先日、2021年に発売されたセイコーウオッチ製品の実機を見る機会があった。すべて発表済み、発売済みのものではある。が、ご存知の通りこの状況下、実機を取材できるチャンスはまだまだ貴重だ。加えて限定モデルは予約で完売してしまい、店頭で目にすることさえできないことも多い。

そこで今回は、撮影できた実機の写真を掲載するとともに、2021年のグランドセイコー注目作をあらためて振り返るという、年末らしさ満載の企画をお届けする。掲載した価格はメーカー希望小売価格ですべて税込み。

革新的なメカニズムと幽玄な白樺林のダイヤル

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH005」

    Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH005」

2021年のグランドセイコーを語る上で避けて通れないのが「Grand Seiko Heritage Collection」の新シリーズ「Series 9」の「SLGH005」だ。

メカニカルハイビートムーブメント「キャリバー 9SA5」を搭載。この自動巻きムーブメントは、デュアルインパルス脱進機(高効率な脱進機)やツインバレル(二つの動力ぜんまい)を採用することで、毎時36,000振動のハイビートと、最大巻上時で約80時間の長時間駆動を両立。さらに、独自の水平輪列構造によって薄型化を実現した。手巻き付き。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH005」

    ケースバックからは80時間ものパワーリザーブを持つ「キャリバー 9SA5」がのぞく

また、SLGH005は2021年日本グッドデザイン賞を受賞。グランドセイコーの機械式時計の製造拠点「グランドセイコースタジオ 雫石」付近に群生する白樺林の、壮麗で神秘的な光景を型打模様と繊細なカラーリングで表現したダイヤルもまた高く評価された。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH005」

    岩手県雫石の白樺林の美しさを表現したダイヤル

価格は1,045,000円。詳しくは別記事『グランドセイコー、新デザインのレギュラーモデル「Series 9」』をご覧いただきたい。

木目調ダイヤルがセイコー創業者の信念を語る、創業140周年記念限定モデル

「常に時代の一歩先を行く」という革新の精神と、「急ぐな休むな」という進化の精神。それは、日本の時計産業を牽引したセイコーの創業者、服部金太郎の信条だった。グランドセイコーもまた、その思いを込めて作られている。

これを休むことなくコツコツと成長し一年ずつ確実に年輪を刻む大樹に見立て、有機的なダイヤルデザインへと昇華したのが Grand Seiko Heritage Collection Series 9の「SLGH007」と「SLGA008」だ。両モデルとも、セイコー創業140周年記念限定モデルとなっている。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」と「SLGA008」

    Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」(右)と「SLGA008」(左)

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」と「SLGA008」

    セイコーの創業者、服部金太郎の信条を象徴するダイヤル

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」と「SLGA008」

    バックルはワンプッシュ三つ折れ式中留。「GS」ロゴが誇らしい

SLGH007は、ケース素材にプラチナ950を使用。ムーブメントには、上で紹介したSLGH005と同様、デュアルインパルス脱進機を搭載したメカニカルハイビートムーブメント、キャリバー 9SA5を採用している。価格は6,600,000円で、セイコー創業140周年にちなんで世界限定140本がリリースされた。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」

    SLGH007のケース素材にはプラチナ950を使用

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGH007」

    ケースバックからは、自動巻きムーブメントキャリバー 9SA5がのぞく

SLGA008のケース素材は、18Kピンクゴールド。ムーブメントは、機械式と同じぜんまいがほどける力を動力源として、クォーツの原理で精度を担保するセイコー独自の「スプリングドライブ」。キャリバー 9RA2を採用し、満充電の状態から約5日間駆動する。価格は5,500,000円で、こちらも世界限定140本のリリース。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGA008」

    SLGA008のケース素材は、18Kピンクゴールド

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGA008」

    ムーブメントはセイコーの独自機構スプリングドライブ「キャリバー 9RA2」

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection Series 9「SLGA008」

    ストラップはともにクロコダイル革

詳しくは別記事『グランドセイコー、新型スプリングドライブ搭載の創業140周年記念モデル』をご覧いただきたい。

諏訪湖の水面から着想を得た、スプリングドライブ 5 Days搭載モデル

長野県の諏訪湖は、グランドセイコーのスプリングドライブモデル製造拠点「信州 時の匠工房」の東南に位置する。その湖を渡る、風にさざ波立つ水面をモチーフとしたダイヤルが特徴的なGrand Seiko Heritage Collection「SLGA007」。こちらもセイコー創業140周年を記念する限定モデルだ。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection「SLGA007」

