丸ビルをはじめとする丸の内エリアでは3月28日より、「丸の内アートウィークス2008」を開催している。若手アーティストの発掘・育成を目的としたコンペティション「アートアワードトーキョー2008」など7つのイベントで構成され、多種多様なアートに触れることができる。開催期間は4月17日まで。

キャッチコピーは「アートと歩く丸の内」。今注目のアートイベントが丸の内各所で繰り広げられる3週間だ。美大を卒業したてのフレッシュな才能から世界のアートシーンを一望する国際アートフェアまで、様々なアートの「今」が丸の内に集うという。街中のアートスポットともリンクして丸の内の新しい街歩きを提案し、主催側は「マップを片手に春の東京アート散策をお楽しみ下さい」とPRしている。

そこで、目白押しのアートウィークスのイベントを、「私ならこう回る! 」という道順で紹介しよう。まずイベントに向かう前に、丸の内エリアのアート関連施設をはじめ、都内アート関連施設約100カ所にて無料配布される「丸の内&東京アートマップ」を手に入れよう。丸の内で開催されているアートイベントをはじめ、同時期に開催される都内のアート情報が一目で分かる便利なマップだ。

アートアワードトーキョー

丸の内エリアに着いたら、国内の若い芸術家の発掘と支援を目的としたアート展「アートアワードトーキョー」を見に行ってみてはいかがだろうか。丸ビルと新丸ビルに挟まれた行幸地下ギャラリーには、国内の主要な美大、芸大の卒業制作展から選ばれた作品約45点が展示される。4月3日には会場内で最終審査会を実施し、グランプリを決定するという。若手アーティストの"登竜門"をくぐって、世界へ羽ばたいていく瞬間を目の当たりにできるかもしれない。デビュー前の若々しい才能が溢れる作品の数々に触れることが、アート鑑賞初心者である私のアート巡りのスタートにもふさわしい。

ニュートーキョーコンテンポラリーズ

次に新丸ビル7階で開かれる「ニュートーキョーコンテンポラリーズ」へ。展覧会「end of the tunnel」が開催される。それは「ARATANIURANO」や「無人島プロダクション」、「MISAKO&ROSEN」など7つのギャラリーが、丸の内を中心に「様々な人が集う場」を目指して集結。第一世代のギャラリーで経験を積んだ若手ギャラリストたちが推薦する新進気鋭の作家たちの作品をグループ展方式で紹介する。ゲストを迎えたトークやパフォーマンスイベントも行われる。アーティストがギャラリストとともに成長し、成熟していくのを感じることができるのではないだろうか。

昨年のアートアワードトーキョー2007(A.A.T.2007)でグランプリに輝いたkojin haruka(荒神明香)の作品「Walk in マ・マー」。受賞後、既にアート界で活躍中

アートファア東京2008

少し歩いて、東京国際フォーラムへ向かうと、アートを展示・販売する日本最大の見本市「アートフェア東京2008」が開かれている。世界6都市から108もの画廊による選りすぐりのアートが集まるというからすごい。「本物のクオリティ」を求める人をテーマに、「古美術・工芸」「日本画・近代洋画」から「現代アート」までジャンルを越える。世界の"本物"に囲まれ、アートの世界の無限さを感じることができそうだ。

アート・フラッグイン丸の内、アートカフェ@丸ビル

アート・カフェ @ 丸ビル「存在しないカフェ」の作家 assistant (Megumi Matsubara + Hiroi Ariyama) (松原 慈+有山 宙)。Photo:Yoshitsugu Enomoto

アートでおなかがいっぱいになったところで、丸の内の中央を貫く全長1.2kmに及ぶ仲通りを飾るアートフラッグを眺めてほしい。街並みに溶け込んだアートも、自分の日常をアートに変えてくれるようでわくわくする。道の途中には無料休憩所「丸の内カフェ」もあり一息つくこともできる。ここではアート・デザイン書籍が読めるので、新たなアートへの興味を掻き立てられて、休んでる場合ではないかもしれないが。

