CEOのJen-Hsun Huang氏による基調講演が終了したのち、現在NVIDIAが注力している分野の技術的な概要を説明するテクニカルキーノートが行われた。その中から、土台となるGPUのロードマップ、そしてGPUに新しい要素を加えるCUDAと、CUDAによって市場が一気に広がったPhysXなどの講演内容についてお伝えしよう。

ロードマップを担当したTony Tamasi氏(VP、Technical Marketing)は最初に、90年代後半からこれまでのゲームコンピューティングにおけるCPUの進化をおさらいした。初期GPUの固定パイプラインによるレンダリングは環境やキャラクタに制限を強いていたが、リアリティを追求する上でプログラマブル・シェーダーが導入され、今グラフィックス全体にプログラマビリティが広がろうとしている。微細なシェープや複雑なオプティカル効果、シームレスな動きを追求する過程で、GPUは柔軟性を有したアーキテクチャへと進化してきた。その基盤となっているのが「モンスターハードウエアである」と同氏。HSVを考案したAlvy Ray Smith氏が、99年に「リアリティは8000万ポリゴンである」と述べたそうだが、今や数十億単位の処理が実現している。

Technical Marketing担当バイスプレジデントのTony Tamasi氏

固定的な機能だったGPUにプログラマブルシェーダー・アーキテクチャが導入され、柔軟性が加わった

NVIDIAは98年から2007年まで、GPUのテクスチャ、アンチエイリアス、深度、浮動小数点演算、メモリー帯域などのパフォーマンスを年間1.6~2.2倍のペースで引き上げてきた。その成長率は2008年に登場したGeForce GTX 200シリーズでも維持されている。

数字は左から98年~2007年の年間成長率、GeForce FX(2003年)の数値、成長率をベースにした08年の数値、今年登場したGeForce GTX 200シリーズの数値

2008年、プログラマブル・グラフィックスが広くエンドユーザーに浸透し始める

モバイル向けは最先端のグラフィックスの5年遅れで推移しているそうだ。つまり過去5年を振り返れば、今後のモバイルにおけるグラフィックス体験の進化が見えてくる。ではGPUの今後の5年はというと、現在の延長線上で進化し続けるという。引き続き"モンスターハードウエア"が登場し、その一方で、よりリッチなプログラミング環境に向けてC++に対応し、ポインタを完全にサポートする。ほかにもプリエンプション動作やアダプティブなワークロード分割、バーチャルパイプラインなどのキーワードが挙げられた。

2013年まで、現状のパフォーマンスの伸び率を維持

2013年のモンスターハードウエア