【レポート】

話題の「Genius」、そのカラクリをApple担当者に訊く

新たに登場した「Genius」機能

iPodシリーズ各機種の新モデルが発表された。あわせてiTunesも「8」にバージョンアップ、新たにグリッドビューを備えるなど、機能強化が図られている。しかし我々が注目するのはやはり……「Genius」(ジーニアス)。ユーザ好みのプレイリストが一瞬のうちに作成されるこの機能、どういうカラクリなのだろう? 折しも来日中の米AppleのiPodワールドワイドプロダクトマーケティング担当のショーン・エリス氏から話を伺う機会に恵まれたため、いくつか質問をぶつけてみた。

今回発表されたiPodシリーズ各機種 (shuffleを除く) は、Genius機能を備えている

最初に、「iTunes 8」の新機能について教えてください

ショーン・エリス氏: iTunes 8は、その歴史の中でも最良のバージョンに仕上がりました。いくつかある新機能のうち、特に重要な機能が2つあります。

iTunes 8に追加された新しい表示形式「グリッド」

1つは、新しいビジュアル仕様です。iTunes 7でサポートされたカバーフローに加え、新たに「グリッドビュー」が追加されました。この表示形式を選択すると、サウンドライブラリの内容が楽曲のカバーアートを使用して表示されます。画面上部に「アルバム」と「アーティスト」、「ジャンル」と「作曲者」のオプションが表示され、選択されたオプションを基準に楽曲がグループ化されます。

たとえば、「アルバム」選択時には楽曲がアルバム単位でグループ化され、そのカバーアートをダブルクリックするとアルバム内の曲が一覧表示されます。「アーティスト」選択時には基準がアーティスト単位となり、複数のアルバムを持つアーティストの場合、1枚だけ表示されたカバーアート上をマウスオーバーすると、ちょうどiPhoto 8における「イベント」のように、他のアルバムカバーアートをパラパラと閲覧できます。「ジャンル」選択時には、主要なジャンルごとに楽曲がまとめられ、マウスオーバーやダブルクリックを実行すると、そのジャンルに属す楽曲/アルバムが表示されます。

[Genius]ボタンをクリックするだけで、再生中の曲をもとにお勧めのプレイリストを作成してくれる

もう1つのクールな機能が「Genius」です。再生中の曲を気に入ったとき[Genius]ボタンをクリックすると、同じ傾向の曲が25曲自動的に集められたプレイリストが瞬時に作成されます。[更新]ボタンをクリックすれば、作り直しが可能です。これだ、と思ったリストは保存しておけば再利用もできます。この機能は、今回発表されたiPodシリーズ (iPod nano、iPod touch、iPod classic) でもサポートされます。

iTunes Store内の関連する曲が表示される、Genius専用のサイドバーも用意されます。ほかの曲・アーティストをクリックすると即座に内容がリフレッシュされ、まだ知らないが好きになるかもしれない曲を教えてくれます。

Geniusを初めて利用するとき、しばらく待たされますが、このときどのような処理が行われているのでしょうか?

エリス氏: 初めてGeniusの機能を利用するときは、iTunesサウンドライブラリ上の情報が、Appleのサーバへとアップロードされます。具体的には、アーティスト名や曲名、アルバム名、プレイリストの内容、再生回数やレートなどのデータです。送信されるのは抽象的なデータのみで個人を特定する情報は含まれないため、プライバシーは保護されますが、機能をオンにするときには(データ送信を了承する)同意書が表示されます。

[Genius]ボタンをクリックすると、一瞬でプレイリストが作成されますが、これはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか?

エリス氏: 全世界のユーザから提供されたサウンドライブラリの各種情報は、Geniusアルゴリズムのもとデータベース化されます。提供される情報が増えるにつれ、データベースの内容は充実します。そのアルゴリズムのもと、個別ユーザのサウンドライブラリを分析し、結果をそのユーザのディスクに保存します。Geniusプレイリストは、この結果をもとに作成されます。

iPod touch (ファームウェアv2.1以降) など、新しいiPodシリーズ各機種もGeniusプレイリスト作成機能に対応

ジャンルやアーティストによる分類は、Geniusリスト作成に影響しているのでしょうか?

エリス氏: Geniusでは、曲同士に「リレーションシップ」が結ばれます。ここで重要なのは、リレーションシップが1対1の楽曲レベルで作成され、アーティスト名やアルバム名を基準にしないということです。アーティストや楽曲が分類されるジャンルが異なるからといって、排他的な存在になるわけではありません。

では、フランク・シナトラ (注:ボーカル主体 / スタンダード系) の曲とパット・メセニー (注:楽器主体 / フュージョン系) の曲にリレーションシップが結ばれる可能性もあると?

エリス氏: そうです。その可能性はあります。リレーションシップは曲単位で結ばれ、曲を演奏するアーティストがどのジャンルに分類されているかといった情報は影響しません。ハードな曲がウリのアーティストでも、静かな曲を演奏することがあるわけですし。

では、意図的な関連付けは可能でしょうか? たとえば、AとBという曲をプレイリストに登録することを掲示板などで不特定多数に呼び掛け、大勢がそれに応じることで、曲Aを再生すると曲BがGeniusリストに表示されるようになるとか?

エリス氏: Geniusの楽曲データベースは世界中から集められた膨大な量があり、曲が1対1の関係で反映ということは考えられません。Geniusの利用者が増えればさらに量が増すことになるため、意図的なリレーションシップはごくわずかな量しか占めないことになります。

Geniusプレイリストの作成例。再生中の曲と (ほぼ) 同傾向の曲が集められている

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