サイバーリンク社のPowerDVD 21は、DVDの再生ソフトとしてスタートし、現在では多くのメディアやコンテンツに対応した動画再生ソフトである。本稿では、最新版となるバージョン21の基本機能を紹介したい。

インストールから起動まで

PowerDVD 21であるが、パッケージとダウンロードによる2つの販売形式がある。また、実装する機能により、Standard、Pro、Ultra、365といったエディションもある。対応するコンテンツなども含め、詳細はサイバーリンクの公式Webサイトが詳しい。対応するコンテンツであるが、現状、サポートしていない形式や仕様はほぼないといってもいいだろう。

動作環境も、それほど厳しいものはない。現在の標準的なPCであれば、動作しないといったことはないだろう。ただし、8KやHDR10映像再生といった最新の映像テクノロジーに対応するには、そこそこ最新のハードウェアが必要になる。これらについても、上述の公式ページを参照してほしい。

  • PowerDVD 21を試す - Windows定番の動画再生ソフト、動画サイトや8Kもバッチリ高品質

    図1 インストール画面

インストールは非常にやさしい。画面の指示に従い、進めるだけである。インストール後に、プロダクトキーの入力を行う。

  • 図2 プロダクトキーの入力

また、サイバーリンククラウドの設定なども必要に応じて行っておくとよいだろう。

  • 図3 サイバーリンククラウドの設定

あとは、モードの選択となる。

  • 図4 モードの選択

PCモードは、Windows環境で、一般的なアプリとして利用することを想定している。TVモードでは、家庭のTVなどに接続して使用するためにある。4Kや8K対応TVなどで便利に使えるモードである(以下では、PCモードで実行する)。

そして、PowerDVD 21の起動画面が図5となる。

  • 図5 PowerDVD 21の起動画面

非常にシンプルな画面が特徴の1つである。ほとんど操作は、直観的に行うことができる。このあたりも長年のリリースのなかで、高められてきた要素といえるだろう。

動画の再生

まずは、PCのビデオフォルダにある動画を再生してみよう。左のメニューから、[マイコンピューター]→[動画]を選ぶ。保存してある動画ファイルが表示される。サムネイルをダブルクリックするか。マウスをフォーカスさせたときに表示される再生ボタンをクリックする。

  • 図6 動画の再生

これだけで動画の再生が行われる。

  • 図7 動画を再生中

再生画面をダブルクリックするなどで、全画面表示となる。

あとは、メディアライブラリーなどを活用し、コンテンツを整理していくといいだろう。このあたりは好みに応じて利用したい。

TrueTheaterテクノロジー

PowerDVD 21の機能で、ぜひとも利用したいのが、TrueTheaterテクノロジーである。一言でいえば、動画や音声をより高品質にする機能である。メニュー上の設定ボタンから[TrueTheaterの設定]を選ぶ。

  • 図8 TrueTheater(エンハンスメント)

ここの設定項目であるが、以下の通りである。

  • TrueTheater HDR:HDR非対応の映像 (SDR) をHDR映像へ変換 (365、Ultra限定)
  • TrueTheater Color:映像を分析し、鮮やかさや色合いを最適化した色彩を表現
  • TrueTheater HD:動画を拡大再生したときにクッキリ見やすい映像に補正
  • TrueTheater Stabilizer:動画の手ぶれを解析し、揺れを抑えて安定した映像を再生
  • TrueTheater Motion:フレーム補完により、動画をより自然で滑らかに再生
  • TrueTheater Lighting:明るすぎる部分、暗すぎる部分を自動調節してバランスの取れた映像に補正
  • TrueTheater Surround:通常の2chサウンドを疑似的にサラウンドサウンドへ変換して再生
  • TrueTheater Noise Reduction:夕闇など明るさの足りない映像で発生するデジタルのノイズを低減
  • TrueTheater Stretch:ディスプレイと異なるアスペクト比の映像でも違和感なくストレッチ再生
  • TrueTheater Sound:スライドバーを動かすだけで好みのサウンドに調整

コンテンツや環境によっては、すべての項目が設定できるとは限らない。図8では、ColorとLightingの設定のみ可能になっている。いずれもやや効果を強めに設定してみた。ディスプレイモードが3つあるが、右端は同じ動画でTrueTheaterテクノロジーが実施されていない状態(左)とされている状態(右)を同時に表示し、その違いを確かめることができる。その状態で、実際に再生したのが、図9である。

  • 図9 TrueTheaterテクノロジーを適用

やや強めに設定をしたが、色彩が鮮明になり、影の部分がより明瞭になっているのがわかってもらえると思う。より大きな効果があるのは、光量が不足している状態などでは、その効果がより感じられやすい。

PowerDVDはリリース当初より、その再生能力の高さが高く評価されてきた。TrueTheaterテクノロジーを併用することで、より美しい動画再生が可能となる。

各種動画サイトにもデフォルトで対応

PowerDVDの名前にあるように、最初はDVDメディアの再生からスタートした。時代は移り、Blu-rayなども登場し、当然サポートされてきた。しかし、光学メディア以上に普及が進んでいるが、動画サイトである。PowerDVDでは、著名な動画サイトの閲覧にデフォルトで対応する。ここでは、YouTubeの事例を紹介しよう。 左のメニューの[オンライン動画]→[YouTube]を選ぶ。

  • 図10 YouTubeを選択

ブラウザのように、サムネイルが表示される。あとは図6の動画再生と同じように扱うことができる。PowerDVDの便利な機能に、ピン留めがある。ピン留めしたい動画のサムネイルのコンテキストメニューから、[ピン留め]、動画サイズやプロファイルを選ぶ。

  • 図11 ピン留め

もしくは、マウスのフォーカスオンから、表示されるピン留めボタンをクリックし、動画サイズやプロファイルを選ぶ。

  • 図12 ピン留めボタンから

YouTubeにある動画が、PCにキャッシュされる。当然ながら、ハードディスクに相応の空き領域が必要となる点に注意したい。

  • 図13 キャッシュ中

キャッシュが完了すると、右上にあった数字などが消える。

  • 図14 キャッシュ完了

この状態になると、インターネットに接続しなくても、再生可能となる。さらにキャッシュメモリに保持されるので、再生がよどむこともない。

  • 図15 ピン留めされた動画を再生

見たい動画を、環境を選ばす再生できるようになる。かなり便利な機能といえるだろう。PowerDVD 21では、YouTube以外にも、Apple TVやFire TVにも対応した。

  • 図16 Fire TV視聴例

たんに動画やDVDの再生であれば、OSの標準機能やフリーソフトを使うことで可能かもしれない。わざわざお金を払ってまでPowerDVD 21をインストールする意味はあるか? この点は避けて通れない部分となる。その答えの1つは、圧倒的なまでの再生品質である。本文でもふれてきたが、これは実際に試してみないとわからないことだろう。サイバーリンク社では、30日間の無償体験版を提供している。興味を持たれたのであれば、まずはこちらを試してほしい(上述の公式ページからアクセスできる)。

本稿では紹介できなかったが、クラウドを介した各種デバイスでの共有やシェアも可能となる。これらも活用したい機能である。