ファーウェイ・ジャパンは6月16日、「TWS市場の最新トレンド - 市場拡大とユーザーニーズの二極化」と題したメディア向けセミナーを開催。講師はオーディオ・ビジュアル評論家の野村ケンジ氏です。完全ワイヤレスイヤホン(以下、TWS)のニーズが、高機能で付加価値の高い製品と、コストパフォーマンス重視な製品の2つの方向に大きく分かれてきていることなどを語りました。

お手ごろ価格でもそれなりに品質の良いTWSが増えた

野村氏は、ヘッドホンやイヤホンを10年以上にわたって年間300製品以上も視聴し続けているという、オーディオ・ビジュアルの専門家。TBSテレビ開運音楽堂「ノムケンLab!」コーナーにレギュラー出演するなど、さまざまなメディアで活躍中です。

  • オーディオ・ビジュアルライターの野村ケンジ(のむらけんじ)氏

いわく「ポータブルイヤホンは、アップルがiPodを発売したときから、アップルVSソニーの構図が長らく続いており、TWS市場もこの2社が大きなウェイトを占めている点は変わりない」(野村氏)とのこと。

  • TWSのトレンドの下地として、長らくアップルとソニーの二強が継続中

一方で現在は、オーディオメーカー以外でもユニークな機能を持つ製品が参入したり、スマートフォンメーカーの製品も次々登場したりして、スマートフォンと組み合わせたときの使い勝手も重視されるようになってきたそうです。

  • オーディオメーカー以外の参入も注目されてきています

「アップルのAirPod Proは、iPhoneに一番フィットするため、iPhoneユーザーが深く考えずに選べば自然にAirPod Proのユーザーも増える構造です。一方、Androidスマートフォンのメーカーが出しているTWSは、自社製のスマートフォンはもとより、他社製の端末との整合性も重視するので、幅広いユーザーにアプローチできる半面、対応コーデックやアプリ開発などが難しいという側面を持っています」(野村氏)

また、野村氏は最近の傾向として、日本発の新しいブランドの台頭、中国ブランドの躍進という大きく2つの動向に注目しています。

日本発の新ブランドは、AVIOT、ag、ソフトバンクセレクションといった、「高機能」「良品質」「手ごろな価格」というバランスが取れた製品で存在感を高めています。躍進中の中国ブランドとしては、Anker、TaoTronics、SOUNDEATSなどを挙げました。かつての安かろう悪かろうを払拭し、急速にクオリティを向上してきています。

これらの製品は、これまでオーディオ機器の付属品や低価格の有線イヤホンを使用していた層のユーザーが多いとのこと。ライトユーザーをキャッチアップすることで、市場を奪い合うことなく拡大しているとしました。

以上、TWSに対するユーザーニーズは、(1)高機能・高付加価値、(2)ハイコスパ製品の2方向に収れんしてきたとまとめました。

  • TWSにおけるユーザーニーズ、二極化の要素を整理

そんな中、ファーウェイ・ジャパンのFreeBudsシリーズについてですが、FreeBuds Pro、FreeBuds、FreeBuds iという3シリーズがあります。このうち4月に発売されたFreeBuds 4i(直販価格は9,680円)は、エントリーモデルながら強力なアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載しています。野村氏は「フィードフォワード方式を採用しながら良好な装着感を実現しているのは珍しい」と、1万円以下の製品としてはコストパフォーマンスが高いとしました。

  • 野村氏がまとめるFreeBuds 4iのアドバンテージ

2020年11月発売のFreeBudsシリーズ最上位モデル「FreeBuds Pro」(直販価格は25,080円)については、野村氏は「ここまで必要かと思うほどガチガチのANC機能を搭載し、フィット感も良く、総合力の高さはさすかスマートフォンメーカーと感じました」と評価。面倒な手間をかけずに性能の良い製品を探す人に向いていると述べました。

  • 野村氏がまとめるFreeBuds Proのアドバンテージ

ファーウェイの音響技術研究室室長が語る、FreeBuds 4iに採用されている技術

野村氏に続いて、ファーウェイ・ジャパン 東京研究所 音響技術研究室 室長の角田直隆氏が登壇し、FreeBuds 4iに採用されているテクノロジーの中から、おもに「音質」「装着性」「ワイヤレス接続」について解説しました。

  • ファーウェイ・ジャパン 東京研究所 音響技術研究室 室長 角田直隆(つのだなおたか)氏

音質面では特にマイクに注目。片耳あたり2つのマイクを搭載し、独自の時間差ビームフォーミングとAIノイズリダクション技術を組み合わせています。環境や風のノイズを効果的に減らして、通話相手にクリアな音声を届けられる仕組みを披露。タッチコントロールによってノイズキャンセリングのオンオフなどが可能なこと、10mmドライバーユニット採用でパワフルな音とデリケートな音の両立を図っていることなどにも触れました。

  • FreeBuds 4iでは時間差ビームフォーミングとAIノイズリダクション技術で通話の音質を向上

装着性では、1回で2時間くらいかかるテストを数千回も繰り返し、延べ時間にして数万時間かけて快適性を追求したそうです。

ワイヤレス接続では、キャリングケースのふたを開けるだけで自動的にペアリングモードが有効になることや、ホスト機器とのペアリング後はふたを開けるだけで接続してすぐに使えることを紹介。さらに、左右のイヤホンピースの電池残量をチェックして、プライマリ接続とセカンダリ接続を自動的に切り替える工夫によって、内蔵バッテリーの持続時間を最大化していると語りました。

  • イヤホンの内蔵バッテリーをチェックして、左右の消費ペースを平均化。バッテリーの持続時間を最大化しています

  • HUAWEI FreeBus 4iは、セラミックホワイト、カーボンブラック、レッドの3色展開で、本体と同じ色の丸型キャリングケースが付属

  • HUAWEI FreeBus 4iを装着しているところ。イヤリングのようなアクセントに

先行発売中のスマートグラスも展示

会場では、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で先行販売しているスマートグラス「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」の展示を発見。

メガネの「つる」に指向性の高いセミオープンスピーカーを搭載し、音漏れを最小限に抑えながら音楽が楽しめようになっています。つるをスワイプして音量調整、ダブルタップで通話の応答・終了といった操作が可能です。

重さは44.2gで、普通のメガネと比べても特に重たいとは感じません。カナル型のイヤホンを長時間使うのは耳が痛いけれど、外でオーバーヘッドホンは使いたくないと思っている人や、外ではさりげなく音楽を聴きたいという人に良さそうです。

専用のメガネケースに収納し、専用ケースにUSBケーブルを接続して充電します。満充電までの時間は約90分で、音楽再生は約5時間、通話は約3.5時間。価格は超早割(30%オフ)で30,646円となっています。

  • スマートグラス「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」

  • メガネタイプの「SMART KUBO」を装着するマイナビニュース・デジタルの林編集長。標準では「度」が入っていません

  • こちらはサングラスタイプの「SMART LANG」。夏のゴルフ場あたりにこのまま身に着けていけそう