逡巡した結果、Surface Laptop 4を入手した。ゴールデンウィーク前に到着したのだが、半月ほど使い続けた使用感をお伝えしたい。今回選んだのはAMD Ryzen 7搭載の15インチモデルだ。

  • Surface Laptop 4とSurface Pro 7を並べた状態。Surface Laptop 4の大きさが際立つ

久しぶりの15インチは、Surface Pro 7やSurface Goに慣れた筆者にとってはかなり大きい。コロナ禍で外出する機会も減り、屋内でも持ち歩く場面がないとの判断から15インチモデルを選択した。もう1つの理由は視力の低下。加齢なのか日々の酷使が原因なのか分からないが、近視が加速した裸眼では4Kディスプレイに表示したテキストエディターの文字がぼやけてしまう。200%に拡大表示し、フォントサイズは14ポイントに設定しているのだが、約60センチの距離でも眼鏡が欠かせない。

そこで裸眼でも執筆できる環境として、ディスプレイ解像度が2,469×1,664ピクセル(拡大サイズは150%)のSurface Laptop 4に秀丸エディターをインストールし、フォントサイズを17ポイントに拡大。30センチ未満の距離に近づいたことで、ようやく裸眼で原稿が書けるようになった。

  • Surface Laptop 4のタスクマネージャー。16コアがすばらしい

AMD Ryzen 7 4980Uは速い(比較するのもおこがましいが、筆者のデスクトップPCは6年前のIntel Core i7-6700)。2年前のIntel Core i7-1065G7(Surface Pro 7)よりも高速だ。ベンチマークツールは試していないが、Ryzen 7 4980Uは8コア16スレッドと、タスクマネージャーを見ると満足感が高い。GPU性能はIntel CPUモデルのIntel Iris Xe Graphicsに及ばずも、WSL環境でLinux GUIアプリを実行するWSLgも問題なく動作することは強調しておきたい。

筆者は普段、ノートPCでゲームはプレイせず、GPU性能はある程度で十分と思っていたのだが、『Sid Meier's Civilization VI』のやり過ぎ(?)でデスクトップPCのビデオカードが死んでしまった。PCゲームを控えれば済むと思っていたが、高速スタートアップでOSを再起動するとDWM(Desktop Window Manager)を巻き込み、OSが使えなくなってしまう。そこでSurface Laptop 4にSid Meier's Civilization VIをインストールしてみたが、UIの応答性も含めてデスクトップPCを上回る結果となった。PCゲーム側の描画設定を最高位にしなければ、十分楽しめそうだ。

  • 『Sid Meier's Civilization VI』のベンチマーク結果。グラフィックオプションはすべて最低にしている

Surface Laptop 4が搭載するカメラは720p HDで、一般的な解像度ながらもF値は2.0と明るめだ。加えて直近のSurfaceシリーズでも採用しているDual far-fieldスタジオマイクや、Omnisonicスピーカーでオンラインコミュニケーション環境も強化している。Microsoft TeamsやZoomでオンライン会議に参加する機会が増えたいま、注目ポイントとなりそうだ。

  • Omnisonicスピーカーを利用するため、アプリとして「Dolby Access OEM」をバンドルしている

欠点を上げるとするなら、1つは重さ。Surface Laptop 4は15インチクラスのノートPCとしては軽量の部類とはいえ、約1.542kgというのは絶対値としては重い。ただ、前述したように持ち運ばず、ほぼ仕事机で使うので大きな問題とはならない。

もう1つは筆者の戸惑い。Surface Laptop 4は、Surface Laptop Goで加わった「IMEオン」「IMEオフ」キーではなく、「変換」「無変換」キーが使われているので安堵したものの、使い始めはタイプミスが多発した。15インチという大きさが問題なのかとデスクトップPCのThinkPadトラックポイントキーボードと比較してみたが、大きさの違いは1mm前後。Surface Pro 7とは1mm未満だった。試行錯誤した結果は「チルトスタンドの有無」だった。

Surface Pro 7のSurface Pro Signatureタイプカバーは自動的に傾斜がつき、ThinkPadトラックポイントキーボードもチルトスタンドを有効にしている。筆者は無意識のうち、手の角度と指の差し伸ばしでキーを叩いていたらしく、手根の位置を調整したところタイプミスは大きく減った。パームレストがほぼ皆無のThinkPadトラックポイントキーボードと、十分なパームレストを持つSurface Laptop 4の違いに体がついて行かなかったのだろう。

  • Surface Laptop 4は最大19時間のバッテリー駆動を誇る。「最も高いパフォーマンス」で約4時間、秀丸エディターと「ATOK for Windows」を使ってみたが、バッテリー消費は4割程度だった

3回目の非常事態宣言も延長された東京都だが、対面業務が必要な業種以外はリモートワークがそれなりに進んでいるだろう(とはいえ非対面業務に対しても出社を強いる企業の話を耳にすることは少なくない)。快適なリモートワーク環境の構築という面でも、Surface Laptop 4は良い選択肢になるだろう。合わせて、13.5インチや15インチのSurface Laptop 4と同じサイズのモバイル液晶ディスプレイや、より大画面の一般的な液晶ディスプレイを購入することをおすすめしたい。5月14日には、Surface Laptop 4にIntel Core i5搭載13.5インチエントリーモデルのブラック版も加わり、選択の幅が広がっている。