プレミアムオートは、ボディ上面のAUTOボタンで切り替えて選択できるほか、ベストショットメニューからも選択できる。左上から2番目の「P」が付いたアイコンだ

冒頭でも触れたとおり、EX-Z2000における最大の魅力は、ただシャッターを切るだけで目を見張る高画質画像を紡ぎ出す「プレミアムオート」モードだ。2基のCPUを搭載した映像処理エンジン「エクシリムエンジン5.0」が可能にした、桁外れに複雑な処理を実行する革命的オートモードの誕生。それは、デジタルカメラの歴史に新たなページを刻んだといっていいだろう。

プレミアムオートの骨格は、膨大な状況判断と補正処理である。フォーカスはどこに合わせるべきか。また、その被写体は物か、人物か、風景か。光は順光か、逆光か。そして撮影後は、人物の肌階調をキレイに、風景なら色鮮やかに。複数の光源によってホワイトバランスが変化してしまう箇所は、部分的に色を補正……といった具合に、映像エンジンは常にフル回転状態で、並外れた写真画像を創出する。

逆光ながら、金属の質感がよく出ている。青空は実際よりも青く、気持のいい絵に仕上がる。[撮影モード:プレミアムオート(F3.4、1/500秒) / 感度:ISO64 / WB:オート / 焦点距離:47mm]

空には厚い雨雲、強い雨が降る中で撮影。十分に光が回らない中でも、こんなに鮮やかな写真が撮れる。ISO800でも予想以上に使える画質だ。[撮影モード:プレミアムオート(F3.9、1/100秒) / 感度:ISO800 / WB:オート / 焦点距離:60mm]

一見、なんの変哲もない写真だが、実は画面左上に太陽があり、ほぼ真逆光。ちょっと前のカメラなら被写体がまっ黒になってしまうか、日中シンクロを使っても、顔だけが不自然に浮かび上がってしまう可能性が大きい。が、プレミアムオートならここまで違和感なく写る。[撮影モード:プレミアムオート(F7.9、1/125秒) / 感度:ISO64 / WB:オート / 焦点距離:26mm]

フラッシュとは極端に色温度の違う電球色の夜景で、しかも逆光。それでも自然に仕上がる。[撮影モード:プレミアムオート(F3.0、1/8秒) / 感度:ISO400 / WB:オート / 焦点距離:36mm]

そう、プレミアムオートの写真は「作られた高画質」なのだ。開発に当たった商品企画部の今村圭一氏はこう語る。「モデルさんのメイクやライティングの調整をおこなった、プロのカメラマンが撮るような"高度に演出された写真"を誰もが撮ることができる。そんな機能を目指しました」。

撮影設定メニューの中の連写項目。プレミアムオート時は表示されない

高速連写機能を使えば、文字どおりベストな一枚を手にする確率がぐんと上昇する。なお、4fps選択時は画像サイズが約200万画素、10fps選択時には約100万画素となる

シャッターを押すだけでこれほどの写真が撮れるなら、いっそ他のモード(人物、風景、夜景、マクロなどのベストショットモードおよび通常のオート)は不要なのでは? 正直、そう思えなくもない。が、実はプレミアムオートにも不利な点がある。処理時間だ。撮影条件にもよるが、一度シャッターを切ると撮影後の補正処理に時間が必要で、少なくとも2秒間程度は次のシャッターが切れない。当然ながら、エクシリムのお家芸である連写もできない(連写の設定そのものが表示されない)。プレミアムオートは、処理時間がかかってもいいから本質的な高画質を手に入れたい、という欲求に応えるモードなのだ。…つづきを読む

通常オート時のショートカットメニュー表示。フォーカスモードやAFエリア、ISO設定などを自由に選択できる

プレミアムオート時のショートカットメニュー表示。選択できる項目が一気に減る。これは、プレミアムオートでは画作りのポリシーが詳細に決められているため