4月からテレビ東京系列にて、TVアニメ『夏のあらし!』の放送が開始された。『夏のあらし!』は『月刊ガンガンJOKER』誌上で連載中の小林尽の同名マンガを原作とする、タイムリープコメディ。監督を新房昭之氏、アニメーション制作をシャフトが担当するなど、『さよなら絶望先生』や『まりあ†ほりっく』など、アニメファンにとっては注目作を連発している制作陣の新作だけに、この春注目の集まる1本となっている。

TVアニメ『夏のあらし!』メインビジュアルより。全国テレビ東京系のほか、4月11日からはAT-Xでも放送スタート

■TVアニメ『夏のあらし!』ストーリー概要
古くから営まれる街の喫茶店で、八坂が出会った年上の女子高生・あらし。自らを幽霊と称する彼女は、八坂と手をつなぐことで過去へと飛べる不思議な少女だった。いわくつきのマスターに、あらしを追うグラサン男、八坂と同じ中学1年の上賀茂、そして、ドイツ人の少女・カヤ──。ノスタルジック溢れる喫茶店・方舟を舞台に、少年と少女たちの忘れられない夏休みが始まる!!

面影ラッキーホールの面々。女性陣に囲まれているのが今回インタビューに臨んでもらったaCKy。ファンキーっす

すでに放送をご覧になった方ならご存知かと思うが、インパクト抜群のオープニング主題歌「あたしだけにかけて」を歌っているのが、"面影ラッキーホール"。若さと恋に満ちた凡百のJ-POPとは、一線も二線も画したアクの強さでコアな支持を得ている、魅惑のファンクバンドだ。最新アルバム「Whydunit?」の収録曲を並べただけでも、「あの男は量が多かった」「いっちまったら」「私が車椅子になっても」「あたしゆうべHしないで寝ちゃってごめんね」「パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた・・・夏」「中に出していいよ、中に出してもいいよ」「コレがコレなもんで」「おみそしるあっためてのみなね」、……という強烈なラインナップ。昨今の萌えとは対極の作風だけに、アニメとの初タイアップによる化学反応には思わず目が離せない。

今回のオープニング主題歌「あたしだけにかけて」は、毎回サビ以外の歌詞が変わるという凝った構成で、全13番にも渡る数え歌に仕上がっている。注目度急上昇中のロックバンド「ミドリ」の後藤まりこがコーラスに参加しているのも、大きな聴きどころだ。マイコミジャーナルでは、作詞とボーカルを務める面影ラッキーホールのaCKyにインタビューを敢行! 一度聴くと病みつきになる劇薬を、アニメ界へと投じる直前のタイミングでの心境を語ってもらった。


面影ラッキーホールが語るTVアニメ『夏のあらし!』主題歌「あたしだけにかけて」

――『夏のあらし!』で初めて面影ラッキーホールを知る方に向けて、自己紹介をお願いできますか?
「ざっくり言うと、米米CLUBを38回ぐらい殴って踏んづけたようなバンドです。しかもカールスモーキー石井がいない(笑)。いや、それは冗談ですけど、大人数の楽しいバンドです」

――アニメの主題歌の依頼が来たときの感想は?
「僕らもびっくりでした。でもうれしいですよね。面影ラッキーホールのことをよく知った上での依頼ということでしたし。企画をいただいたときにも話したんですけど、僕らはできれば縛られたいんですよ。縛りにゾクゾクするタイプなんで。いや、縛りっていうのはタイアップによる規制だったり、条件ってことですよ。バンドとしてロックっぽいこともやってますけど、べつに『世間に**** (=放送禁止用語)!』みたいな反抗的なこともないですし、人から言われないと動かないところもあるので、今回のお話は本当に喜んで、という感じでしたね」

――もともと普段からマンガやアニメはご覧になりますか?
「僕らの世代だと『マガジン』『ジャンプ』とかマンガには70年代からずっと触れていますし、ある程度歳を取ってからは『ガロ』文化に触れたりとかもしましたしね。それと僕は物として単行本が好きなんですよ。それでコレクションするために昔の少女マンガや少年マンガ、エロマンガとかを探したりしてました。一時期、昔のマンガの値段がすごい上がったときがあったんですけど、それは僕と何人かの知り合いが相場を動かしてたんじゃないかというぐらいで(笑)」

――アニメのスタッフとの打ち合わせはどのような感じでしたか?
「事前にこういう原作で、こういうチームでということを教えてもらいました。原作もすごく面白かったですね。オーダーとしては面影ラッキーホールの熱い感じと、昭和の歌謡曲っぽい要素を入れてほしい、ということでしたね。その辺はいつものノリですし、あとは本当にこっちが心配するぐらい自由にやらせてもらえました。歌詞が毎回違うという取り組みについても、まわりからは『13番も作るのは大変だよね』とか言われましたけど、全然そんなことはなかったです。THE虎舞竜には負けないぞと(笑)」

――その完成した主題歌は「あたしだけにかけて」という、非常に意味深なタイトルですが……
「いやあ、やっぱり時をかける物語ですからね。決してそんな他意はないですよ(笑)。ピュアな心で聴いてください。でも当初はあくまで仮のタイトルだったんですよ。絶対ダメだろうなと思ってたら、そのまま通っちゃいました(笑)」

――では『夏のあらし!』の視聴者へのメッセージをお願いします
「そんなに怖いおじさんたちじゃないので、最初は気楽に入ってもらって、仲間内のネタ的に『こんなの知ってる?』みたいなノリで触れていただけたらと思います。あとはカラオケで、あえて悪ノリで外す曲とかあるじゃないですか。そういうときに『あたしだけにかけて』をチョイスしてもらえたら、うれしいですよね」


『夏のあらし!』のオープニング主題歌「あたしだけにかけて」のマキシシングルは、キングレコードより5月13日に発売予定で、価格は1,200円。『夏のあらし!』と面影ラッキーホールという異色のコラボが、アニメ業界にどのような旋風を巻き起こすか、作品ともどもぜひチェックしてほしい。

またメインキャスト、嵐山小夜子(あらし)役の白石涼子が歌うエンディングテーマ「キラリフタリ」のマキシシングルもキングレコードより、5月27日に発売予定。PV付の初回盤が1,890円で、通常盤が1,200円となる。こちらも夏を意識した情熱的なナンバーとなっているので、オープニングともども必聴のこと。

(C)小林尽/スクウェアエニックス・夏のあらし! 製作委員会