パナソニックは、料理をサポートする独自機能を搭載したビルトインIHクッキングヒーターの新型となる「Aシリーズ」を発表しました。新モデルではグリル機能を強化しつつ、料理をサポートする「焼き物アシスト」対応メニューが大幅に増えています。
Aシリーズの発売日は9月21日。IHに対応するメタルの種類や製品幅の違いによって、3口タイプを7モデル、2口タイプを2モデル用意。本体価格は328,900~495,000円です。メディア向けの体験会に参加して、フラッグシップモデル「KZ-AN77S」を使った調理を見て来ました。
グリル機能が大きくパワーアップ!
新モデルのAシリーズは、2019年に発売されたパナソニックのIHクッキングヒーターのフラッグシップモデル「Yシリーズ」の後継。Yシリーズは、冷凍食材を解凍せずに自動調理できる「凍ったままIHグリル」、定番料理の調理タイミングを知らせてくれる「焼き物アシスト」といった便利機能が特徴です。Aシリーズでは、この2つの機能がさらにパワーアップしています。
「凍ったままIHグリル」は、その名の通り凍った食材も自動調理できる機能です。イマドキの高機能グリルは「焼き魚(切り身)」や「グリルチキン」など、料理名を選択すると自動的に火力コントロールする自動調理機能を搭載しています。ですが、ほとんどのグリルは冷凍食材には非対応。焼く前に食材を解凍する必要がありました。パナソニックの「凍ったままIHグリル」は、冷凍保存した食材を凍ったまま自動調理。解凍する時間も手間も必要ないので、忙しい家庭にとってうれしい機能なのです。
ただし、凍ったままIHグリルで調理できる食材は限定されており、魚なら切り身か干物のみ。魚を丸ごと焼くことはできませんでした。そこで最新のAシリーズでは、ユーザーから要望の多かったという冷凍魚の「姿焼き」を、凍ったままIHグリルの調理メニューに追加。加えて、冷凍「トースト」にも対応できるようになりました。体験会の会場では、実際に冷凍サンマを新メニューで焼いて試食することに。
自動調理で焼き上がったサンマを見てみる、並べたサンマすべてにしっかりときれいな焼き色がついています。一般的なグリルは中央に焼き色がつきやすく、ドアや奥側の焼き色が甘くなりがち。サンマをギッチリ並べて焼く場合は、途中で端と中央の魚を入れ替える手間が必要でした。ですが、Aシリーズで焼いたサンマは、魚の位置を途中で入れ替えていないにもかかわらず、グリル皿いっぱいに並べたサンマすべてが均一に焼けているようです。
冷凍サンマ調理の美味しさがわかるよう、生のサンマを自動調理したものと比較。焼き上がった冷凍サンマと生サンマを並べてみると……どっちがどっちかわからないくらい、どちらも美味しそう。マイナビニュース・デジタルの林編集長が味を比べてみたところ「どっちも中までふっくらアツアツに焼けてて、正直味の違いがわからない……。冷凍のほうが脂がのってる気がするけど、これはサンマの個体差かな?」とのこと。筆者も食べ比べてみましたが、やはり違いはわかりません。微妙に冷凍サンマのほうが焼き目の香ばしさを強く感じたくらいです。
冷凍食材を美味しく焼くため、ヒーター設計から見直した
凍ったままIHグリルの進化は、ハードウェアとソフトウェアの両面を改良することで実現しています。ハードウェア面では、まずグリル庫内の上部にある平面ヒーターの形状を改良し、従来製品よりも焼きムラを抑えられるようにしています。冷凍以外のグリル調理でも焼きムラが減り、焼き色が均一になるそうです。さらに、ヒーターの火力も1,250Wにパワーアップしています(Yシリーズは1,150W)。
凍った食材を美味しく焼き上げるため、ソフトウェア面でも細かな調整をしています。たとえば、サンマの丸焼きといった「姿焼き・中」モードでは、最初に最大火力で温度を立ち上げ、まずは食材内部を解凍。次に、魚の臭みを消すために下ヒーターの火力をアップ、最後に表面と内部をバランスよく焼き上げるために上下ヒーターの火力をコントロールしながら仕上げます。
サンマを美味しく焼くための加熱コントロールを見つけるために、パナソニックではなんと1,000尾近いサンマを焼いたんだとか。「冷凍用メニューは、通常メニューよりちょっと長めに加熱」するだけではないのですね……。
誰でも失敗なしで美しい焼き色を実現する「焼き物アシスト」
パナソニックの高機能IHクッキングヒーターといえば「焼き物アシスト」も外せません。定番料理の加熱コントロールを自動化し、さらに食材を投入するタイミングやひっくり返すタイミングも教えてくれる調理サポート機能です。
これまでは「ホットケーキ」「ハンバーグ」「手作りぎょうざ」「ポークソテー」といった定番の10メニューしかなかったのですが、Aシリーズでは火力調整を見直すことで、定番メニューをもとに複数のアレンジ料理が加わりました。たとえば「ハンバーグ」メニューで「鶏つくね」や「ピーマンの肉詰め」「豆腐ハンバーグ」も作れます。焼き物アシストのメニューは10種類のままながら、30種類の料理をアシストできるようになっています。
焼き物アシスト機能のすごいところは、ユーザーにあわせて温度調整をしてくれるところ。会場ではデモンストレーションとして抹茶パンケーキを焼いたのですが、「裏返してください」と表示されたあとも、スタッフが機能説明をして裏返すまでに時間がかかってしまいました。その後、2枚目はタイミングよく焼けたのですが、タイミングを逃した1枚目と、手早く調理した2枚目の焼き色がほぼ同じ。料理が苦手な人も、上手な人も、同じように美味しく調理ができる機能なのです。
パナソニックのIHクッキングヒーターはとにかく使い勝手がよい
今回は新機能を中心に紹介してきましたが、パナソニックの高機能IHクッキングヒーターは、これ以外にも多くの便利機能を搭載しています。従来モデルから私がとくに気に入っているのはグリル機能の使いやすさ。昔からの魚焼きグリルは焼き網と水を入れる受け皿を使いますが、パナソニックのグリルは波形プレートだけなので洗い物がとってもラク。
また、グリル上は内蔵平面ヒーター、下部はIHヒーターで加熱するので、庫内は上下左右がフラットなのもポイント。一般的なグリルのように曲がったパイプ状のヒーターがないので、庫内を掃除しやすいんです。グリル調理は「後片付けが面倒」と敬遠する人も多いですが、YシリーズやAシリーズなら片付けの手間を減らせます。このほかにも多くの便利機能があるので、これから新築・リフォームを計画している家庭は、一度ショールームなどでイマドキの高機能IHクッキングヒーターを体験して欲しいと思います。