【インタビュー】

ディズニー映画を支える音楽の巨匠 - アラン・メンケン

 

3月14日から公開中のディズニー映画『魔法にかけられて』の音楽を担当したのが、同社のアニメ作品で数々のアカデミー賞に耀くアラン・メンケン氏だ。1949年ニューヨーク州に生まれたメンケン氏は幼い頃よりクラシック音楽を学び、大学卒業後に舞台音楽の作曲家を志すが、1979年に始めて手掛けたカート・ヴォネガット原作のミュージカル『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを(God Bless You, Mr. Rosewater)』は不成功に終わる。

しかし、1982年のミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(Little Shop of Horrors)』の音楽でついに注目を浴び、この作品は4年後に映画化され、主題歌はアカデミー歌曲賞にノミネートされることになる。

メンケン氏の輝かしい経歴は、ディズニーと契約して1989年に手掛けた長編アニメ『リトル・マーメイド(The Little Mermaid)』の楽曲が、アカデミー作曲賞/歌曲賞、ゴールデングローブ作曲賞/主題歌賞を受賞した時からスタートしたと言えるだろう。1991年『美女と野獣(Beauty and the Beast)』で、またもやアカデミー作曲賞/歌曲賞を獲得。翌1992年『アラジン(Aladdin)』でも作曲賞/歌曲賞、1995年『ポカホンタス(Pocahontas)』では再び歌曲賞/音楽賞を受賞。1996年『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』では作曲賞、1997年『ヘラクレス』では歌曲賞、そして『魔法にかけられて』では歌曲賞にノミネートされた。

3月、『魔法にかけられて』のプロモーションで監督や主演俳優とともに来日したメンケン氏にインタビューする機会を得ることができた。まず最初にこのアニメーションと実写が合成された映画において、音楽面で苦労した点を尋ねた。

「アニメと実写の合成だからといって、音楽的に大変ということはありませんが、全体的なコンセプトの中で見ると、まずアニメの世界というのはとても純粋でかつ楽観主義的でさらにロマンチックです。そういった世界からシニカルな現実社会に入ってくると、当然キャラクターは場違いな存在であり、それが音楽にも反映してくるので、それを表現するようにしました。もしアニメのまま、ずっとこのストーリーが展開して行ったならば、大人が全く興味を持てない子供向けのものになってしまったと思います。ですが、アニメと違ってとにかくいろいろなことがある現実社会に来てしまうというコンセプトだったので、非常に音楽も作りやすかったですね」

この映画では、ディズニーアニメ初期の『白雪姫』や『シンデレラ』の頃の音楽を彷彿とさせるような曲で始まり、次第にキャラクターが現実社会で3次元的に成長して行く中で、音楽もそれに伴って現代的になっていくという作りになっている。映画自体が、従来のディズニーアニメのパロディのようなものなのだが、音楽もそう考えて良いのだろうか?

「冒頭の飛び出す絵本が開くところから、これはもうまさに『白雪姫』や『眠れる森の美女』、『シンデレラ』の世界ですよね。ですから、観客は観ていて『あっ、これは見たことある』と理解できる。だから受け入れられやすいし、またこの映画のゲームというかジョークの中に参加できるわけです。オーケストレーションを担当したダニー・クルーブが、当時の音楽を意識したアレンジを施してくれたことも大いに助かりました」

中でも、ニューヨークのセントラルパークで、カリプソ風なトロピカルな音楽で踊るシーンは、作品の白眉と言っていいだろう。その曲「想いを伝えて(That's How You Know)」のサウンドは、初のアカデミー賞を獲った『リトル・マーメイド』を彷彿とさせるが、これはやはりメンケン氏にとって特別な意義があるということなのだろうか。

「実はカリプソというより、サルサですね(実際に口ずさむ)。それで、コーラス部分はレゲエになる。まさに映画の舞台であるニューヨークが、いろんな文化と人種が混ざり合っているのと同じように、音楽的にもさまざまなものが混ざっているような、そういうものにしたかったのです。そう、あの曲は私にとっては特別でした」

元々クラシックに造詣の深いメンケン氏ではあるが、こうした曲作りからもわかるように、非常に幅広い音楽性を持っている。彼の好きな音楽を尋ねると、クラシックのロマン派からベートーベン、ブラームス、ドビュッシー、ラベル、ストラビンスキー、クラシックロック、ビートルズ、ボブ・ディラン、ジャクソン・ブラウンなどの名前を挙げた。

「僕はオールドヒッピーなので(笑)。コンテンポラリーなポップスは余り聴かないけど、好きなものはいくつかあります。あとは、いわゆる黄金期のミューカル作品、アーヴィン・バーリン、ガーシュインなど、アステアとジンジャー・ロジャースの映画音楽を作曲しているコール・ポーターもそうですが、あの辺の音楽を最近よく聴いています」

そんなメンケン氏の曲作りは、コンピュータで行われている。

「コンピュータとMIDIを使っています。コンピュータはもちろんMacで、愛用しているのはMacBook Pro、ソフトはデジタルパフォーマー。OSは、ソフトを使う上でLeopard(v10.5)はちょっと問題があるので、Tiger(v10.4)のままです。スーツケースに入るようなポータブルスタジオシステムを構築して、どこにでも運べるようにしています。新しいテクノロジーが大好きなので(笑)」

気さくな映画音楽の巨匠は、最後にこう締めくくった。

「実写版のミュージカル映画に私が関わったのは『ニュージーズ』(1992年)以来であり、ディズニーにとって本格的なオリジナル作品という意味では、『メリーポピンズ』以来だと思います。この作品は我々にとって大きなステップであり、これが成功すれば、もっともっとこういうミュージカル映画が増えるのではないかと期待しています」

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