大日本印刷(DNP)、アストロデザイン、シャープ、ソシオネクスト、輝日、ドルビージャパンの6社は、8Kの高精細映像と立体音響技術のDolby Atmosを掛け合わせた、没入感の高い映像コンテンツを国内で初めて制作。5G通信などを活用して安定的に配信する取り組みで連携すると発表した。
コロナ禍をきっかけのひとつとして、多様なオンラインサービスの普及が加速していることを背景に、6社はエンターテインメント業界のオンラインライブ配信や伝統芸能・文化財の公開などに向けて、コンテンツ制作からインターネット配信などのインフラ構築までを支援。没入感の高い映像体験を多様な環境で楽しめる機会を提供する。
5G通信の環境を整備し、5G関連の多様なソリューションを展示するDNPのコラボレーション施設「P&Iラボ」(東京・新宿区)で、国内初となる8K・Dolby Atmosによる映像コンテンツを体験できる。沖縄県恩納村の美しい風景・文化を撮影した「8K Heaven Island」と、東映による「スペクタクルライブステージ 神・鬼・麗 三大能∞2020」の2作品を用意する。なお、P&Iラボはビジネスパートナー向け施設のため、一般の来場は制限される。
新型コロナウイルス感染症の影響により、イベントやコンサートの多くが開催中止や延期となるなか、ライブ・エンターテインメントに関わる企業はビジネスモデル変革の取り組みを強化している。一方、コロナ禍では物理的な密集状態を避ける必要もあり、自宅などから“ライブ会場にいるような没入感の高い体験”へのニーズが高まっているという。
こうした状況を背景に、映像コンテンツの制作や配信、映像・音響関連製品の開発・販売などを手がける6社が連携。臨場感あふれる映像コンテンツを多様な環境で提供していくとともに、8K映像やDolby Atmosの市場拡大を目指す。8KとDolby Atmosによる映像コンテンツの主な利用シーンは以下の通り。
- 音楽や演劇などのライブイベント、エンターテインメント興行
- 伝統芸能、文化財のアーカイブ構築および公開
- 臨場感の高いe-sports体験や観戦
- 教育・学術分野での高精細・臨場感を活かしたプログラム
- アート・芸術分野での創作体験の共有
8Kは、地上デジタル放送(フルハイビジョン)の16倍の高い解像度を持ち、高品質な色域表現や多階調表現、輝度、画像の高速表示などに優れている。また、Dolby Atmosは、前後左右に頭上からの音を加えた立体音響技術で、3次元空間内で音源の本来の位置から音を鳴らし、その場にいるかのような臨場感・没入感を実現する。これらの特長を活かし、8K映像とDolby Atmosの掛け合わせによる、迫力と没入感あふれる映像コンテンツを制作していく。
8K映像とDolby Atmosを掛け合わせたコンテンツ制作に加え、コンテンツの配信や再生のインフラ構築まで、各社の強みを活かして一貫して提供。高精細な8K映像コンテンツはデータが大容量となるため、従来はIP網での送受信は困難とされていたが、シャープの5G通信に対応した8K IP配信ソリューションや、ソシオネクストの8Kエンコーダ・デコーダ、輝日の動画配信プラットフォームや回線インフラ構築サービスなどを活用し、安定的でスムーズな配信を可能にするという。また、さらなる市場拡大を目指し、さまざまな企業と連携していく協議会などの設立も検討する。
各社の役割は以下の通り。
- DNP:全体統括、ユースケース発掘、8KとDolby Atmosコンテンツの制作
- アストロデザイン:8K・立体音響収録・再生・配信用の機器、映像制作への技術協力
- シャープ:8K・立体音響製品および配信技術の協力
- ソシオネクスト:8Kエンコーダ・デコーダ、配信技術の協力
- 輝日:Dolby Atmos対応8K動画配信プラットフォーム「eContent」の開発・提供、通信インフラの構築
- ドルビージャパン:Dolby Atmos対応への技術協力