少し前に27型WQHD(2,560×1,440ドット)ディスプレイを購入した筆者。「これでしばらくはディスプレイの最新トレンドについて行けそうかな」と思っていたのもつかの間、市場には半年程度ですっかり4K/144Hzに対応したゲーミングディスプレイがあふれている始末です。
要因は「HDMI 2.1に準拠した最新家庭用ゲーム機」の投入にあるとにらんでいますが、PC環境でも負けてはいられません。このあたりで1つ巻き返しを図るべく、中国の新しいディスプレイメーカー「Innocn」の40型ディスプレイ「WR40-PRO」を試してみました。
耳馴染みの薄いメーカー名について先に解説すると、Innocnは中国でディスプレイを中心に扱う「深セン市世紀創新顕示電子有限公司」のブランドのひとつ。2014年に設立されたばかりの新興メーカーとのことで、日本での製品展開はAmazon.co.jpを中心に実施中。今後日本で国内代理店を設け、より本格的な進出を目論んでいるとのことです。
今回試用した「WR40-PRO」に目を向けると、3,440×1,440ドットの40型という出で立ち。アスペクト比は21:9なので、横に長い映画などでも上下の枠を気にせず視聴できます。リフレッシュレートは144Hzもあり、ゲーム以外の普段使いでもなめらかで快適な画面表示になっています。
組み立てたところで、オフィスの自席に設置してみました。やはり40型という数字は伊達ではなく、視界の大部分をディスプレイが覆い尽くしています。隣の席に座る上司もあまりの大きさに驚いていましたが、考えてみれば23.8型のデュアルディスプレイよりはコンパクトなはず。ベゼルや脚もスリムなので、個人的には前の環境よりもかなりスッキリしたところが好印象です。
ところで、ウルトラワイドディスプレイを使うのはこれが初めて。左右の画面端を意外と上手に使えないことを知りました。かなり近めの距離で使っていることも要因かもしれません。ブラウザなどはフルスクリーンで使わなくても十分な表示領域を確保できるので、画面中央にウィンドウをバラバラと開いて使う運用になりました。
さらに慣れないウルトラワイドになったことで困っているのが、アイコンが左寄せになっているWindowsのタスクバーです。Windows 11が登場した際、タスクバー中央にアイコンが集まっているのをみて驚いた覚えがありますが、ウルトラワイドディスプレイにおいては中央寄せのほうが便利そう。
一方、発色や画面表示はとても優れています。色はくっきりしており、黒や白に変な色転びはありません。パネルの明るさも目視で気になるような違和感はなく、十分にフラット。ゲームのテストとして試しにマインクラフトを起動してみたところ、フルスクリーンでの迫力はなかなかのものでした。緑やシアン方向に色域が広いDCI-P3で95%カバーしていることもあってか、眼前に広がる植生は豊かでリッチな色に見えました。
おまけに、MacBook Airを用いてUSB Type-C接続もテスト。どういうわけか120Hzや144Hzでの出力はうまくいきませんでしたが、給電と3,440×1,440ドット/60pでの出力は問題なく利用できました。
大きくても置けるなら便利さが優位
40型という大きさはかなりのものですが、幅は1mを切っているので、設置自体は大半のデスクで問題なく行えそう。スピーカーなどの周辺機器のスペースには配慮する必要がありそうですが、オフィス用途においては広大な作業領域を確保することができてとても快適です。一点だけ難癖をつけるとすれば、カーブのないフラットなパネルを採用している点でしょうか。ウルトラワイド仕様なら、湾曲していたほうがさらに視認性を高められそうです。
今回試したWR40-PROは、上述の通りAmazon.co.jpで販売中。価格は82,990円ですが、折しも「Amazonブラックフライデー」の対象製品になっているようです(いずれも記事制作時点)。それでも決して安い買い物ではありませんが、40型の快適さには十分見合うのではと思います。