11月21日、『ミシュランガイド東京2009』が発売となった。昨年ほどではないが、今年も『ミシュランガイド』をたくさん並べている書店を見かける。そして、今月5日には日本フードアナリスト協会が東京都内のレストランを格付けしたガイドブック『アテナイオス』を発売すると発表した。しかし日本には、ミシュランよりアテナイオスより早く発刊されているレストランガイドがある。それが『ザガット』である。

ニューヨーク発のレストランガイド

『ミシュランガイド東京2009』

『ザガット』とは、1979年にニューヨークで誕生したレストランガイド。専任の調査員がレストランを調査する『ミシュラン』とは違い、『ZAGAT』は一般の人々へのアンケートによる回答を統計処理し、その結果からレストランを評価している。いわば、"みんなでつくるレストランガイド"なのである。現在では、アメリカを中心に世界88都市で展開されているという。

日本への上陸は1999年。『ザガット 2000 東京のレストラン』をCHINTAIが発売している。2009年版『ザガット 2009 東京のレストラン(横浜エリア含む)』(1,785円)もすでに発売されている。

一般回答者へのアンケートはインターネット上で実施され、2009年版では5,554人が参加した。アンケート内容は「料理」「内装」「サービス」の3項目にわたり、それぞれを点数評価し、平均化。それにより、「少数派の意見とは異なり、利用者の視線に立った信憑性の高い評価が可能になる」(CHINTAI ザガット事務局)とのことだ。

実際に2009年版を見てみると、最初に「お気に入りランキングTop5」や「料理ランキングTop5」「内装ランキングTop5」などのランキングが掲載されている。よく見てみると、都心部だけではなく市部の店舗も登場している。このあたりも『ミシュラン』との大きな違いだ。

文字情報がぎっしりと詰まっており圧倒されるが、掲載店舗数を知って再度驚く。その数、1,284軒。『ミシュラン』が173軒(ここに、ホテル30軒が加わり、合計203軒)。『ザガット』には写真はなく、ひたすら文字、文字なのだが、その分データ量という点ではズバ抜けている。

そして、掲載店舗の客単価は8,639円。高級店の多い『ミシュラン』より"庶民派"な印象が強い(もちろん、高級店も掲載されている)。各店のコーナーには紹介コメントも付いているのだが、「食べたら帰って的な雰囲気」、「笑顔が足りない」「デザートがジャンボ」「イケメン店員もフレンドリー」などの表記が。掲載店舗数が多いのでコメントも短めだが、他のグルメ誌やガイドブックではなかなか見られないようなストレートな表現が目立ち、ある意味わかりやすいのではないだろうか。

幅広いエリアを網羅、掲載店は1,000店以上、"超グルメ"でない人にもわかりやすい表現。このように特徴を見ていくと、接待の多いサラリーマンにはとても役立つ本のように思えてくる(サラリーマンの中にも"超グルメ"な方はいるが)。この1冊をカバンに忍ばせておけば、急な接待の際に活躍するのではないだろうか。『ミシュランガイド』とはまた異なる活用方法がこのグルメガイドにはあるように思える。