また、アートウィークスに合わせて丸ビル1階のカフェ・イーズを衣替えする「アートカフェ」を利用しての休憩もお勧めだ。「アートカフェ」に変身させるのは、松山慈や有山宙を中心としたクリエイティブグループ「assistant」。「存在しないカフェ」がテーマであり、「Design Tide in 2007」などの展覧会デザインを手掛けるなどする彼らの手に掛かると、どんなカフェが現れるのか予想ができず期待が膨らむ。

アート・インスタレーション イン マルキューブ

休憩を終えて間もなく、丸ビル1階のオープンスペースに出現する大きな白い竹林に驚く。在日フランス人アーティストのアンテ・ヴォジュノヴィック氏による体験型のインスタレーション「Foret de Bambous 竹の森」が正体だ。壮大な白い竹林の中で、竹に触れ、響き渡る竹の音を耳にし、竹の中を流れる空気を感じることで、自らの感覚を研ぎ澄ますことができる空間だという。鑑賞するだけでなく、ヘルメットを被りながら約800本の竹林を掻き分けながら彷徨ってみると、どんな気持ちになるだろう。都会の真ん中で何をしているのだろうと思うか、巡ってきたアートが走馬灯のように迫ってくるだろうか、私も鑑賞したアートに負けない作品を作ってみようと思ってしまうだろうか……、アートに刺激を受けるのがアート鑑賞の醍醐味なのだろう。

イベント「アート・インスタレーション イン マルキューブ」。在日フランス人アーティストであるアンテ・ヴォジュノヴィック氏による作品「Foret de Bambous」(竹の森)

その他の見所

主なイベントのほかにも、まだまだ見所がたくさんある「丸の内アートウィークス」。丸の内周辺にはアートスポットが盛りだくさんで、「アッシュ・ぺー・フランス ウィンドウ ギャラリー」や「出光美術館」、「東京国立近代美術館」、「丸の内ギャラリー」、「スタジオグラフィア」、「ウイルデンスタイン東京」、建設中の「三菱一号館美術館」などもアートウィークスに参加する。私にとってはアート鑑賞のお供に欠かせないレストランやカフェ、ショッピングも充実しているのが丸の内エリア。「丸ビル」や「新丸ビル」はもちろん、「丸の内オアゾ」、「東京ビルTOKIA」、「Cotton Club」、アート彫刻が並ぶ街路樹のショッピングストリート「丸の内仲通り」を堪能したい。アートやデザインをコンセプトとしたエリア内のショップでも、アートウィークスに連動したアートディスプレイが展開されるという。

1日で効率良くすべてを回るのも良し、1日1日自分のテーマを決めて開催期間中を満喫するも良し、それぞれの"アートウィーク"を楽しむことができるのではないだろうか。

主なイベント一覧

イベント 期間 時間 会場 入場料 関連イベント
アートアワードトーキョー2008 4月4日~5月6日 11:00~20:00 行幸地下ギャラリー(行幸通り地下) 無料 詳細はART AWARD TOKYO実行委員会事務局
アート・インスタレーション イン マルキューブ 3月28日~4月15日 丸ビル1階マルキューブ 無料
アートカフェ@丸ビル 3月28日~4月15日 丸ビル1階カフェ・イーズ オープニングイベント(スペシャルゲストによるトークイベント、3月38日18:30から19:30)
アートフラッグ イン 丸の内 3月28日~4月17日 仲通りほか丸の内界隈ストリート
丸の内&東京アートマップ 3月28日~4月17日 丸の内エリアのアート関連施設をはじめ都内アート関連施設約100ヶ所 無料配布
ニュートーキョーコンテンポラリーズ 3月28日~4月6日 丸の内ハウス(新丸ビル7階) 無料 オープニングイベント(3月28日19:30)、コレクターの宮津大輔トーク(4月2日19:30~21:00)、宇治野宗輝&ザ・ローテーターズのパフォーマンス(4月3日21:30から)、ギャラリスト・小山登美夫のトーク(4月5日14:00~16:00)。トークのみ会場はアートカフェ@丸ビル。詳細及びイベント申込みはこちら)
アートフェア東京2008 4月4日~4月6日 4月4日は11:00~21:00、4月5日は11:00~20:00、4月6日は10:30~17:00 東京国際フォーラム地下2階展示ホール1 1DAYパスポート一般1500円 ダイアローグinアート(4月5、6両日)、会場ガイドツアー(各日2回開催)など