日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、インテリアデザイナーTord Boontjeトード・ボーンチェ)氏がデザインした、10.1型ミニノート「HP Mini 110 by Studio Tord Boontje」の発表会を開催した。Windows XP SP3搭載の量販店モデルが9日発売、Windows 7 Starterを搭載した量販店モデルとHP Directモデルが10月下旬発売。HP Directモデルは、解像度が1,024×600で直販価格54,810円。量販店モデルは、解像度が1,366×768ドットで価格はオープンプライス、店頭予想価格は50,000円前後。

「HP Mini 110 by Studio Tord Boontje」

左側面

右側面

今回の新製品では、ディスプレイの解像度を2種類用意。HP Directでは量販店よりITの関心度が高いユーザーが購入すると想定し、HP Direct専用モデルは1,024×600を採用した。一般に解像度が高い方が良いとされるが、CPUがIntel Atom N280のため、処理速度の限界を考慮したバランスの良さを取り、この解像度に決定した。

発表会場では、日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏が日本HPのビジネスの概況を説明した。市場環境が厳しい中、HPのシェアは年間6,000万台近いPCを出荷し、世界No1のシェアを3年前から維持。このHPのPCビジネスの特徴はバランスが取れているとのこと。たとえば、デスクトップとポータブルタイプでPCを分けるとそれぞれでNo1、企業と個人で分けてもそれぞれでNo1のシェア。地域、製品、ユーザーをそれぞれ見てもバランスが取れていて、安定性があるとした。それを実現するためには、それぞれのユーザーに最適な製品を提供することが大切。そのため、非常に多くの製品ラインアップを用意しているとした。

ビジネスの概況を説明する日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏

世界No1のシェアを誇るHP。分野別に分けてもそれぞれでNo1となり、バランスの良さが特徴

日本でのビジネスは、グローバルなスケールメリット、製品ラインアップの豊富さを生かすことが基本的な考え方とのこと。日本HPは、これまで企業向けのPC事業を中心に展開してきた。過去2年間で8%から15%を超えるところまでシェアが伸び、企業向けは順調に推移している。さらに2年前からは仮想PCとしてシンクライアント、ブレードPCなどを提供。最近ではクラウドコンピューティングに関するニーズに対し、低コストでインターネットに接続でき、インターネット経由でアプリケーションを動作できるインターネットアプライアンスを提供。さらに海外でのコンシューマ向けPCの強みを生かして、2年前から日本でもHPらしい製品を展開している。特に、指先で操作できるタッチパネル搭載PC、またファッションとテクノロジーを融合させたPCなど、マーケットにない製品を提供することでビジネスを進めていくとした。

ビジネス向けを中心にコンシューマ、デザインモデルへ広がってきている

ミニノートは従来ビジネスや教育向けに低価格で提供してきたが、一般ユーザーにとってもインターネットやメールに使いやすことで浸透。携帯電話を思わせるような低価格と性能を備えていることで、受け入れられやすかったとした。特定用途向けに登場したミニノートが汎用性を備えるようになり、より個性を追求するデザインモデルへと進化。デザイナーズモデルの第2弾を発表するとした。

HPは、PCをユーザーの能力を引き上げたり、センスを磨いたりするためのツールとして使ってもらうために、それぞれの製品に特徴を持たせるように開発を促進。今回発表するミニノートはそのような製品の一例となるとした。

新製品を紹介する日本HP パーソナルシステム事業統括 モバイル&コンシューマビジネス本部 プロダクトマネージャ 菊池友仁氏

続いて、日本HP パーソナルシステム事業統括 モバイル&コンシューマビジネス本部 プロダクトマネージャ 菊池友仁氏が新製品を紹介した。

同氏はまずPC市場のトレンドを説明。Kakaku.comの価格帯別ページビューの推移からは、50,000円以下、Netbookと呼ばれる製品の変化を紹介した。Netbookが登場してから1年程度で30%強までページビューが増えており、短期間でこれだけ伸びたのはPC市場内でも初めてといえるとした。また、GfKが推測した市場規模データからは、10.3型以下のディスプレイを備えるPC、つまりNetbookが30%強のシェアまで伸びている。

左がkakaku.comの価格別PCのページビュー。右がGfKのディスプレイ別の市場規模データ。50,000円以下、10.3インチ以下、つまりNetbookの伸びが著しい

ただし注意したいのが、5~6月ごろから落ち込んでいること。HPは、Netbookユーザーは、モバイルPCへのあこがれから購入した「憧れのモバイル層」、手軽さゆえの2台目PCとしてモバイル端末として使っている「ライトユース層」、コンパクトサイズからオシャレに使いこなしたい「おしゃれ女性層」の3つの顧客層があると推測。この中で、憧れのモバイル層は、実際には野外ではあまりインターネットをしなかった、もしくはもっとインターネットを使いこなしたいが使えなかった。その結果、この層のNetbookへの需要が下がり、5~6月に落ち込んだと分析した。

Netbookは価格だけで飛びついたユーザーから、2台目ユーザー、おしゃれを楽しみたいユーザーなど、ニーズが変化

特に、もっとインターネットを使いたいユーザーは、この後登場した低価格ノートPC、A4サイズPCへ移行していったとHPでは考えている。今後は、ライトユース層とおしゃれ女性層を中心に伸びると予想。ライトユース層へは手軽さをキーワードに低価格で使えるもの、おしゃれ女性層へは"カワイイ"をキーワードに自分のセンスを見せるためのPCを提供することで、今後Netbookはさらに伸びていくとした。

今回の新製品はおしゃれ女性層に向けた製品。デザイナーズ・コレクション第1弾として「Vivienne Tam Edition」を、続けて現行品「ZEN-design "Canna"」を投入。「Vivienne Tam Edition」はマーケティング施策で初めてのことも多かったが、結果的には成功した製品となった。購買層である女性の購買・消費行動を研究し、ターゲットの目に触れるところに集中的に展開。通常、日本を含むアジア・パシフィック地域では中国がダントツの販売量を持つが、「Vivienne Tam Edition」では日本の方が売れた。今回の「Studio Tord Boontje」も同じくおしゃれ女性層がターゲットとなる。今回は立体的にプラスチックを加工する「HP Imprint 3D」を採用し、森の中に絶滅危惧種を含む12種類の動物が隠れている立体的なデザインとなった。

新製品は、デザインを重視したマシンに仕上がっている

「HP Imprint 3D」により2層構造でプリントすることで、立体的なプリントを実現

日本HPでは、新製品のためのスペシャルサイトを立ち上げ、今回のコンセプトに会った、ブログパーツや待受け画面を配信を開始している。

最後に特別ゲストとして小倉優子が登場。大人っぽさを意識したファッションで、おしゃれなPCを使いこなす女性を演出していた。「デザインはすごくカワイイです。外側だけでなく、内側もデザインされていて」と見ているだけで楽しくなるデザインを絶賛していた。また、17日から19日まで期間限定で渋谷「カフェ オール・エ・ダン」で製品を展示。小倉優子プロデュースのコーナーなども用意するとのことだ。

特別ゲストとして小倉優子が登場し新製品をPR

新製品自体は、グローバルモデルで全世界に展開。前回の「Vivienne Tam Edition」がそうだったが、アジアンチックなデザインはヨーロッパでも人気とのこと。デザイナーの選定も、その点を考慮して行っているとした。