消費電力

最後に消費電力を比較した結果を示す。測定はシステム全体の実効消費電力を、ワットチェッカーを使って測定した。測定項目は、

「Standby」:何も作業をしていない待機状態
「Sandra Int」:Sandra XIIのArithmetic BenchmarkでDhrystoneを実施中
「Sandra Float」:Sandra XIIのArithmetic BenchmarkでWhetstoneを実施中
「Multi-Core Efficiency」:Sandra XIIのMulti-Core Efficiency Benchmarkを実施中
「Lost Planet Snow」:Lost PlanetでSnowシナリオを実施中
「H.264」:H.264 Encoder V2.01でH.264 High Profileでのエンコード

の6項目である。この状態でそれぞれのピークの消費電力を比較してみた。ちなみにWindows Vistaの電源プロファイルは"Balance"(つまりEISTが動作する状態)に設定している。

結果はグラフ26の通りだ。なにしろハイエンドマザーボードに4GBメモリ、GeForce 8800 GTXという装備なので、絶対的な消費電力は無駄に多い。そこでYorkfieldとKentsfieldでの消費電力の差を同時に並べることにした。流石に待機時は27Wとそれほど違いが無いが、フルに稼動させると60W前後消費電力が異なる事が判る。待機時については、今回試用したCPUはYorkfieldの方が多少Core Voltageが低いが(Photo13,14)、そもそも45nmと65nmの別々のCPUをCore Voltageだけでは同列に論じられないので、単に電圧が低いから消費電力も低いとは言えない。それでもCore 2系は低い消費電力がウリだったわけで、これを更に下げられるのだから、45nmプロセス恐るべしというべきか。フル稼働時の消費電力差は更に大きく、仮に性能が変わらなくても、この消費電力だけで十分Yorkfieldの優位性が明らかとすら言ってもいいだろう。

Photo14:Yorkfieldは2GHz動作時で1.112V。3GHz動作時で1.184Vだから、理論上はピークの58%程度まで消費電力が下がる計算。

Photo15:Kentsfieldは2GHz動作時に1.120V。3GHz動作時で1.264Vだから、こちらは52%まで下がる事になる。

まとめ

今回はPreviewということで、内部構造の追求などは行わず、とりあえずアプリケーションテストの結果だけをまとめてお届けした。簡単にまとめると、

  • 同一周波数のYorkfieldとKentsfieldでは、数%の性能改善が見られる場合も多い。
  • ただし若干遅くなる場合もある。特にHDDアクセスが妙に遅くなる場合が見られる。
  • 消費電力の低減は著しい。
  • SSE4の効用は、現時点ではまだ不明。

というあたりだろうか。もうすこしきちんと内部を確認したレポートは別途お届けしたいと思うが、それなりに素性が良いプロセッサであることははっきり判った、と言えそうだ。