Dynabookの「dynabook GS4」は、13.3型のスタンダードモバイルノートPC。モバイルノートPCとしては安価な部類だが、リモートワークなどをこなす必要十分な性能を備えている。978gという軽さや優れた堅牢性も備えており、ヘビーなモバイル用途にも魅力的だ。

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    13.3型モバイルノートPC「dynabook GS4(P1S4UPBL)」

スタンダードモバイルノートPCらしい、ちょうどいいスペック、軽さ、堅牢性

一般的にモバイルノートPCは、本体の軽量化や堅牢性の確保、長時間のバッテリー駆動といった仕様を実現するために、どちらかというと高価になりがちだ。そんな中でdynabook GS4は、「スタンダードモバイルノートPC」という位置付けからも分かるように、モバイルノートPCのハイエンドを狙うのではなく、付加的な機能に絞ることで価格を抑えている。2021年11月中旬時点の実勢価格は140,000円前後だ。

確かにデザインはかなりシンプルで、凝った装飾などもないし、ボディカラーもガンメタリック調のオニキスブルーのみ。メインターゲットが個人ユーザーなので、どうせならもう少し派手なカラーや飾り気があっても良かったかもしれない。とはいえ、樹脂製ボディの安価なノートPCのようなチープさはなく、落ち着いた見た目からは悪い印象は感じない。

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    凝った装飾はないが、安っぽい印象はなく、スタンダードと呼ぶにふさわしいシンプルなデザイン

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    ディスプレイはベゼル幅が狭められており、シャープな見た目。本体の小型化にも貢献している

本体サイズは306.0×210.0×17.9mmと、13.3型モバイルノートPCとして標準的な大きさ。重さは約978gと1kgを切っている。13.3型モバイルノートPCにはもっと軽い製品も存在しているが、978gでも十分に軽く、カバンに入れて軽快に持ち歩けるだろう。

携帯時に気になる堅牢性も優れている。ボディ素材にマグネシウム合金を採用し、軽さと堅牢性を両立。アメリカ国防総省が制定する「MIL規格(MIL-STD-810G)」に準拠した、落下や衝撃、振動など9種類の耐久テストもクリア。実際に本体を手にすると、優れた強度をすぐに実感できる。これなら外出時でも安心して持ち出せるはずだ。

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    本体正面。高さは17.9mmとまずまず薄い

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    背面

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    重さは公称978g。実測では930gと、モバイルノートPCとして十分に軽量だ。しかもMIL規格準拠のテストをクリアした堅牢性も実現している

dynabook GS4 P1S4UPBLの主なスペック

  • OS:Windows 11 Home 64bit
  • CPU:Intel Core i3-1115G4
  • メモリ:8GB(DDR4-3200)
  • ストレージ:256GB PCIe SSD
  • ディスプレイ:13.3型、1,920×1,080ドット(フルHD)、ノングレア
  • Webカメラ:約92万画素
  • 無線機能:Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)、Bluetooth 5.2
  • 生体認証:なし
  • 本体サイズ・重さ:幅306.0×奥行き210.0×高さ17.9mm・約978g

基本スペックは上記の通りで、CPUのIntel Core i3-1115G4はスタンダードモデルらしいチョイス。メモリは標準で8GB、内蔵ストレージは256GBのPCIe SSDと、このクラスとしては余裕がある。Webブラウザのタブを開きすぎたり、大量のアプリケーションを同時に起動したりしなければ、標準搭載OSのWindows 11も問題なく利用できるだろう。

画面は標準的な13.3型フルHD液晶

ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)表示の広視野角液晶だ。上位モデルのような広色域液晶やIGZO液晶ではないが、視野角は広く、大きく視点が動いても明るさや色合いの変化は少ない。

また、ディスプレイ表面は非光沢処理(ノングレア)となっているため、外光の映り込みが気にならない点も特徴のひとつ。天井の照明が写り込んで文字が見づらくなることもないため、文字入力が中心の作業も快適にこなせる。

