モトローラから、折りたたみ5Gスマートフォン「motorola razr 5G」の国内での取り扱いが発表されました。ソフトバンクから発売されます。ソフトバンク版の価格は税込198,000円で、「トクするサポート+」適用時の実質支払額が99,000円。3月5日から予約受付が開始されます。

  • 日本ではポリッシュグラファイト1色展開となる「motorola razr」。OSはAndroid 11。サイズは折りたたみ時が高さ91.7×幅72.6×厚さ16mm、開いた状態では高さ169.2×幅72.6×厚さ7.9mm、重さ約192g

    グローバルではカラバリもあるが、日本ではポリッシュグラファイト1色展開となる「motorola razr」。OSはAndroid 11。サイズは折りたたみ時が高さ91.7×幅72.6×厚さ16mm、開いた状態では高さ169.2×幅72.6×厚さ7.9mm、重さ約192g

6.2インチ画面を折りたためる注目スマホ

「motorola razr」という名前は、2000年代に一世を風靡した、スリムな折りたたみケータイの代名詞ともいえる人気シリーズ、「RAZR」から受け継がれたものです。スマートフォンの時代になってからも、同シリーズ名を冠したモデルはリリースされてきましたが、往年のユーザーの中には「やっぱりRAZRといえば折りたたみ」というイメージが、根強くあったのではないかと思います。

そのRAZRがいよいよ、折りたたみスマートフォン「motorola razr 5G」となって日本でも発売されます。グローバルでは、昨年9月に発表済みのモデルですが、一昨年の11月にグローバル発表された前モデルの「motorola razr」は、結局日本では未発売だったので、待望の日本上陸といえます。

  • ソフトバンクの5Gネットワークをしっかりつかんでいます

筆者は昨年の「CES2020」で前モデルに触れ、今回もひと足早く「motorola razr 5G」に触れましたが、前モデルからさらにブラッシュアップされ、洗練された印象を受けました。

たとえばデザインには、「RAZR」の特徴である滑らかな曲線が活かされています。同じ縦折りの折りたたみスマーフォンである「Galaxy Z Flip 5G」が、板を2枚重ねたコンパクトミラーのような形状なのに対し、「motorola razr 5G」は横から見ると下側の板がL字になっていて、上の板がぴったりと収まる形状になっています。この凹凸がカチッとハマる感じの折りたたみ方は、まさしく「RAZR」から受け継がれたもの。また開くときも「RAZR」と同じく、片手でロックを外して振って開くという開き方ができます。

  • 左サイドにあるロックを外してスマホを振れば、折りたたみケータイでやっていたのと同じように、片手で開くことができます

開閉している様子

  • 日本未発売だった前モデル「motorola razr」。これはケータイの「RAZR」を模した「Retro Razrモード」

  • 前モデルでは、閉じた前面の下部に指紋センサーが配置されていました。ヒンジなどの形状も変わっています

  • 「motorola razr 5G」では背面の「M」のロゴが指紋センサーになっているのも実にさりげなくて、筆者がデザイン的に洗練されたと感じるポイントです

精巧なヒンジで画面を「曲げ」て収納

折りたたみを開くと、は6.2インチ(HD+、2142x876ドット)の大画面ディスプレイが現れます。実は前モデルではディスプレイの折り目が少々気になったのですが、筆者が見た限りではその点も改善されていて、通常の大画面スマホとしてまったく違和感なく使えます。

  • モトローラの説明によれば、ヒンジに工夫があるとのこと。折りたたんだときにしずく型のすき間を作ることで、コンパクトに折りたたみつつも、屈折部にテンションがかかりすぎない設計になっています

  • 実際の側面。ぴったりと閉じられますが、本体の厚みを活かしディスプレイは(折りではなく)曲げて収納されています

閉じた前面には2.7インチ(SD、800×600ドット)のサブディスプレイ「クイックビューディスプレイ」があり、折りたたみを開くことなく、電話の受発信やメッセージのチェック、地図の表示、音楽再生から文字入力、簡単なゲームまで、いろいろな操作ができます。中でも筆者がこれは便利かもと感じたのは、ソフトバンクが販売する端末らしく、このサブディスプレイでPayPay決済ができること。レジ前で折りたたみを開いて、アプリを起動して……ともたもたすることなく、スムーズに支払いができそうです。

