ゼンハイザージャパンは、ノイズキャンセリング(NC)機能を搭載した新しい完全ワイヤレスイヤホン「CX Plus True Wireless」を9月28日から順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は21,780円前後を見込む。カラーによって発売時期が異なり、ブラックは9月28日、ホワイトは10月中旬予定。

  • CX Plus True Wireless(ブラック)

短時間だが実機を試聴してみたので、ファーストインプレッションを記事の最後でお届けする。

【追記】aptX Adaptiveに関する説明を一部改め、試聴環境の説明を追加しました(9月14日 8:00)

CX Plus True Wirelessの詳細

ゼンハイザーのファンの裾野を広げる「CXシリーズ」の中核を担うエントリー向け「CX True Wireless」(7月8日発売/実売17,380円)のサウンドを引き継ぎながら、「CX Plus True Wireless」では新たに、周囲の騒音を低減するNC機能(フィードフォワード式)と、イヤホンを耳に装着したまま外の音を聞ける外音取り込み機能を追加。

上位機種の「MOMENTUM True Wireless 2」と同等という、独自開発の7mm径トランスデューサー(ダイナミック型ドライバー)を搭載している点は、既存のCX True Wirelessと共通だ。

  • CX Plus True Wireless(ブラック)

  • CX Plus True Wireless(ホワイト)

クアルコム製のBluetooth SoCを搭載し、Bluetooth 5.2 Class1に準拠。コーデックはSBC、AAC、aptXに加え、高音質/低遅延をうたうaptX Adaptiveにゼンハイザー製品として初めて対応する(CX True WirelessはaptXまで)。aptX Adaptive対応のAndroidスマートフォンと組み合わせることで、通信環境に合わせてビットレートを自動で最適化し、24bitの伝送に対応。ほかにも、左右同時接続を可能にする「TrueWireless Mirroring」をサポートし、音途切れを防止する。

NC/外音取り込み機能の追加や、aptX Adaptive/TrueWireless Mirroring対応以外の主な機能は、CX True Wirelessから継承。片耳に2つ、左右合わせて4基のビームフォーミングマイクを搭載し、ハンズフリー通話に対応。側音(サイドトーン)機能を備え、外出中でも自分の話している声のボリュームが大きくならずに自然に通話できるという。左右どちらでも片耳だけで使うことも可能だ。

イヤホン本体はIPX4防水仕様。ハウジングのゼンハイザーロゴをタッチすることで各種操作が行える。iOS/Android用「Smart Control」アプリ(無料)からのイコライザーによる音質調整や各種設定にも対応する。

再生周波数特性は5Hz~21kHz、感度は114dB。連続再生時間(NCオフ時)はイヤホン単体で最大8時間、充電ケースと組み合わせて最大24時間。ケースの充電端子はUSB Type-Cで、ワイヤレス充電には非対応。重さは両耳あわせて約12g。充電ケーブルや、XS/S/M/Lの4サイズのイヤーピースが付属する。

音を聴いてみる

CX True Wirelessの発売から2カ月弱で新たに登場することとなった「CX Plus True Wireless」。発売前の実機を借りて十数時間ほど再生し、音をチェックしてみた。

  • CX Plus True Wireless

製品名からすると、クリアさも保ちつつ量感ある低域が楽しめるCX True Wirelessと音の傾向が似ているかと思ったが、じっくり聴き比べてみるとCX Plus True Wirelessは落ち着いたクセのない音で自然な広がり感があり、個人的にはCX 400BTのサウンドに回帰したように感じられた。

なお、aptX Adaptiveコーデックは対応機器と組み合わせることで最高96kHz/24bitのハイレゾ相当のワイヤレス伝送に対応するが、今回組み合わせたXperia 5で確認したところ、aptX HD同等の48kHz/24bitでの伝送となっていた。

連続再生時間はNCオフで最大8時間となっているが、試しにNCオン、aptX Adaptive接続で聴き続けてみたところ、5時間強でイヤホンのバッテリー残量が10%を切るレベルになり、スマートフォンとのBluetooth接続が切れた。

  • イヤホンの耳に当たる部分。上がCX Plus True Wirelessで、耳からの着脱を検知するセンサーがあり、音楽の一時停止/再生が自動で行える。下はCX True Wireless

  • ケースのゼンハイザーロゴ。プリントではなくメタリックなパーツを埋め込んでおり、CX 400BTに似たあしらいでプレミアム感を演出している

  • ケースの充電端子はUSB Type-C

つづいてNC性能をチェック。ゼンハイザーのNC機能は「圧迫感のない自然な効果」にこだわり、騒音を抑えつつサウンドをしっかり際立たせることも狙いとしている。実際に試してみたところ、鼓膜への圧迫感はなく、それでいてエアコンの作動音や低く唸るようなクルマのエンジン音など、気になる騒音をキレイに抑え込んでくれた。

外音取り込み機能の自然さも注目すべきポイントだ。同じ機能を備えた完全ワイヤレスイヤホンでも、ものによっては取り込まれた音がスカスカしていて常用しづらいと感じることもあるが、CX Plus True Wirelessはイヤホンを耳から外していないのに“外したような感覚”で外の音を聞ける。それくらい自然で違和感がほとんどないので、たとえば外を散歩するときに、外音取り込みをオンにしたまま音楽をBGM的に聴く……といった使い方ができそうだ。

なお、CX True Wirelessは今後も併売されるとのことで、NC/外音取り込み機能の有無や、Bluetooth周りの技術で差を付け、ふたつの選択肢を用意したかたちだ。どちらを選ぶかは、予算と何を重視するかで決めればいいだろう。高音質もノイキャンも欲しいという人はCX Plus True Wireless、音が良ければ十分でノイキャンはいらないのであればCX True Wireless、といった具合だ。

  • CX Plus True Wireless(右上)のイヤホン本体のサイズは、従来のCX True Wireless(左上)やCX 400BT(下)よりも小型化している

  • ケースサイズはほぼ同じ。ゼンハイザーのロゴの仕上げが製品によって異なるのが分かる