18日の『ミュージックステーション SUPER SUMMER FES 2025』は4時間の生放送。現在は出演アーティストを徐々に発表している段階だが、「企画はふだんの『Mステ』ベース」という例年通りが推察される。ステージ演出もアーティストのテンションも通常放送よりライブ感が強く、本物の夏フェスに近いのはこの特番かもしれない。

ただ、タモリを中心に醸し出される音楽番組の王道をゆくムードは、裏を返せばインパクトという点では厳しいということ。「SNSの動きをどう生み出せるか」という課題を制作サイドがどう対策していくのか。「よりアーティストの力を信じ、アーティストは力を問われる」というシビアな形は長寿番組の貫禄を感じさせられるが、短期間に5局そろい踏みした結果、埋没してしまうリスクも感じさせられる。

19日の『音楽の日 2025』は8時間の生放送。今年のテーマは「ココロ」だが、再注目は当特番が近年、頭1つ抜けた存在となった2つのプロジェクトだろう。

その1つである“大合唱”プロジェクトは今夏パワーアップし、GRe4N BOYZ×NEWS、Aqua Timez、WEST.、SGの4つのステージが予定されている。一方、2年連続で視聴者だけでなく業界関係者を驚かせたダンスコラボのプロジェクトも6月30日に詳細を発表。「DREAM DANCE」というテーマを掲げ、LDH、坂道グループ、スターダスト、STARTO、HYBE、BMSG、ライジング、LAPONEと事務所ごとにドリームチームを結成してダンスショーが行われる。

さらに、Da-iCEが「この日のために『ココロ踊るお祭りソング』を作曲する」というプロジェクトなども発表済み。毎週2時間のレギュラー音楽番組を放送している強さからか、企画力は抜けているだけに未発表の大型コーナーにも期待が集まる。テレ朝の放送翌日である上に最後の放送という日程は不利というより「大トリ」としてみなされるのではないか。

ちなみに、9日の『テレ東音楽祭2025~夏~』は4時間半の生放送が予定されているが、その内容はほとんど発表されていない。国分太一の騒動で司会者不在となり、予定されていた出演者発表も延期され、ようやく6月30日に第1弾が発表されるなど、大きな影響を受けてしまった。そもそも出演アーティストの数だけでなく、これまでの放送ではアーカイブ映像を使ったコーナーが多いなど、他局とは別物と考えたほうがいいだろう。

年末も視野に入れたスタッフの奮闘

ざっくりまとめると、『FNS』らしいコラボで先陣を切るフジ、新旧の楽曲で楽しませる日テレ、『ミュージックステーション』のブランドで正攻法のテレ朝、多彩な企画とライブ感で勝負のTBSといったところか。また、“夏フェス”の開放感やノリが感じられそうなのはTBSであり、「近年は他局が『音楽の日』を意識しながら制作している」という声も聞こえてくる。

制作サイドにしてみれば夏フェス特番は、「最重要な年末フェス特番につなぐ」という意味合いも濃い。アーティストとの関係性を深め、次の企画に向けた布石を打つ、アーティスト側の要望をヒアリングしておく、アーティスト同士を顔合わせさせて反応を見るなどの動きも水面下で行われているという。

いずれにしても集中的に放送される今年の夏フェス特番は、「ウチの局だけ出演しないのはありえない」「他局の特番よりいい企画や演出を先んじて提案しなければいけない」などの重圧もあるだけに、それぞれ力の入ったものになるのではないか。

もし日付における放送順の妙があるとすれば、いずれも生放送のため、特にテレ朝とTBSは「先に放送された他局の特番を見て調整可能」という優位性がある。その意味で、まずはフジと日テレの特番に注目してみてはいかがだろうか。