  • クイックビューディスプレイのランチャーに、任意のアプリを登録することができ、対応するアプリはこの画面上で起動できます。PayPayも閉じた状態で起動し、決済ができるとのこと

  • Webブラウザを立ち上げてサイトを表示できます

サブ画面の表示

閉じた状態だと、筆者の手でも余裕で画面の端まで親指が届くので、無理なく片手操作ができるのもうれしいポイント。さらに4,800万画素のメインカメラを使ってセルフィーが撮れます。

折りたたみを開くと2,000万画素のインカメラもありますが、「motorola razr 5G」は開くか閉じるかのどちらかしか動作しない仕様で、「Galaxy Z Flip 5G」のようにL字型の状態で置いて使うことは想定されていないようです。そんなわけでもしビデオ通話をする場合は、通常のスマートフォンと同様に別途スタンドが必要になります。

「Moto Action」ジェスチャーにも対応

メインカメラはレンズがひとつですが、F値1.7と明るく、光学式手ぶれ補正も備わっています。ポートレートモード、ナイトビジョンのほか、モトローラのスマートフォンではおなじみになりつつある、スポットカラーやシネマグラフといったエフェクトも楽しめ、動画では4K、30fp撮影が可能。手首をひねって2回振るとカメラが起動するなど、これもモトローラのスマートフォンではおなじみの「Moto Action」も利用できます。

  • 「Moto Action」でクイックキャプチャがオンになっていれば、閉じた状態で手首をひねって2回振ると、クイックビューディスプレイのカメラが起動。画面をタップすると撮影できます。ポートレートやナイトビジョンなどモードの切り替えも可能

チップセットにはQualcomm Snapdragon 765Gを採用し、8GBメモリー、256GBのストレージを搭載。バッテリーは2,800mAhで5G対応(ミリ波には非対応)と、スペックに不足はありませんが、一方で、筆者が唯一残念に感じたのは底面に1つだけのスピーカー。また、おサイフケータイには対応していません。以前ソフトバンクから発売された「MOTOROLA RAZR M」はおサイフケータイ対応だったのですが、今はPayPayが使えるから……ということかもしれません。

モトローラはここ数年、SIMフリー市場に向けにお手頃価格のミッドレンジモデルを中心に展開してきましたが、「motorola razr 5G」は日本向けに初めて投入する、5G対応のプレミアムモデルと位置づけられています。ソフトバンクでの取り扱いも「MOTOROLA RAZR M」以来約9年ぶりとあって、かなり気合いの入った一台であることは間違いありません。

ソフトバンク版の発売にあたって、先着1000名にBEAMSデザインのTシャツがプレゼントされるキャンペーンも用意されています。Tシャツの胸ポケットは「motorola razr 5G」がぴったり収まる仕様とのこと。ちなみに胸ポケットは迷彩柄なのですが、この柄は1998年にBEAMSがモトローラ製のPHSデジタルコードレスホンをカスタムペイントしたときのデザインがモチーフという、かなりのマニアックぶり。往年のモトローラ、「RAZR」ファンからは垂涎の的となるかもしれません。

なおソフトバンクからは「motorola razr 5G」だけでなく、モトローラの親会社であるレノボのディスプレイが折りたためるモバイルPC「ThinkPad X1 Fold」も発売予定。「トクするサポート+」も適用され、実質支払額20万1240円で入手できるとのことで、こちらも注目を集めそうです。

  • ソフトバンクの5Gネットワークに対応する「ThinkPad X1 Fold」。13.3インチの折り曲げられる有機ELディスプレイを搭載。マグネットでキーボードを固定し、タイピングすることもできます

【お詫びと訂正】初出時、製品名がmotorora razr 5Gとなっていましたが、正しくはmotorola razr 5Gとなります。お詫びして訂正いたします。(2021年3月17日)