Microsoftは米国時間2020年2月17日、Windows 10の次期機能更新プログラムに関して、2021年上半期の後半にリリースすることを公式ブログで明らかにした。さっそくWindows Insider ProgramのBetaチャネルでは、機能更新プログラムの配信を開始している。
Windows 10 バージョン21H1の変更点は同20H2と同様に多くはない。公式ブログの説明によれば、「Windows Helloマルチカメラ」を新たにサポートした。近年のスマートフォンはアウトカメラとインカメラを備えているが、これと同じように、PCがディスプレイの前後にWindows Hello対応のWebカメラを備えている場合、Windows Helloがデフォルトで使うWebカメラを設定できる。
また、コンテナを使ってアプリを仮想化し、マルウェアの侵入などからシステムを保護する「WDAG(Windows Defender Application Guard)」のパフォーマンス向上は、WDAG利用者には興味深い新機能だろう。Microsoft Edgeの仮想化に注目が集まるWDAGだが、Microsoft Defender Application Guard for Officeを用いれば、Microsoft 365 Apps(Office 365)を仮想化することも可能だ。そのような場面でドキュメントを開くパフォーマンスが向上するという。
最後は「WMI GPSVC(Windows Management Instrumentation Group Policy Service)」のパフォーマンス向上。主にリモートワークを想定した改善が加わる予定だ。
このように、Windows 10 バージョン21H1はマイナーアップデートにとどまり、Microsoftが過去に年2回の頻度で提供してきた機能更新プログラムのような機能刷新は含んでいない。これを成長鈍化と見るか、Windows 10が「枯れつつある」と見るかは、利用スタイルによって異なるだろう。
筆者としては、WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)のパフォーマンス改善やSun Valleyプロジェクトに代表されるUIの刷新、Reunionプロジェクトによるアプリ開発環境の再構築など、今後のWindows 10に加わる改善はいずれも興味深い。ただ、セキュリティ更新プログラムや品質更新プログラムで新たに生まれた諸問題が一部のユーザー環境で発生し、Windows 10の安定性を欠いているのも事実だ。アプリの実行基盤であるOSが機能刷新ではなく安定性を優先するのは、Windows 10搭載PCが10億台を超えたことを踏まえると正しい判断だろう。
なお、Windows 10 バージョン21H1の正式リリースは2021年上半期後半を予定している。Microsoftは今後、正式リリースに向けて各種情報を提供していくという。本誌でも逐一ご報告する予定だ。Windows 10の更新プログラムは、適用速度の改善が地道に続けられており、直近もしくは少し前のバージョンからならだいぶ高速に適用できるようになっている。Windows 10 バージョン21H1に備えて、今のうちにバージョン2004もしくはバージョン20H2への更新を推奨したい。