今回は、フランスのコンシューマーエレクトロニクスブランドであるWithings(ウィジングズ)のスマートスケール(=体重計)「Body Cardio」の体験レポートをお伝えします。
現在、1日の長い時間を家の中で過ごしている皆さんも多いのではないでしょうか。筆者は取材で外出する機会が減り、在宅リモートワークスタイルが板に付いてきたころから、身体の端々に運動不足の兆候が現れてきました。在宅ワークを続けてから1年近く、ふと自分の筋力が驚くほどに衰えていることに気が付いたのです。
慌ててジョギングや筋トレをやりこんでみたのですが、体重の増減、太りすぎや筋力の低下といった健康状態をもっと細かくチェックできるスマート家電がほしいと思い始めました。そんな折、友人からWithingsのスマート体重計「Body Cardio」を聞いたことを思い出して、使ったみたわけです。
体重、心拍、体組成のデータを細かくチェック
Body Cardioはスリムでスタイリッシュなスマート体重計。初期セットアップにiPhoneかAndroidスマホが必要です。日々計測するデータの記録・閲覧には、専用アプリの「Health Mate」を使います。
いったんホームネットワークのWi-Fiルーターにつないでしまえば、あとはスマホ(アプリ)を操作しなくても、Body Cardioが体重や心拍、体組成のデータを記録して自動的にクラウドと同期してくれます。バッテリーはUSBケーブルによる充電式。フル充電に約5時間かかりますが、スペック上のバッテリーライフは約1年間とされています。
Body Cardioは「生体電気インピーダンス法(BIA:Bioelectrical Impedance Analysis)」によって、体内に微弱な電流を流したときの電気抵抗値から体脂肪率といった体組成を調べます。脂肪量、筋肉量、骨量、水分量を計測可能です。
合わせて、Withingsが特許出願中という技術を使って、体重を量ると同時に足の裏から心拍を測定します。心拍数を測るときは靴下を脱いで裸足になります。今回、筆者は頻繁に計測したかったのでBody Cardioをリビングルームに置きっぱなしにしましたが、Body Cardioに乗ると足下がひんやり。冬場は暖かい部屋に置いて使いたいと思いました。
なおWithingsでは、妊婦の方々とペースメーカーを装着されている方々は、体組成と心拍数の測定を控えるように伝えています。
血管年齢も測れる
欧州の循環器専門医と共同開発した「血管年齢」を調べる機能も、発売後に追加されています。測定した血管年齢はユーザーの実年齢と比較して、「至適ではない」「正常」「至適」の3段階に分類評価され、直近の傾向をアプリからグラフで見ることもできます。筆者も最初はよくわからなかった血管年齢についてや、値を正常値に保つためのTIPS解説などはアプリから参照できます。
Body Cardiomのモノクロディスプレイには、測定中のデータをリアルタイム表示。体重や体組成のデータ以外にも、体重の推移を示すグラフと数値、ユーザーがスマホで計測した前日の歩数、天気予報といった情報を表示できますが、必要なものだけをアプリから選べます。すべての項目を表示しても、1回の計測にかかる時間は45秒から1分前後。毎日1回以上、Body Cardioに乗ることを面倒に感じることはありませんでした。
iPhoneを介したApple Watch連携が便利
筆者はふだんApple Watchを使っています。watchOS標準の機能だと、Apple Watchが内蔵する心拍センサーで心拍数を記録したり、心電図を計測したりと、心臓に関わる健康状態をチェックできます。Apple Watchは、一日中身に着けながら外出先で心拍を計測し、もし異状があるとアラートを飛ばしてくれる機能が便利です。
一方でBody Cardioは、基本的に家やオフィスに据え置きで使うスマートデバイス。Apple Watchでは記録できない体重や体組成データを「乗るだけ」で測れるので、ふたつのデバイスを上手に併用すれば健康状態を細かくチェックできるし、健康維持のモチベーションもわいてきます。
Apple Watchの場合(サードパーティのアプリを追加しない限り)、純正ヘルスケアアプリやフィットネスアプリは、体を動かすことや健康維持のTIPSを積極的にプッシュしてくることはありません。
Body Cardioも体重計自体にプッシュ通知機能はないのですが、Health Mateアプリには毎日決まった時間にBody Cardioに乗るようリマインダーをセットする機能があります。また、フィットネスレベルのスコア確認、ウォーキングなど運動習慣の目標を立てて定期的に続けるようコーチングをしてくれる機能も備えています。
最大8人が一緒に使える。計測データのシェア機能も充実
iPhoneでBody Cardioを使う場合、Health MateアプリとiOS標準のヘルスケアアプリのデータを連携させると便利です。Apple Watch側で計測した心電図や血中酸素ウェルネス(Health Mateアプリでは酸素飽和度として記録)のデータも、Health Mateアプリの「ダッシュボード」にまとめて表示されます。
反対に、体重や体脂肪率の推移が気になったときは、Health MateアプリからiOSのヘルスケアアプリに送られるデータをApple Watchからいつでも見られます。
Health Mateアプリには、ユーザーが蓄積してきた心拍数や体重、歩数といった記録をPDF形式のレポートファイルにして、メールやメッセージに添付して家族などとシェアする機能があります。PDFをプリントして、医師への相談に役立てるのもよいでしょう。
Body Cardioは、最大8人までのユーザーを判別します。筆者も試用期間中、家族と一緒に使ってみました。初期設定時に登録する体重データ、計測を続けながら記録されていく体脂肪や体組成のデータを元に、アプリがユーザーを識別して互いのデータが混じらないように保存してくれます。約1カ月の試用で誤認識は発生しませんでした。
ちなみに、「双子の兄弟」などプロファイルが似ている家族同士でBody Cardioをシェアする場合、2人のユーザー名が画面の左右に表示され、体重計に乗ったときに左か右に体重をかけることによって、いまどのユーザーが利用しているかを選ぶこともできるそうです。
【注目トレンド】体組成データを計測できるスマート家電
Body Cardioに毎日乗り続けてみると、体重や体組成の細かな変化に自分の意識が向いてきます。体脂肪率や筋肉量の変化に対してナーバスになり過ぎないほうがよいとも思いますが、在宅リモートワークのように自身の生活習慣を大きく変えなければならない時期にも健康な身体を維持するため、スマート体重計があると非常に心強いことがよくわかりました。Body Cardioのようなスマート体重計は、これからさらに注目を集めるのではないでしょうか。
8月11日にはサムスン電子が、Body Cardioと同じBIA法を使って体組成データを記録できるスマートウォッチ「Galaxy Watch4」シリーズを発表しました。Apple WatchとBody Cardioで計測するデータを、まとめて取れるスマートウォッチというのもまたとても魅力的。実際のところ、バッテリー持ちはどれほど確保できているのでしょうか。体組成データを手軽に計測する機能は、今後さまざまなスマートデバイスのトレンドになりそうです。