【レポート】

繰り返される"悲劇" - こんにゃくゼリー死亡事故を"母目線"でレポート

 

「何か冷たいおやつでも」とでも思ってしまったのだろうか? 兵庫県で男児(事故当時1歳9カ月)が祖母に凍ったこんにゃくゼリーを与えられてのどを詰まらせ、9月20日にその幼い命を落としたという。家族の気持ちを想像するといたたまれない。国民生活センターによると、こんにゃくゼリーによる犠牲者はこれで17人にも上る。1995年にその危険性が広く知られるようになってから13年。なぜ"悲劇"は繰り返されるのか? なぜ規制が進まないのか? 2歳の娘を持つ親でもある筆者が、"母親の目線"からもレポートする。

「凍らせるとより危険」

国民生活センターによると、男児が祖父母宅でこんにゃくゼリーをのどに詰まらせ救急車で運ばれたのは7月29日。祖母から与えられたのはマンナンライフ(本社・群馬県)の「蒟蒻(こんにゃく)畑マンゴー味」を凍らせたものだった。約2カ月後、男児はまだ2歳にも満たないその幼い命を落とした。

こんにゃくゼリーでは95年から96年に8件の死亡事故が発生。その後97年から04年は8年で3件と減ったものの、05~07年の3年で再び増加してきている。

こんにゃくゼリーの危険性について国民生活センターは、(1)口で吸いだして直接食べる(2)物質的な特徴として硬く、弾力性が強い(3)こんにゃくを含んでいない柔らかいゼリーと外観的に区別しにくい、などの特徴を挙げている。喉に詰まるとその弾力性もあって気道を「ぴったりとふたをした状態」にしてしまい窒息しやすいという。

今回のゼリーは冷凍したもの。フルーツやジュースを凍らせたときのシャリシャリとした感じを予想してしまうところが「盲点」だ。実際は粘度が増して硬くなり「より危険度が高まると考えたほうがいい」(同センター)とのこと。また、氷と違い時間が口の中で溶けてはくれない。そのままのぷよぷよした状態で残ってしまうのだ。

法の「すきま」から引き出す時期だ

「とにかく何らかの法規制を」と話すのは国民生活センターの消費生活専門相談員の小坂潤子氏。「これだけの死亡事故がほかの食品で起きたなら、当然自主回収になったり、販売停止になったりしているはず。こんにゃくゼリーには規制する法の枠組みが欠けている」。小坂氏によると、食品の成分自体に問題はないこんにゃくゼリーは、厚労省所管の食品衛生法を適用するには「化学的、生物学的根拠」に欠け、かといって、ベビーカー事故などに適用された経産省所管の消費生活用製品安全法を、と考えても食品は対象外といった具合に、現行の法体制では規制ができないという。

業界側でも相次ぐ死亡事故に対策を取り始めたところだ。全国こんにゃく協同組合連合会、全日本菓子協会、全国菓子協会組合連合の業界3団体は昨年10月以降、「お子様や高齢者の方はたべないでください」との注意書きを添えた統一の警告マークを商品に表示している。マンナンライフはサイト上で「事の重大さを真摯に受け止め、再発防止に向け全力を注いでまいります」と謝罪。今後の対応として、「喉に詰まる恐れがあるのでお子様や高齢者は食べないでください」というお願い文を大きくパッケージに記載し、裏面に「凍らせて食べないでください」という旨の警告文を追加する、としている。07年のこんにゃくゼリーの市場規模は117億円という。このまま法の「すきま」に"放置"したままでは被害は広がるばかりだ。

昨年も祖父母宅での事故が

今回の事件の痛ましさは、被害児にこんにゃくゼリーを与えたのが祖母であったことにもある。1歳後半といえば"あんよ"が上手になり、反応がよくなり、いろいろな食べものを食べられるようになるころだ。この祖母自身もどんなにか孫の成長を楽しみにしていたことだろう。

国民生活センターによると、昨年起きた2件の死亡事故も自宅外での事故。昨年3月に起きた三重県の事故では7歳男児が学童保育でおやつとしてもらったこんにゃくゼリーを食べてのどに詰まらせ死亡、同年4月の長野県の事故では7歳男児が今回と同じ祖父母宅で喉につまらせ死亡している。

同センターの小坂氏は「元に戻る程度の食中毒やけがではなく、指の切断や死亡といった不可逆性の結果にまでなるようなら、そこにいる保護者や世話をしている人のせいとはいえない。何よりも原因となる製品を製造した側に大きな責任があると考えるべきだ」と指摘。一方、祖父母向けの孫育て講座などを積極的に開催する育児サイト「ユウchan」の棒田明子編集長は「祖父母の家には(子どもを)預けやすいもの。子どもに与える食べものの話など、日頃からおばあちゃんと子育てについて話し、コミュニケーションをとっておくべき」とアドバイスする。

マンナンライフのサイト上に「こんにゃくを『手軽に、おいしく』召し上がって頂きたいという願いから誕生したのが『蒟蒻畑』フルーツこんにゃくなのです」という文言を見つけた。「手軽に、おいしく」の前にまずは安全性だ。「消費者庁」構想もあるようだが、同センターの小坂氏は「(消費者庁を)待っているわけにはいかない。すぐにでも法規制の整備を」と話している。筆者も2歳の娘を持つ親。二度とこのような悲劇が起こらないよう対策を待っている。

「蒟蒻畑」製造中止から2週間--。最新レポートはこちらをチェック

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