AgileBitsは9月20日、パスワード管理ツール「1Password」でパスワードレス認証機能「パスキー(Passkeys)」をサポートするアップデートの提供を開始した。

パスキーは、ユーザー名やパスワードを入力することなく、Webサイトやアプリにサインインできるようにするデジタル認証技術だ。スマートフォンのようなデバイスの指紋認証や顔認識、PINまたはパターンを利用し、単一の手順で多要素認証の要件も満たせる。2022年3月に提唱されて間もないが、Apple、Google、Microsoftなどプラットフォーマーが揃ってサポートに乗り出しており、パスワードレス認証の普及を加速させるドライバーとして期待が高まっている。

1Passwordは世界で1500万人以上が利用するパスワード管理の定番サービスだ。早い段階でパスキーのサポートを表明しており、パスワードレス時代に1Passwordがどのようなツールやサービスを提供するのか注目を集めていた。

1Passwordのユーザーは、パスワードなどサインインに使う情報をクラウドにある1Passwordの保管庫に収め、各種デバイスの1Passwordで保管庫のデータを復号してサインインに使用する。1Passwordの保管庫をアンロックするマスターパスワードを1つ覚えておくだけで、安全かつ簡単にサインインできる仕組みになっている。

パスキーも、パスワードと同様に保管庫で保管する。1Passwordを使うメリットは「パスキーの同期」だ。他の保管方法では、パスキーの使用が単一のデバイスや特定のエコシステムに限られる場合が多い。1Passwordは、iOS/iPadOS、Mac、Windows、Android、ブラウザのどれでもパスキーを同期して使用できるようにする。

ただし、現段階でパスキーの保存・管理、サインインをサポートするのはiOS/iPadOSアプリとデスクトップ・ブラウザ拡張機能(Chrome、Edge、Brave、Safari、Firefox)に限られる。Windows用アプリ、Mac用アプリ、Androidアプリ、1Password.comでは、パスキーの保管状況が表示されるのみだ。

また、1Passwordアカウントのマスターパスワードをパスキーに置き換える機能を含んでいない。パスキー対応のWebサイトやアプリでサインインするには、1Passwordをアンロックしなければならないので、アンロックにTouch IDやFace ID、Windows Helloのような生体認証を用いていたらパスワードレスになるが、そうでない場合はマスターパスワードの入力が必要になる。