マカフィーは、新たなセキュリティテクノロジ「Artemis Technology」を発表した。この夏は、新種のマルウェアなどの発生がこれまでにないレベルとなった。1日で2006年の1カ月分のマルウェアが検出されたこともあった。これまでのウイルス対策ソフトでは、基本的には、シグネチャ(ウイルス定義ファイルなど)を更新しない限り、未知のマルウェアに対応できない(ヒューリスティック機能などは存在するが)。

Artemisは、従来のように、シグネチャの更新を定期的にPCへ行うことに加えて、攻撃の発生時からユーザーを守るテクノロジーである。これまでのサイバー犯罪に対抗する革新的な手法であり、既知の脅威はもちろん、新たな脅威を防御できるようになる。

防護の隙間を埋める

従来、マルウェアの検出はユーザーのPCにインストールされているシグネチャのデータベースが頼りだった。この方法では、最新の脅威を検出するため、新たな脅威が発生するたびに、各PCのデータベースを更新しなければならない。そのため、脅威が最初に特定されてから、すべてのコンピュータで防護が可能になるまで、わずかではあるが時間差が生じてしまう。そこが狙われることも少なくない。

Artemisは、シグネチャがまだリリースされていない脅威に迅速に対応することで、防護の隙間を埋めるテクノロジーである。Artemisを搭載したマカフィー製品で防護されているPCで疑わしいファイルが検出された場合、Artemisはリアルタイムでマカフィーのサーバーに接続し、そのファイルが悪質かどうか特定する。この確認は、ユーザーのPCにほとんど負担をかけることなく、数秒で行われる。この結果をもとに、新たな脅威の場合、速やかに防護が行われる。その詳細についてはまだ明らかでない部分もあるが、これまでのように、単純にマルウェアを分類・識別するものとは異なるとのことである。Artemisの主な特徴は次のとおりである。

  • 脅威の発生から防護までの間隔を数時間、数日から数秒に短縮
  • ブラックリスト、ホワイトリストモデルの長所を融合
  • リアルタイムで防護を実現するダイナミックなインターネットサービス
  • 簡単インストール

個人用には無料で提供

Artemisは中小企業向けのMcAfee Total Protection Serviceで提供され、今月中には、McAfee VirusScanR Enterprise、マカフィーの個人向け製品でも順次、提供される予定とのことである。マカフィーの個人向け製品では「Active Protection」の名称で、無料にて提供される予定である。