おもしろくて便利そうなアイテムが山のようにある「サンコー【レアモノ】ショップ」。その山のようなアイテムの中から、ライターの古田雄介氏の心の琴線に引っかかったモノを実際に使ってみるのがこの連載。今回のアイテムは使える? 使えない? さあどっち!

普通のノートPCをタブレット化&ペンタブ的な使い方も可能!

デジカメ写真にちょっとしたイラストを添えたり、メールに添付されたプレゼン資料などに修正を加えて相手に戻すときは、マウスやキーボードより、フリーハンドでかき込めるペンタブレットのほうが重宝する。

紙に描くときと同じ感覚で自分らしい絵が描けるし、何ページにも及ぶ資料でもざっくりと赤ペンを入れられる。デジタル書類が増えている現在でも、アナログ的な入力が便利に思える機会は意外と多いのだ。

ペンタブレットがなくても、マルチタッチ機能搭載のWindows 7マシンやタブレットPCを使っているなら、そうした自在な入力方法をフレキシブルに使えるだろう。しかし、長らく使っている手持ちのマシンでも、「DUO for LAPTOP」を導入するだけで似たような便利さが得られるかもしれない。

サンコー「DUO for LAPTOP」

DUO for LAPTOPは、レシーバーを設置することで、ノーマルのPCをタブレットPC化できるアイテムだ。付属のデジタルペンにより、ディスプレイに直接ペンを走らせてマウス操作したり、イラストを描いたりできる。また、レシーバーを机上に置けば、即席のペンタブレットにも早変わりする。

デジタルペンのペン先をボールペンに変えて、手描きのメモを描くと同時にデジタルデータも残すといった使い方も可能。一台で、タブレットPCとペンタブレットと両方の役割が担えるのだ。

タブレット化できる対応エリアは液晶ディスプレイで最大15.4インチ、ペンタブレットとしては最大B4サイズとなる。このため、AV向けの17インチ前後のノートやデスクトップマシンの液晶には使えないが、その場合もペンタブレット専用ツールとしては役に立つ。対応OSはWindows XPと32bitのWindows Vistaだ。少し古めのPCに新たな入力方法を加えるのに面白いアイテムだろう。

レシーバーはUSBバスパワーで給電する仕組み。ケーブル長は約80cmだ

デジタルペンはAG3型のボタン電池3個で稼働する。コンビニやスーパーでも売られている標準的な電池だ

セットアップと付け替えは簡単にできる

マルチな機能を備えるアイテムだけに、シーンに応じて接続するPCや設置する場所などを切り替えて使いたいところ。すると、セットアップの容易さは重要なポイントとなる。

レシーバーをPCに接続して付属のCD-ROMからドライバをインストールするのは、数多くのデバイスと同じだ。PCのディスプレイをタブレット化する場合、レシーバーを液晶の上部または左か右のフレームに固定し、ユーティリティで該当の動作モードに設定する。その後、初期設定画面を表示して、デジタルペンで画面をタブレット領域とカーソルの位置を確定される。これで完了だ。ペンタブレットとして使う場合、細かい領域設定はなく、用紙サイズを指定するだけでいい。

レシーバーの位置を確認し、粘着テープでマグネット製ストッパーをノートPCの裏側に貼り付ける。レシーバーは画面に対して垂直になるように固定する、また、画面の中心にくるように心がけよう

ユーティリティの「PENonPC」を起動して、まずはモードを選択する。タブレットPCとして使う場合は「Screen Mode」を選ぶ

手順が少ないので、初回の設定で流れをつかめば、ストレスなくモードの切り替えができるだろう。例えば、液晶をペンタッチできる状態から、机上のペンタブレットに切り替えるなら、レシーバーを机上に移動して、ユーティリティで「Table Mode」に、動作領域を使う用紙のサイズに合わせるだけだ。再起動も必要ないので、普段は電話などのメモを残すためにTable Modeで机上に設置しておき、デジタルデータに手描きする必要が出たときだけScreen Modeで利用するといった使い方が無理なくできる。

Screen Modeの「オプション」で、レシーバーの取り付け位置や筆圧などが調整できる。画面の左右端に取り付ける場合は、ここで設定変更を行ったのちに領域調整する

