ピリリとホットな辛さが魅力のラー油。餃子にあわせるだけではなく、内容次第では焼き魚や冷奴といった和食にも合う。ここでは、様々な素材をブレンドした自家製ラー油のつくり方を紹介しよう。年末年始の休みの間につくり置きしておけば、いろんな料理に重宝すること間違いなし。

"具だくさん"のラー油って?

スーパーで売っているラー油の多くは、オレンジ色の油のみが入った商品だろう。ゴマ油やとうもろこし油などに唐辛子をはじめとした香辛料の風味を移したものだ。しかし、私がオススメしたいのは"具だくさんラー油"である。

底に香辛料が沈んでいる。この"具"の部分も薬味等に活用できる

使用するスパイスを粉末状にし、油に漬け込む。これを漉してしまうのではなく、そのまま漬け込んで、油と共にいただこうというのだ。もちろん、油だけをすくって餃子や酸辛湯(サンラータン: 酸っぱ辛いスープ)などに使ってもよいのだが、この"具"を冷奴や焼き魚に添えて薬味にするとおいしさアップ。他にも玉子焼き、お好み焼きにつけて食べてもよし、野菜のおひたしに少量加えても辛味のアクセントがついて非常に合う。

四川産唐辛子の朝天辣椒

そんな和食にもピッタリな"具だくさんラー油"だが、コツは「いろんな素材をブレンドする」点にある。唐辛子はもちろん、花椒(ホワジャオ: 中国山椒)、八角、陳皮(チンピ: みかんの皮)といった香辛料をブレンドし、さらにはナツメ、レモングラス、桜エビなども加える。唐辛子はなんといっても四川産唐辛子の朝天辣椒がおススメ。奥深いまろやかな辛さで香りもよく、コロンとした形。鷹の爪とは形も辛さの質も違う。

……これらの材料名を見て、「そんなの売ってないよ」とお思いの方もいることだろう。まだ諦めるのは早い! 朝天辣椒は鷹の爪で、花椒は山椒粉で代用できるし、八角や陳皮がなければ、五香粉(ウーシャンフェン: 中国の複合調味料)でOKだ。五香粉なら大型スーパーにいけば売っている。また最近では、専門的なスパイスも通信販売で購入できるので、インターネットで検索してみてほしい。できれば、紹介するレシピ通りにつくってもらいたいので。

「絶品具だくさんラー油」

材料
ゴマ油 200g
A〔葉ニンニク 1本 / ニンニク 2カケ / レモングラス(乾燥) 5g / ナツメ 2個 / 八角 2個 / 陳皮 少々〕
B〔朝天辣椒 25g / 鷹の爪 4本 / 花椒 10g / 桜海老 少々〕
五香粉 小さじ1 / 砂糖 小さじ1 / 中国醤油 大さじ1 / 老油 大さじ1

Aの材料

Bの材料と五香粉、砂糖

中国醤油、老油、ゴマ油

・葉ニンニクは長ネギでも可。
・ナツメと老油はなくても可。
・八角や陳皮がない場合は、五香粉を倍量に。
・花椒がない場合は山椒を。
・中国醤油は濃口醤油でも代用可。

つくり方

1.葉ニンニクは斜め切りにし、ニンニクはやや厚めのスライスして水気を拭く。鍋にゴマ油の3/4量とAの材料すべてを入れて火にかける。中火で葉ニンニクやニンニクがキツネ色になるまで熱する。
2.朝天辣椒は種とヘタを取り除き、鷹の爪はヘタのみ取り除いておく。Bの材料を粉末にし、耐熱のボウルに五香粉、砂糖と共に入れる。「ミルサー」などの機械がなければ、すり鉢で粉末状にする。
3.1の油を漉しながら2に少しずつ入れる。熱いので注意しよう。1を全量入れたら、全体をゆっくり混ぜる。少し温度が下がったら、中国醤油を入れる。さらに温度が下がったら、ゴマ油の残りと老油を加える。すぐにでもいただけるが、一晩置くと味が落ち着く。

完成したラー油は、花椒のじわ~っとしびれる辛さ「麻」(マー)と唐辛子のホットな辛さ「辣」(ラー)が感じられ、かなり専門的な辛さ。しかしながら、ナツメや八角由来の甘い風味、レモングラスや陳皮による爽やかな後味により、辛いだけではない奥深い味わいとなっている。

葉ニンニク

通常、自家製ラー油をつくる際には長ネギを使うことが多いが、今回は葉ニンニクを使った。葉ニンニクとは、ニンニクができる前の成長過程にできる葉(茎)のことで、中国料理には欠かせない食材。やや甘みがあり、我が家では麻婆豆腐や回鍋肉に加える。沖縄ではよく食べられているというが、本州ではなかなか見当たらない。しかし横浜中華街ではよく売られており、見つけたときには3束4束と買いだめしてしまうほどのファンだ。ない場合は、オーソドックスに長ネギを使ってラー油をつくろう。