発色性能については、標準的な液晶パネルを採用することと、表面が非光沢処理のため、光沢液晶のような鮮やかさはない。それでも、写真や動画も十分なクオリティで表示できると感じる。そこまで大きな不満を感じることはないはずだ。画面は180°まで開く。

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    13.3型フルHDディスプレイの表示品質は、このクラスとして標準的。広色域液晶などではないが、発色はきれいだ

キーボードの仕様も標準的

キーボードは、日本語配列のアイソレーションキーボード。こちらはdynabookの別モデル(モバイルノートPC)と同等のものだ。主要キーは19mmフルのキーピッチを確保しており、Enterキー付近の一部キーでピッチが狭くなっているが、タッチタイプに支障が出るほどではない。慣れとともに軽快なタイピングが可能だ。

ストロークは1.5mmと、こちらも薄型モバイルノートPCのキーボードとして標準的。適度な固さのタッチと、しっかりとしたクリック感があり、打鍵感も申し分ない印象だ。残念なのはキーボードバックライトを搭載しない点だが、これはコスト的に難しかったのだろう。多くの場合、暗い場所で使うケースはそれほどないと思うので、大きなマイナスにならないだろう。

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    日本語配列のアイソレーションキーボードは、薄型モバイルノートPCとして標準的な仕様

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    主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチ、ストロークも1.5mmを確保しており、余裕でタイピングできる

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    Enterキー付近の一部キーはピッチが狭くなっているが、タッチタイプに大きな支障はない

ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。パームレストに合わせて十分なサイズだ。必要以上に左右の幅が広くなく、キーボードのホームポジションを中心として搭載している点も、扱いやすさを高めている。

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    クリックボタン一体型のタッチパッドは十分なサイズがあり、キーボードのホームポジションを中心にした配置なので扱いやすい

生体認証機能を搭載しない点が少々残念

dynabook GS4のスペックは冒頭で紹介した通りで、CPUはCore i3-1115G4、メモリは8GB、内蔵ストレージは256GBのPCIe SSDとなっている。dynabook GS4がターゲットとする個人向けのメインストリームモバイルノートPCとしては必要十分だ。

もちろん、上位モデルは処理能力などにもっと余裕があるのは事実だが、dynabook GS4でもリモート会議やOffice系アプリなどはまったく問題ない。複数アプリの同時利用も快適だったので(限度はあるが)、多くのユーザーにとってコストパフォーマンスの高いモバイルノートPCといえるだろう。

拡張ポートは、左側面にThunderbolt 4(USB 4 Type-C)×2基、HDMI出力、USB 3.1 Gen1 Type-A、オーディオジャックを、右側面にmicroSDカードスロット、USB 3.1 Gen1 Type-A、Gigabit Ethernet有線LANを装備。ポート類も豊富で、別途ドッキングステーションを用意せずに周辺機器を接続して利用できる点は、利便性を高めてくれる。付属のACアダプタ(出力65W)はThunderbolt 4ポートに接続するため、電源接続時に使えるUSBポートは計3基(Type-C×1、Type-A×2)となる。

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    左側面には、Thunderbolt 4×2基、HDMI出力、USB 3.1 Gen1 Type-A、オーディオジャックを用意

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  • 13.3型モバイルノートPC「dynabook GS4」

    右側面にはmicroSDカードスロット、USB 3.1 Gen1 Type-A、Gigabit Ethernet

ディスプレイ上部には、約92万画素のWebカメラを配置。カメラにはプライバシーシャッターを設けており、使わないときにはシャッターを閉じておくとよい。万が一、外部からの不正アクセスでカメラを操作されても、レンズ表面が物理的に覆われているので映像が流出することはない。

機能面で残念なのは、生体認証を持たないことだ。基本的には個人向けの製品なので、ビジネス機ほどの高いセキュリティ性能は求められず、コスト的にも難しい部分もあったのだろうが、できれば指紋認証センサーぐらいは搭載してもらいたかったように思う。