    Grand Seiko Heritage Collection「SLGA007」

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection「SLGA007」

    風にさざ波立つ諏訪湖の水面をモチーフとしたダイヤル

光を反射する角度によって移ろいゆく、ダイヤルの深いブルー。その上にスプリングドライブの滑らかな運針が重なるさまは、まるでそよ風に揺らぐ水面のよう。

ムーブメントは最新のスプリングドライブ「キャリバー 9RA2」。ケースバックからのぞく信州の冬を思わせる霧氷のような仕上げも、グランドセイコーならではの美意識だ。価格は990,000円。2021年にちなみ、世界限定2021本がリリースされた。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection「SLGA007」

    ムーブメントはキャリバー 9RA2。霧氷のような仕上げの美しさがケースバックからのぞく

  • グランドセイコー、Grand Seiko Heritage Collection「SLGA007」

    バックルにはゴールドのGSロゴ

詳しくは別記事『グランドセイコー、諏訪湖を表現した新型スプリングドライブ搭載モデル』をご覧いただきたい。

コンパクトサイズのメカニカルGMTウオッチ

「Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM245」と「SBGM247」。ムーブメントはメカニカル自動巻き(手巻き付き)「キャリバー 9S66」で、最大3日間の駆動時間(パワーリザーブ)を持つ。防水性能は20気圧と本格的。スポーツウオッチに求められる性能と、タウンユースでも使いやすいケース外径40.5mmのサイズ感が両立したモデルだ。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM245」

    「Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM245」(左)

  • グランドセイコー、Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM247」

    新色カーキのダイヤル「SBGM247」(右)

  • グランドセイコー、Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM245」

    きわめて視認性の高いダイヤルレイアウト

サンバーン仕上げのダイヤルは定番のブルー(SBGM245)に加え、荒野をイメージした新色のカーキ(SBGM247)をラインナップ。裏ぶたはスクリューバックで、グランドセイコーのエンブレムである獅子のメダルがセットされている。

  • グランドセイコー、Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM247」

    サンバーン仕上げがおわかりいただけるだろうか

  • グランドセイコー、Grand Seiko Sport Collection」のGMTウオッチ「SBGM245」「SBGM247」

    ケースバックには、グランドセイコーの獅子のメダル

価格は各638,000円。詳しくは別記事『グランドセイコー「スポーツコレクション」、GMT搭載の機械式モデル』をご覧いただきたい。

秋から冬へ移ろう自然の美を表現したレディスウオッチ

グランドセイコーのレディスウオッチ「Grand Seiko Elegance Collection」の新作は、ベージュのダイヤルとブラウンのストラップを組み合わせた「STGF355」と、ダイヤル、ストラップともにピュアホワイトの「STGF357」だ。

  • グランドセイコー、「Grand Seiko Elegance Collection」の新作「STGF355」「STGF357」

    「Grand Seiko Elegance Collection」の新作「STGF355」(左)と「STGF357」(右)

STGF355は、秋も深まった街路や公園で開花、柔らかく甘い香りを漂わせる「金木犀」(キンモクセイ)をイメージ。一方のSTGF357は、冬のからりと晴れた日、山から吹き降ろす風がふもとの街へと雪片を舞い運ぶ「風花」(かざはな)がモチーフとなっている。

  • グランドセイコー、「Grand Seiko Elegance Collection」の新作「STGF355」

    「金木犀」の華やかさをイメージした「STGF355」

  • グランドセイコー、「Grand Seiko Elegance Collection」の新作「STGF357」

    「風花」(かざはな)がモチーフの「STGF357」

両モデルとも、りゅうずに大きめのダイヤモンドをセット。熟練した職人による匠の技で磨き上げた歪みのない鏡面とシャープなラインと合わせて、冬の装いに輝きと彩りを添える。

  • グランドセイコー、「Grand Seiko Elegance Collection」の新作「STGF355」「STGF357」

    ストラップはクロコダイル革。バックルはワンプッシュ三つ折れ式中留

ケースの素材はステンレススチールで、サイズは径27.6×厚さ9.8mm。重さは38.0g。風防は内面無反射コーティングのデュアルカーブサファイアガラスで10気圧防水。ストラップはクロコダイル革。価格は385,000円。