個性的な歌い方にする

ここまではあまり面白みのない歌い方でしたが、ここからは歌い方にクセをつけて個性的にしてみましょう。まずはメロディラインを変更しますが、その前にテンポの変更方法を説明します。

メロディラインを変更する

シーケンストラックを一番左までスクロールすると、ルーラの「TEMPO」の右側に「120.00」と表示されています(図34)。これをダブルクリックすると「グローバルテンポ」ダイアログが開くので、「テンポ」の値を128に設定して[OK]ボタンをクリックします。これでテンポが128BPMに設定されました。BPM(Beats Per Minute)とは、1分間に4分音符のリズムを何回打つかという単位です。ダンス系の曲などでバスドラムが「ドン、ドン、……」と等間隔で規則的に鳴っていたりしますが、あのリズムの速さのことです。

(図34)テンポを128に設定してみます。ここは好みで変更してかまいませんが、あまり速くすると不自然な発音になったりして、全体的に調整が必要になってきます

では、1小節目から2小節目までのメロディラインを変更します。まず、「わたしの」の「の」を半分の8分音符にして、空いた部分に8分音符のレ(D3)の音で「う」と入力します(図35)。同様にして、「うたを」の「た」の音を半分にして、右隣にド(C3)の音で「ー」と入力します。歌詞に音引きの「ー」を入力すると、前の音の母音が自動的に入力されます(「た」なら「あ」)。

(図35)「わたしのうたを」の「のうた」の部分を変更します。「う」と「た」の音に動きをつけます

続けて3~4小節目を変更します。まず、「き」の音を2小節目の最後まで8分音符の長さだけ左へ移動して、ずらした分だけ音符を伸ばします(図36)。次は「て」の音を半分にし、続けてファ(F3)の音を追加して歌詞に「み」と入力します。4小節目の頭にあった歌詞「み」は「ー」に書き換えます。「る」は動きを出すため半分にし、その後ろに16分音符でソ(G3)ファ(F3)と続けます。歌詞は両方とも「ー」です。

(図36)「きかせてみるよ」の「き」を前に出し、「てみる」を変更して動きをつけます

では、ここまでを一度再生してみましょう。

ここまでの完成ファイル

続けて後半を変更します。5~6小節目はドの音が4つ続いているだけで単調なので、少し手を加えます。まず[ポインター]ボタンをクリックし、5~6小節目のドの音をドラッグして囲みます。4つの音符が青くなったら、ドラッグして8分音符分だけ前に移動しましょう(図37)。今度は3つ目の「ら」をクリックして選択し、4分音符の長さに伸ばします(図38)。4つ目の「ら」は8分音符分だけ伸ばし、1オクターブ上までドラッグします。さらに歌詞を「ー」に変更します。この部分は後でビブラートの調整をするので、ここではこのまま進めましょう。

(図37)「らららら」の部分は、4つの音符をまとめて選択して前に出します

(図38)3つ目と4つ目の「ら」を伸ばしてつなげます。4つ目の音は1オクターブ上げ、歌詞を「ー」にします

最後の7~8小節目は、「ちょ」の音を8分音符分だけ前に出し、4分音符の長さに伸ばします。そして、最後の「な」をさらに8分音符分伸ばします(図39)。

(図39)最後は「ちょ」を前に伸ばし、「な」を後ろに伸ばします

では、後半を通して聞いて確認しましょう。

ここまでの完成ファイル

メロディができたら、声に表情をつけていきます。コントロールトラックで調整する前に、シーケンストラックで音のつながりとビブラートを設定していきます。

細かい調整を行う

まず、4小節目にある「みーるーーよ」の部分で、「るーー」の部分をなめらかにつなげるようにします。「る」の後ろにある「ー」の音符(G3の音)の「表情コントロールプロパティ」ダイアログを開きます。音符の下にある波線の左端をダブルクリックしますが、波線が表示されていない場合は、ズームスライダーを右にドラッグして音符の表示幅を広げましょう。「テンプレート」で「slow legato」を選択すると「アクセント」が小さくなり、「上行形でポルタメントを付加」と「下行形でポルタメントを付加」にチェックが入ります。この状態で「OK」ボタンをクリックして設定します(図40)。続けて、その次の「ー」の音符も同じ設定にします。

(図40)「上行形でポルタメントを付加」にチェックを入れると、前の音符から音程が上がったとき(前の音符の音程が低い場合)に、なめらかにつながるようになります。「下行形で~」はその反対です

5小節目後半から伸ばした「らー」では、後ろの「ー」の音符の下にある波線左端をダブルクリックします。ここでは「テンプレート」で一度「slow legato」を選択して、さらに「ベンドの深さ」と「ベンドの長さ」を「40」に設定します(図41)。これで、1オクターブ上がる際に音程が少しゆっくり上がります。続けて、同じ音符にビブラートを設定します。今度は音符の下の波線右端をダブルクリックしましょう。すると「ビブラートプロパティ」ダイアログが開きます。「ビブラート長」は「100」、「ビブラートの種類」は少し深めの「[Normal] Type 3」にして[OK]ボタンをクリックします(図42)。

(図41)「ベンドの深さ」と「ベンドの長さ」を大きくすると、前の音からつながるように音程が変化し、歌い方にクセがつけきます

(図42)「ビブラート長」を「100」にすると、音符の下にある波線も全体的に波形になります。波がない音符では、ビブラートが設定されていません

後は、8小節目最後の「な」に軽くビブラートをかけます。音符の下の波線右端をダブルクリックし、「ビブラートの種類」を弱めの「[Normal] Type 2」にして、「ビブラート長」は「100」にします(図43)。ここまで設定したら、一度保存しておきましょう。

(図43)最後の「な」の音は、音符全体に弱めのビブラートをかけます