●クールに、キュートに、パワフルに――次々移り変わるランガの”色”

暗転ののちSEが流れ始めると、それに乗せた3人の影ナレによりリズムに合わせたクラップタイムがスタート。場内のランナーをさらに一体にすると、最後にランナーが響かせたクラップと同じリズムから始まる「Break the Blue!!」とともに衣装チェンジを済ませた3人がステージに登場して、終盤戦が幕を開ける。

青に染まる山野ホールのなかで、シリアスな歌声を響かせながら凛とした表情でパフォーマンスを繰り広げていく3人。この曲はやはりサウンドと森嶋の歌声との相性がよく、加えて表情づくりまで含めた堂々たるパフォーマンスが、非常に印象深いものだった。

そんなクールに魅せた曲から一点、続く「無限大ランナー」では冒頭から林がランナーを煽ったのを皮切りに、ランナーへとエールを送るかのような熱いステージを展開。跳んだり力の限り腕を振ったり、ランナーとのさらなる一体感が生まれていく。サビで壁を打ち破ろうとする振付を今の彼女たち自身に重ね、ぐっと来たランナーも多かったのではないだろうか。どの瞬間も全力なパフォーマンスが、そんな感情を自然と呼び起こしてくれた。

シャープさとパワー、その両方を2曲で一気にみせた3人。曲明けのMCではチェンジした衣装について各々がお気に入りのポイントについてトークを繰り広げると、林から続いてがラストのブロックであることが告げられる。それに即座に返る、たくさんのペンライトで作られた「×」のマーク。その反応に3人とも表情をほころばせつつ、「ラストのブロックにみんなの想いを全部ぶつけてほしい! 私たちもぶつけるから!」と林が呼びかけ、「My Best Shine!!」からラストスパートに。

こういったダンサブルかつキュートなナンバーでは、歌声の塩梅やパフォーマンスの決め所で外さない森嶋がやはり非常に立つ。林もダンスはもちろん、歌声においても強さの中に曲に合わせてかわいさの色合いを濃くし、厚木も終始笑顔を切らさずパフォーマンス。3人とも隙あらばランナーへと笑顔で手を振りハッピーな空間を形作る。

そして本編ラストナンバー「ランガリング・シンガソング」は、林が「みんなの想い聞かせてくれー!」とのシャウトに続いてタイトルコールしてのスタート。ライブ本編のゴールへ向かって、再び全力疾走が始まる。

そのなかでも笑顔でハイタッチをリレーしていく姿では”楽しみながらの全力”の姿をみせつつ、1-Aメロの厚木ソロの「足りない」のフレーズにはは渇望感もあふれ、まさに”今のRun Girls, Run!”を表現するような曲に。壁を叩く振付をもつ「無限大ランナー」を経てからの披露が、この曲のエモーショナルさをさらに倍増させる。Dメロではハモも美しく力強く重ね、大サビ明けには笑顔で円陣を作って手を掲げて改めてチームワークのよさもみせつつ、全力で17曲を駆け抜けた。

●3人とランナーをつないだ、クラップという”声”

曲明け、長い一礼を経て3人がステージを降り暗転を迎えると、従来のライブでのアンコールを求める「Run Girls, Run!」の声と、同じリズムでのクラップが自然発生。

クラップでユニット名を呼び続けるランナーがアンコールを渇望すると、その”声”を受けて「プリマ☆ドンナ?メモリアル!」のイントロに乗せて、3人がステージに再登場。ストリングスなど美しさをフィーチャーした要素も多く盛り込まれた楽曲に沿った麗しさもみせつつ、振付に散りばめられた愛らしさも感じさせるように、大きく軽やかなパフォーマンスを披露してランナーを魅了していく。

曲明けにはアンコールへの感謝も述べつつ、3人とも口々に「本当にあっという間!」との感覚も交わしたところで、ランナーへのうれしいお知らせへ。なんと、2022年4月6日にミニアルバムをリリースすることが決定!バンドサウンド曲やソロでの新曲を含む全6曲を収録するのに加え、LIVE盤付属のBlu-rayにはこのライブの模様もメイキング付きで収録が決定。さらなるパワーアップを期待させる本作、続報にもぜひ注目していてほしい。

そんなうれしいお知らせのあとは、ラストナンバーを前にランナーへとそれぞれひと言ずつコメント。まず厚木は、自身の怪我の影響でこの4th Anniversary Liveが延期になってしまったことを改めて謝罪しつつ、4年間という時の流れの速さとここまで走ってきた道のりを実感。

「これからもランナーさんに『応援しててよかった!』と日々思ってもらえるようなユニットにもっともっとなっていけたらいいなと思っています!」と宣言した。続いて林は、コロナ禍の影響などでこの1年間感じていたもどかしさや迷いについて正直に吐露しつつ、そんななかでも前を向くための力になったメンバーふたりへ感謝。さらにはスタッフやランナーへの感謝も続け、「みんなで、まだ見たことのない景色を見たい!」と意気を上げた。

そして最後にリーダー・森嶋も、まずはライブを開催できたことへの感謝の言葉から始まり、結成から4年を迎えられたことへの感慨から思わず涙。それを支えようと自然と近づく林・厚木に笑顔をみせると、最後は「助けられてばかりじゃなくて、これからはみんなを引っ張っていけるような心強い存在に、3人で力を合わせてなりたい」という意志を伝えて挨拶を締めくくった。

そして「最後は私たちのはじまりの曲を」と林が紹介して、ラストナンバー「カケル×カケル」を、3人で1回ずつの「カケル」をつないでタイトルコール。この曲でも3人とも全力のパフォーマンスを展開しつつ、随時にランナーへと手を振りながらの歌唱をみせる林に奥のほうまで客席を覗き込む森嶋、感慨深そうな笑みを浮かべながらの厚木と、それぞれが最後までステージを満喫。それに呼応して最後の最後まで全力で高まったランナーとともに熱い空間を作り上げ、記念すべき4周年のステージは幕を下ろしたのだった。

4年間で培ってきた、確固たる多面的な実力を提示してくれたRun Girls, Run!。しかし同時に、現状に甘んじることなくさらなる飛躍への渇望も、この日随所から感じさせてくれたように思う。はじまりの曲「カケル×カケル」にも含まれる拳を突き出して前進する振付は、止まらず進み続けるという彼女たちの意志の象徴。この日発表された来年4月のミニアルバムをはじめ、2022年のさらなる飛躍に、大いに期待したい。