簡単にアート気分

E-30の特長のひとつは、写真表現が自由に楽しめる「アートフィルター」と呼ばれる疑似フィルター効果だ。カラフルでキッチュな色合いでコントラストを強調した「ポップアート」、ソフトフィルターを使ったような柔らかいトーンの「ファンタジックフォーカス」、青みが強くファギー効果が得られる「デイドリーム」、シャープネスとコントラストが弱く柔らかい描写になる「ライトトーン」、増感現像したフィルムを硬調の印画紙で焼いたような白黒写真になる「ラフモノクローム」、トイカメラで撮影したような描写とケラレが得られる「トイフォト」の6種類が用意されている。

このアートフィルター、普段見慣れた現実がまったく違った絵に撮影できるのが楽しかった。パソコンも使わず、画像ソフトを使ったような加工が気軽に楽しめるのもいい。

アートフィルターは、モードダイヤルに「アートフィルター/シーンモード」と一括りに分類されている。「かんたん撮影モード」のひとつで、絞り優先AEなどでは使用できない。ただ、シーンモードに比べて、プログラムシフトや露出補正、ホワイトバランス、ISO感度と撮影者が任意で設定できる項目は多いようだ。ただ、意図を反映する操作の使い勝手はいいとはいえない。取扱説明書にも詳しい操作などが記されていないのも難点だ。

アートフィルターが適用されるのはJPEG形式の画像のみ。画質モードをRAWにしておくと自動的に「ラージ・ファイン+RAW」に切り替わる。JPEGの撮影済みの画像に対して効果を適用することもできないが、RAWで撮影した画像なら、同梱の現像ソフト「オリンパスマスター」や別売りの「オリンパススタジオ」で反映させることができる。アートフィルターの効果はライブビューで確認しながら撮影できるが、RAWで撮影してじっくり作品作り楽しむのもいいだろう。どうせなら、アートフィルターは、仕上がり設定の中に入れて、絞り優先AEやシャッタースピード優先AEのときにでも反映できるともっと面白くなるかもしれない。

また、「アートフィルター」のほかに写真効果を楽しむ機能として「多重露光撮影」もある。従来、多重露光撮影とは撮影後まで完成画像を得ることができなかったが、E-30では、ライブビュー撮影時で最大4枚まで画像を重ね合わせることができる。またRAW画像なら、撮影後でも画像編集で合成することができる。画像を重ね合わせて、カッコイイ写真を作るのは大変だと思うが、簡単に効果を確かめながら楽しめるのは、デジタルならではの機能だ。

新機能のアートフィルター。モードダイヤルで設定し、好みのフィルターを選択する

アートフィルターでは、露出補正やプログラムシフトを行なうことができる

従来のシーンモードではカメラまかせの撮影のみになる

ポップアート

ファンタジックフォーカス

デイドリーム

ライトトーン

ラフモノクローム

トイフォト

アートフィルター:ポップアートでの作例。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 4:3(4032×3024) / 29mm(58mm相当) / プログラム優先AE、補正+0.7EV(F6.3、1/320秒) / ISO 200 / WB:オート]

アートフィルター:トイフォトでの作例。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 6:6(3024×3024) / 14mm(28mm相当) / プログラム優先AE(F6.3、1/420秒) / ISO 200 / WB:オート]

アートフィルター:デイドリームでの作例。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 4:3(4032×3024) / 14mm(28mm相当) / プログラム優先AE(F9、1/125秒) / ISO 200 / WB:オート]

アートフィルター:ファンタジックフォーカスでの作例。[ED 9-18mm F4.0-5.6 / L+F(JPEG) / 4:3(4032×3024) / 9mm(18mm相当) / プログラム優先AE(F11、1/640秒) / ISO 200 / WB:オート]

アートフィルター:ライトトーンでの作例。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 6:6(3024×3024) / 14mm(28mm相当) / プログラム優先AE(F10、1/60秒) / ISO 200 / WB:オート]

2枚の画像で多重露光を行なった。最大で4枚まで重ねられる

マルチアスペクトはライブビュー撮影で

E-30は「マルチアスペクト比」機能を搭載し、アスペクト比は通常の4:3(4032×3024)以外に、3:2(4032×2688)、16:9(4032×2272)、6:6(3024×3024)、5:4(3776×3024)、7:6(3536×3024)、6:5(3632×3024)、7:5(4032×2880)、3:4(2272×3024)の9種類が用意される。各画像は4:3の画像をトリミングした画像になる。この機能はライブビューに反映されるが、ファインダー撮影ではなにも変化しない。撮影後の画像でも、アスペクト比を反映した情報が付加され枠のみが表示されるだけで、撮影画像には反映されないのが残念だ。またライブビュー撮影でもJPEG画像のみで、RAW画像は反映されない。再生時もファインダー撮影同様、撮影時のアスペクト比情報が付加され、枠が表示されるだけだ。

「マルチアスペクト比」について感じたことは、撮影意図によってアスペクト比が変更できるのは、いろいろな構図を試すことができるので嬉しい。特に6:6のアスペクト比は個人的に好きなアスペクト比だ。ただ、設定操作がスーパーコンパネからは変更ができず、メニュー画面→「カスタムメニュー1」→「G」→「アスペクト比設定」と、メニュー画面の階層が深い。ここはもうすこし簡単に設定できるようにしたほうがよいだろう。

9種類のアスペクト比から選択することができる。アスペクト比を反映した画像はライブビュー撮影時のみ

アスペクト比を反映した画像情報をファインダー撮影にも反映するか設定できる

ファインダー撮影では、アスペクト比を反映した画像を再生するとアスペクト比の枠が表示される

4:3 (4032×3024)

3:2 (4032×2688)

16:9 (4032×2272)

6:6 (3024×3024)

5:4 (3776×3024)

7:6 (3536×3024)

6:5 (3632×3024)

7:5 (4032×2880)

3:4 (2272×3024)