Screen Modeの「動作領域の調整」では、デジタルペンを動かして、ペン先とカーソルの位置を微調整する。その流れで画面の上下左右端も確定させる

レシーバーの固定部にスリットがあるので、中心線をあわせてメモ用紙をはさみこむ

Table Modeでは、使う用紙のサイズと向きを決めるだけで領域設定が可能だ。だが反面、輪郭の微調整はできない

タブレットPCとして実用できるが、イラスト作成は厳しい

では、使い勝手を見ていこう。まずはScreen Modeだ。デジタルペンのレスポンスは十分良好で、マウス代わりにウィンドウを動かしたりアプリケーションを操作したりする際に不都合はなかった。中央と四隅でもズレを感じなかったので、実用レベルの出来といえる。ただし、普通に握るとペンの選択近くにある左右のクリックボタンを誤打しやすい。力の入れ具合は、通常のペンと多少変えたほうが快適に使えると思われる。このあたりは各人の癖なども絡んでくるが、1時間も操作していると自然に慣れるはずだ。

一般的なペンタブレットと同じように、ペン先にもスイッチがある。ペン先はストックを同梱しており、ボールペン型に切り替えることも可能だ

ペン先に近いほうが左クリック、中央に近い側が右クリックボタンとなる。スイッチが軽いので、使い始めは不意に押してしまうことが多かった

ただし、ペイントツールでイラストを描く際は、入力のオンオフが上手く切り替わらずに苦労することが多かった。試用機では、ペン先のスイッチのつくりが甘く、ペンを画面から離したあとも入力状態が続くケースが何度かあった。ペン先を押しすぎると発生しやすいトラブルなので、常に筆圧を最小限に留めるように心がけることでほぼ回避できる。このため、筆圧の強弱を自在に操って手の込んだイラストを描くのは難しい。また、普段から筆圧が強めの人は、いつもどおりのペンさばきとはいかなくなるので、慣れるまでに時間がかかると思われる。

ちなみに、Office 2003以降を使っているなら、WordやExcel、PowerPointなどの資料に手描きの情報を加えることも可能だ。また、Windows Vista Home Premium以上のエディションを使っているなら、手書き文字の認識機能も利用できる。

ボールペンタイプのペン先は使いにくいと言わざるを得ない

次はTable Modeだ。ペン先をボールペンタイプに切り替えると、デジタル入力とともに紙の上にアナログの情報も残しておける。メモ書きをPC管理するといった使い方に最適といえる。

デジタルペンのレスポンスはこちらも上々で、前述のように筆圧に気をつけていれば、紙にかいたどおりのイラストや文字がほとんどのタイムラグなく、デジタル化できる。PC側に付属のペイントソフト「NoteTaker」を起動しておけば、大きめのアイコンをクリックして、色変えや消しゴムかけがスムーズにこなせる。

NoteTaker。左右にペイントツールが並ぶ構成だ。Table Modeで指定した用紙の左右スペースにデジタルペンを走らせて、各種ツールを利用するといったスタイルで使える

しかし、少なくとも試用機では、この使い方は現実的でなかった。付属のボールペン型ペン先はデジタルペンに固定しても頻繁に抜け落ちた。標準タイプよりも表面が滑らかで、本体側がうまく固定しきれないためと思われる。さらに、油性ボールペン特有のインクつまりが起きやすく、書いている途中でインクが出なくなることも多々あった。筆圧を強めてインクの出を良くすると、今度はデジタルペンの誤動作を誘発してしまう。

結局、滑り落ちがない標準タイプのペン先で、一般的なペンタブレットとして操作するしかなかったのは残念だ。デジタルペンの作りの甘さから考えて、個体によっては仕様どおりに便利に使えるものもあるとは思うが……

作業中にすべり落ちたボールペン型のペン先。インクつまりも多く、どうにも実用出来なかった

紙の用紙に標準ペンを走らせて利用した。これでも使えなくはないが、電話中の走り書きを残すといったスタイルには無理が出る

DUO for LAPTOPの直販価格は8,800円。この価格帯なら、一般的なペンタブレットのエントリークラスが購入できる。本格的にフリーハンド入力を導入するなら、そちらを検討するのが得策だ。

しかし、手持ちのモバイルノートにタブレット機能を追加して通勤電車内で立って操作できるようにしたり、たまにデジタル文書にフリーハンドで何かを加えるといった使い方なら、状況に応じて自在にモードを切り替えられるDUO for LAPTOPが重宝するだろう。また、使いこなすには多少の練習が必要なので、変わり種アイテムを使いこなすことに悦びを感じる人には、ちょうどいいアイテムかもしれない。

■仕様
製品名 DUO for LAPTOP
対応サイズ (液晶)最大15.4インチ、(紙)~B4(364×257mm)
本体サイズ/重量 (レシーバー)W77×D8.5×H58mm/約17g、(ペン)φ16.5×H130mm/約19g
ペン部電源 ボタン電池(AG3型)×3個
対応OS Windows XP/Vista
対応環境 CPU:1GHz以上、メモリ:512MB以上、光学ドライブ:CD-ROM機能を備えたドライブ
直販価格 8,800円