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    ディスプレイ上部に約92万画素のWebカメラを搭載。顔認証に対応しない点は残念

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    Webカメラにはプライバシーシャッターが用意され、カメラ自体を物理的に隠せる

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    付属のACアダプタは出力65Wで、Thunderbolt 4(USB 4 Type-C)に接続する

想像以上に高いパフォーマンスを確認

ここまで、パフォーマンスに不満を感じることはないと書いてきたが、それは実際に筆者が実機を試用した印象だ。客観的なパフォーマンスを見るため、ベンチマークテストの結果を見ていこう。

はじめにPCの総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 10」だ。結果を見ると、なかなかの高スコアが得られている。第10世代Intel Core i7搭載PCの結果を上回る部分もあるほどで、メインストリームモデルとはいえ性能面での不安がないことが分かってもらえると思う。

弱点となりそうなのは、Core i3-1115G4は2コア4スレッド仕様のため、マルチスレッド処理能力がやや弱いかも――という点。ただ、リモート会議アプリとWordやExcelを同時に使う程度ならまったく問題なく、よほど多くのアプリを同時利用しない限りは大丈夫だろう。

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    PCMark 10の結果。旧世代のCore i7と比較しても遜色のないスコアが得られており、Core i3-1115G4の高いパフォーマンスがよく分かる

続いて3Dmark Night Raidの結果だ。こちらは、さすがに第11世代Intel Coreの上位CPUには負けるものの、それでもなかなかのスコアだった。

dynabook GS4はゲームマシンではないので、そこまで高い3D描画能力が要求される場面は少ないが、Office系アプリやWebブラウザも3Dグラフィックス機能を利用したアクセラレーションが行われていることを考えると、3D描画能力が高いに越したことはない。もちろん、息抜きでカジュアルゲームをプレイする場面でも大いに役立つため、この3D描画能力の高さも優位点となる。

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    3DMark Night Raidの結果。こちらもまずまずのスコアで、カジュアルゲーム程度なら余裕でプレイできそうだ

次に、内蔵ストレージの速度をCrystaDiskMarkで計測してみた。書き込みはPCIe SSDとしてはやや遅めではあるものの、読み込みは十分に速い。おそらく価格の安いエントリークラスのPCIe SSDを採用しているものと思われるが、それでもSATA SSDよりは圧倒的に高速で、体感性能は申し分ないといえる。

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    CrystaDiskMarkの結果。PCIe SSDとしてはエントリーレベルの速度だが、それでもSATA SSDより数倍高速

最後にバッテリー駆動時間だ。dynabook GS4のバッテリー駆動時間は公称で14時間。それに対し、PCMark 10に用意されているバッテリーテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用し、ディスプレイのバックライト輝度50%で計測したところ、8時間7分だった。特に長いというわけではないが、モバイルノートPCとしてまずまずといったところだろう。

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    PCMark 10のバッテリーテスト「PCMark 10 Battery Profile」の結果。これくらいの駆動時間ならモバイルノートPCとして実用的

メインストリームモデルでも侮るなかれ

dynabook GS4を試用して感じたのは、製品としてはスタンダードモバイルノートPCという位置付けではあるが、本格的なモバイルノートPCとしても活躍できる製品に仕上がっていること。特にパフォーマンスについては、CPUがCore i3ということであまり期待していなかったのだが、実際には申し分なパフォーマンスを発揮しており、この点でもかなり魅力的。

そのうえで、実勢で140,000円前後という、モバイルノートPCでは比較的安価なのも大きなポイントで、コストパフォーマンスは非常に優れている。もちろん、価格を抑えるために、やや気になる部分があるのも事実。例えばキーボードバックライトが省かれていたり、生体認証機能が搭載されないといった点だが、個人ユースなら大きな欠点とはならないはずだ。必要十分な機能を備え、軽快かつ安心して持ち運べる、コストパフォーマンスに優れるモバイルノートPCを探している人におすすめしたい。