Image Home 2010をより活用しようと考えた場合、オプション設定を確認し、変更した方があらゆる場面に有利となる。もちろん総花的な解説は必要なく、同様の役割はマニュアルが担っているので、ここでは設定しておきたい重要なポイントのみ取り上げていこう(図01~02)。

図01 メイン画面にある<ツールとユーティリティ>をクリックすると表示されるメニューから<オプション>をクリックする

図02 オプションダイアログは画面左側にカテゴリが並び、選択するとサブカテゴリが展開される仕組みだ。画面右側には選択したサブカテゴリの設定項目が表示される

「バックアップオプション」に並ぶサブカテゴリは、主に「バックアップウィザード」のオプションステップやバックアップオプションの設定と同じだが、ここでウィザードの初期状態を設定できるため、必要であれば事前に設定する。同カテゴリのポイントは「リムーバブルメディアの設定」。これはバックアップデータをリムーバブルメディアに保存する際、Acronisコンポーネントをメディア上に配置するか否かを選択するというもの。

初期状態では<リムーバブルメディアにバックアップアーカイブを作成する際に最初のメディアの挿入を求める>のみ有効で、ブータブルレスキューメディア作成時に用いた「Acronis True Image Home(完全版)」などは無効になっている。もちろんAcronisコンポーネントを追加すると、リムーバブルメディアで使用できる容量は減ってしまうが、肝心の復元操作を行うアプリケーションが存在しないと作業を始められないので、メディア枚数よりも利便性を高めたい場合は、必要なAcronisコンポーネントを有効にしておこう(図03)。

図03 <リムーバブルメディアの設定>を選択すると、リムーバブルメディア上にAcronisコンポーネントの導入が可能になる

「リカバリオプション」もバックアップオプションと同じように、復元時に使用する「リカバリウィザード」のオプションステップやリカバリオプションの設定を行う。こちらのカテゴリは特筆すべきものはないが、やはりウィザードの操作を簡略化するため、事前に必要なオプション設定を行うといいだろう(図04)。

図04 「リカバリオプション」で行う設定項目は、いずれも「リカバリウィザード」からでも設定できるため、ここで設定しなくともよい

「ローカルストレージの設定」も前者二つと同じく、オプション設定で設定できるものが大半だが、サブカテゴリに属する「HDDの書き込み速度」「ネットワークの接続速度」はあらかじめ設定しておいた方が便利だ。フォアグラウンドアプリケーションやネットワークアプリケーションそれぞれのパフォーマンスに大きく影響を及ぼすため、あらかじめここで設定しておこう。筆者が確認した限りだが、ほかの作業を行いながらバックアップを作成するのであれば、いずれも半分程度にした方が負荷も少なかった(図05~06)。

図05 「HDDの書き込み速度」はバックアップ処理時間を優先するか、フォアグラウンドアプリケーションの快適さを優先するかで選択すればよい

図06 「ネットワークの接続速度」も同じように、バックアップ処理時間を優先するか、ネットワークアプリケーションのパフォーマンスを優先するかで選択する

バックアップデータの安全性を高めるのであれば「バックアップの予備コピー」の設定も行おう。文字どおり複数のバックアップデータを作成するというものだが、バックアップ先としてUSBドライブやネットワーク上の共有フォルダを選択できるため、冗長化設定を行うのであれば、必ず有効にしておきたい。

また、「アーカイブの検証」は前述のとおり、Acronisバックアップイメージファイルの検証を行うオプションで、先ほどウィザードのステップオプションで設定したものと異なり、バックアップ作成完了後に整合性のチェックを行う。Acronisバックアップイメージは通常のファイルと同じく、不意のクラッシュで破損しないとも限らないので、ベリファイオプションを有効にし、全体的な安全性を高めておこう(図07~08)。

図07 「バックアップの予備コピー」でUSB-HDDやネットワーク上の共有フォルダを選択すれば、バックアップデータの二重化を実現できる。またバックアップファイル形式も選択可能だ

図08 「アーカイブの検証」にある<作成後にバックアップアーカイブをベリファイする>はバックアップ実行後にデータ内容を検証するオプションだ

「検索オプション」にある「デスクトップ検索オプション」は、AcronisバックアップイメージファイルをWindows SearchやGoogleデスクトップといったデスクトップ検索に対応させるためのオプションだ。前者を例に解説すると、同オプションを有効にすることで検索フィルタがWindows 7に組み込まれ、Acronisバックアップイメージファイルの拡張子である「.tib」が検索対象になるというものだ。

「インデックスのオプション」の「詳細オプション」ダイアログから「.tib」を選択し、<プロパティとファイルのコンテンツのインデックスを作成する>を選択すれば、Acronisバックアップイメージファイルの内容もインデックス化されるため、バックアップデータから特定のファイルを復元する際に大きく役立つ(図09~10)。

図09 「デスクトップ検索オプション」は、Acronisバックアップイメージファイルを検索対象に加えるためのオプション。<Googleデスクトップ>は同アプリケーション導入時に選択可能となる

図10 図09の画面で<Windows Search>にチェックを入れてから、「インデックスのオプション」からたどると、Acronisバックアップイメージファイルの拡張子である「.tib」が検索対象として登録される

最後は「通知」にある「電子メール」。バックアップや復元処理は数時間に及ぶこともあるため、その間離席し、ほかの作業を行うのが効率的だ。その際のバックアップもしくは復元処理完了を電子メールで通知可能にするのが本オプション。使用するSMTPサーバーや、送信元および送信先となる電子メールアドレスを入力しよう。「その他の電子メールパラメータ」ダイアログでは、POP before SMTPや暗号化といった設定も用意されているため、使用環境に合わせて設定しよう(図11~12)。

図11 「電子メール」ではバックアップおよび復元処理完了後の通知を電子メールで送信するオプション。SMTPサーバーや電子メールアドレスといった設定を行う

図12 <その他の電子メールパラメータ>をクリックすれば、POP before SMTPやSSL/TLSによる暗号化設定を行うダイアログが起動する