エムエスアイコンピュータージャパンの「AP1900」は、18.5型液晶を一体化したオールインワンPCだ。Netbook(ネットブック)と同様のプラットフォームを採用することで、6万円程度と非常に安価に抑えられているのが特徴の製品である。

主な仕様 [CPU] Intel Atom N270(1.60GHz) [チップセット] Intel 945GSE+ICH7-M [ディスプレイ] 18.5型ワイド液晶(1,366×768ドット) [グラフィックス] 内蔵 [メモリ] 1GB [HDD] 160GB [OS] Windows XP Home Edition SP3 [価格] オープン(予想価格59,800円)

ネットブックベースの18.5型液晶一体型PC

液晶一体型PCは以前より存在し、今日では国内PCメーカーのデスクトップ製品は液晶一体型が主流といっても良いほど、そのスタイルは浸透している。しかし、本稿で取り上げるエムエスアイコンピュータージャパンの製品のほか、ASUSTeKがEee Topブランドを展開するなど、台湾メーカーの液晶一体型PCが注目を集めようとしている。

この潮流の源泉はネットブックにある。インテルのAtomプロセッサを使った格安ノートPCが人気を集めているのは周知のとおりであるが、このプラットフォームを使い、液晶を大型化。ノートPCではなく液晶一体型PCというスタイルへとアレンジした製品が台湾メーカー製品なのである。

その特徴はなんといっても価格だ。本稿で取り上げるAP1900は18.5型液晶一体型製品であるが、価格は59,800円前後が想定されている。同社の他製品やASUSTeKも6~8万円程度の範疇に収まっており、液晶ディスプレイとPCがまとめて手に入る(しかも省スペース)であることを考えれば、かなり割安に感じるだろう。ネットブックに続く「格安PC」のトレンドになる可能性を秘めているのだ。

国内において、そうした製品の走りになりそうなのが、エムエスアイコンピュータジャパンが発売する「AP1900」である。CPUにIntel Atom N270、チップセットにIntel 945GSEを使用しており、PCとしては完全にネットブックベースである。同社の姉妹モデルとなる「AE1900」はデザインをより洗練しているほか、ASUSTeKのEee Topはタッチパネルスクリーンといった特徴を持つ。それらに比べるとAP1900はシンプルな作りであるが、もっとも安価な製品となる見込みで、その点ではネットブックの流れを正統に受け継ぐものといえる。

一体化されている液晶ディスプレイの解像度は1,366×768ドットで、いわゆるハーフHDと呼ばれるアスペクト比16:9の液晶パネルだ。安価なテレビ製品では一般的な解像度であり、こうした廉価なPCにも向いた解像度なのだろう。ネットブックでは縦方向がSVGAと同等である狭さを否めないが、縦解像度がXGAと同じという使いやすさは感じられる。

メモリは1GBで、HDDは160GB。OSはWindows XP Home Editionと、この当たりはネットブックと同じ構成。ただし、本製品ではWindowsのライセンスシールに「Nettops」という表記のあるものが貼付されている。ネットブックで主に採用されているULCPC版のランセンスはネットトップにも適用されることはマイクロソフトから表明されているが、ネットブック向けライセンスには液晶サイズの条項もあり、本製品は対象から外れる可能性がある。おそらく液晶サイズの制限を外した形態のライセンスが存在するのだろう。とはいえ、本体価格がネットブックと比較して極端に高いという印象も受けないわけで、エンドユーザーはあまり気にしなくてもよさそうである。

プリインストールされたWindows XP Homeはネットトップ向けライセンスになっている

インタフェース類は向かって右側の側面と、背面に搭載されている。またインタフェースが備えられている右側面にはDVDスーパーマルチドライブも内蔵されている。これもサイズが小さいネットブックでは得られない機能だ。インタフェースはUSB2.0が4ポート、カードリーダー、LANといった必要最低限のものは備えている印象。ただ、PS/2ポートが二つ用意されており、これは少々意外なところだ。本製品にはマウスとキーボードが付属するが、いずれもUSB接続。多くのユーザーはPS/2ポートを使わないと思われる。

本体右側面。上部にDVDスーパーマルチドライブ、下部にUSB2.0×2、SD/MS/xDカードスロットを備える

本体背面。PS/2ポート×2、オーディオ入出力、USB2.0×2、LANを備える

スタンドはシンプルな長方形状だが前方部分がやや薄くなっている。ヒンジ部は下向きに5度、上向きに15度のチルトが可能。パンはできない

背面のカバーを外すとHDDとメモリが顔を見せる。メモリは1GBが搭載されているが、製品仕様では最大2GBとされており、メモリ交換に挑戦してみるのもいいだろう

ちょっと気になったのは、このキーボードとマウスが有線接続である点だ。液晶一体型PCというと、どうしてもライフスタイルに同調させやすい製品という印象があり、有線キーボードと有線マウスが付属するというのは残念に感じられた。もちろんコストに大きく関わる部分だけに無理は言えないのだが、無線LANはきっちり内蔵していたりするわけで、ここはもう少しこだわりがあっても良かったように思う。

また、今回届いたテスト機は付属キーボードが英語版だった。もう一つ、付属のACアダプタの接続口がミッキー型なのは妥協できるとしても、ACケーブルのコンセント側がアース付きの3ピンタイプであったのは気になった。いずれも日本市場に投入される製品としては気になるところ。テスト用機材のみの問題かも知れないが、実際に販売される製品では、最低でも、日本語キーボード、コンセントの3ピン→2ピン変換アダプタは付属されていることに期待したい。

付属のキーボード。英語配列なのが気になるポイント。シンプルなメンブレンキーボードだが、打鍵感しっかりしており打ち心地は悪くない品だ

付属のマウス。センサーは光学式のもの

ACアダプタとACケーブル。ACアダプタの最大出力は65W

ミッキー型の接続口と3ピンのコンセント。ミッキー型は妥協できるが、コンセントは変換アダプタが必須だろう