【インタビュー】

シャッターを押すタイミングから自由になる - 「EX-FC100」開発者インタビュー

1 一般ユーザーを意識したハイスピード機

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これまでカメラは露出やフォーカスを自動化してきたが、シャッターを押すタイミングだけはオートにならなかった。ハイスピード技術を搭載したカシオのコンパクトデジタルカメラ「HIGH SPEED EXILIM」シリーズは、ベストなタイミングでシャッターを押さなければならない、というプレッシャーからユーザーを解放するという。今回、同シリーズ初となる薄型モデル「EX-FC100」が登場。そこで商品企画を担当した萩原一晃氏に具体的な機能と使い方についてうかがった。

最大30枚/秒の高速連写と1000fpsの動画撮影に対応する薄型ボディの「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」

――ハイスピード機能はもともと普及モデルの薄型コンパクトデジタルカメラにも搭載する予定だったのですか?

カシオ計算機 QV事業部 開発統轄部 商品企画部 第二企画室 萩原一晃氏
右手に「EX-FC100」、左手には4月発売予定のカードタイプとなるハイスピードデジタルカメラ「EX-FS10」

萩原一晃(以下、萩原)「ハイスピードデジタルカメラの初号機である『EX-F1』は2008年3月に発売しましたが、2007年夏にすでに試作機を発表しています。しかし構想はそれよりずっと以前からあり、当初からハイスピード機能を薄型コンパクトモデルにも搭載するつもりで開発が進められてきました。

カメラは機能の自動化が進み、露出やフォーカスはオートで撮影できるようになりましたが、シャッターだけは唯一オート化されてなく、その結果シャッターによる失敗が目につくようになってきました。もし写真を連続で撮り続けることができれば、シャッターチャンスを逃さずいい写真が撮れるのではないか。そういった発想がハイスピード技術を採用したカメラ開発の発端となっています。

EX-F1はハイスピード技術を使った初めての商品だったので、プロ、マニア向けとしてできることは全てやってみました。このレベルのユーザーは"高速連写"と聞けば、それでどんなことができるのがすぐ想像できますから、上手に使いこなしていただけます。しかしこれをそのまま一般ユーザーが受け入れてくれるでしょうか。『1秒間に30枚撮れます』と言っても『それで何がいいの?』『30枚も撮ってどうするの? 1枚でいいじゃない』と言われかねません。一般のユーザー向けには、"ハイスピード"にするだけでは十分ではないのです」

――一般ユーザー向けモデルとして、どのあたりを工夫されたのですか?

萩原「今コンパクトデジタルカメラを持っている人が買い替えるときに選んでいただくためには、もちろん小型かつ薄型化することも大変重要な要素です。

そのため部品点数を少なくし、基板やLSI周り、撮像素子ユニットの小型化などに取り組むとともに、内部処理するときのデータの流れが速く熱がかなり出ることが予想されたので、断熱方式から放熱方式に変更するなど放熱対策にいろいろ苦心しました。

背面左上にはスローモーションビュー専用のボタンを採用した。スローモーションビューでは、1秒間(30fps)、2秒間(15fps)、3秒間(10fps)の記録時間が用意される

もうひとつEX-FC100では、ターゲット層となる一般のユーザーを意識した操作性、機能を考えました。それを最も象徴しているのが『スローモーションビュー』機能のために専用ボタンを付けたことです。撮りたい瞬間にタイミングよくシャッターを押せない、そんなユーザーのための機能です。写真を撮り慣れた方なら、あらかじめ少し前からシャッターを押して連写し撮りたい瞬間の写真を撮影しますが、一般のユーザーでは、なかなかタイミングをとるのが難しいと思います。でも、もし世の中がゆっくり見えるようになれば、撮りたい瞬間にシャッターを押すことができるのではないでしょうか。

そこで被写体の動きを、スローモーションで液晶に表示するスローモーションビュー機能を搭載しました。これはEX-F1でも搭載されていた機能ですが、専用ボタン採用により、"ボタンを押すだけ"という簡単操作になったのがポイントです。記録時間の長さは連写のfpsによって1秒、2秒、3秒のいずれかとなります。ですから決定的瞬間の数秒前にスローモーションビューボタンを押し、液晶を見ながらもっとも良いところでシャッターを押して撮影します。スローモーションビューボタンを押すのが早すぎた場合、もう一度スローモーションビューボタンを押せば解除できるので、うまくタイミングを見計らって繰り返しボタンを操作できます。ちょうどビデオでいうと『追っかけ再生』みたいなものですね」……続きを読む

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インデックス

目次
(1) 一般ユーザーを意識したハイスピード機
(2) 「ハイポーズ」の文化は終わった

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