【インタビュー】

アニメ劇伴作曲の第一人者・田中公平 - 創作の現場から

3 若い人はどんなつらい仕事でも絶対やるべき

    木全直弘  [2009/01/06]

    伝えたい想いを歌に込めて

    ――ご自身のご経験から、今の若い作曲家の方たちに向けてのメッセージなど、おありですか?

    「新人の頃、『夢の星のボタンノーズ』の劇伴の仕事が来たんですが、76曲あったんですね。で、6日後にレコーディングだと。前の人が病気かなんかで降りてしまったらしくて、それで誰かいないかということでした。若いうちは、そんなもんなんですよね。でもそれ、3日半で書きましたから、今でも逸話になっているんです (笑)。もう書けませんけどね。あの頃は書きたいものがいっぱいあったのに、仕事がないから書けたんです。そういう意味では、若い人はどんなつらい仕事でも、どんなきつい仕事でも、どんなに時間がない仕事でも、来たら絶対やるべきだと思います。どんなジャンルでも。そんな仕事しか来ないから、若いうちは。そして、それをやったら認められて、だからこそ次がある、ということがありますからね」

    ――条件に恵まれていない仕事もこなせたのは、ご自身の中に蓄積がおありになったからという部分も大きいわけですね。

    「より勉強している人の方が長続きするんですよ。あまり勉強していなくてデビューしてしまった人は、必ずすぐいなくなるんですよ」

    ――それは、激しく消費されるということなんでしょうか?

    「方法論がひとつしかないから。それが評価されると、それだけを求められるようになってしまって、すぐ飽きられるんですね。だから、若い人はデビューが遅い方がいいと思ってるし、売れてる最中にも、一生懸命勉強しないと危ないと言ってます」

    ――歌でメッセージを伝えるお話についても伺いたいんですが、2008年に歌手としてもデビューなさいましたね。

    「今から3年ほど前に、作曲家として登り詰めてしまったと感じた時期があって、『この山を降りたらどうなるんだろう』と思いまして。新しいことを始めるとしたら何があるんだろうと考えたときに、昔やりたかったことで、歌手というのがあったなと。あと、この30年、作曲をずっと請け負いでやってきたわけですよ。ですから、自分から曲を書くというのがなかった。自分のために曲を書いたらどうなるんだろうと。そしたら、書けないんですよ。何を書いていいのか分からなかったんです」

    ――その問題は、どのようにして打開されましたか?

    「幸い、いい作詞家さんと知り合って、1曲書けたら、すごい勢いで出てくるようになりましたね。今、セカンドアルバムを作っているところです」

    ――公式ホームページや、CDのタイトルに、「ココロネSong」というお言葉を使ってらっしゃいますがどういった意味が込められているのでしょうか。

    「今までアニメでやってきたことなんですが、『サクラ大戦』でやさしい気持ちを表現し、ロボットものでは勇気を与える。歌手をやる上で、それを違う形で表現したかったんですね。なにかしら心に響く歌を歌いたいということで、作詞家の方と相談して決めたのが、この言葉ですね」

    田中公平ファーストアルバム『ココロネsong1st』発売中。税込3,000円/発売元イマジン:販売元エフ・プランニング

    ――そういった歌を2月に大阪のライブでお歌いになるそうですね。

    「はい。2月15日(日曜日) 15:00から大阪府大阪市のamHALLでやります」

    ――どんな曲を歌う予定ですか?

    「ファーストアルバムとセカンドアルバムの中の曲やアニメコーナーもあります。こちらは、ちょうど今、リクエスト募集中です(笑)。前回は、『サクラ大戦』、『機動武闘伝Gガンダム』、『勇者王ガオガイガー』、『ONE PIECE』の中から歌ったんですが、わたしの作曲した曲に限りますが、やってほしいものがあれば是非リクエストをください」

    ――なるほど。どうも、ありがとうございました。

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