Microsoftは米国時間2019年7月14~18日、米ラスベガスで開催した年次イベント「Microsoft Inspire 2019」で、企業内やビジネスシーンにおける新Microsoft Edgeの利用をアピールした。通常のダウンロードページとは別に企業向けページを用意し、Devチャネルのオフライン展開用パッケージと、グループポリシー管理テンプレートファイルの提供を始めている。

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    企業向け新Microsoft Edgeのダウンロードページ。32&64ビット版Windows用とmacOS版を用意する

本件に合わせて投稿されたMicrosoftの公式ブログで、企業向けロードマップとしてIE(Internet Explorer)モードや展開と管理、Application Guardなどを組み合わせたセキュリティ機能、AAD(Azure Active Directory)によるサインインといった機能を順次実装することを明らかにした。

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    管理テンプレートファイルを取り込んだ状態。新Microsoft Edgeに関する項目が現れる

たとえば企業内のイントラネットにアクセスする場面、IEモードは欠かせない機能である(すでに不要という環境もあるだろうが)。Microsoftは新Microsoft EdgeのIEモードサポートについて、「『2ブラウザー』ソリューションは不要」とアピールし、ドキュメントモード、Silverlight、BHO(Browser Helper Objects)などActiveXコントロールの完全サポートをうたっている。

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    すでにDevチャネルでも実験ページ(edge://flags/)でIDモードをサポートしている

また、前述したグループポリシーのサポートは、Microsoft Intuneなどを用いたデバイス管理を可能にするため、システム部門による展開・管理を必要とする企業内での利用を促進させるだろう。

気になるのは個人ユーザーにも重要なセキュリティ周り。Microsoftの説明によれば、Chromiumのサンドボックスやサイト分離といった基本機能に加えて、Microsoft Defender SmartScreenとの連携を図っている最中だ。なお、Application Guard on Windows 10、Azure AD Conditional Access、Microsoft Information Protectionといったエンタープライズセキュリティ機能も、将来的に対応する予定である。

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    2019年7月時点の新Microsoft Edgeが備える機能(公式ブログより抜粋)

ほかにも新規タブページの企業向けカスタマイズや、Microsoft Searchのネイティブサポートなど、興味深い機能が実装される予定だ。今回の企業向けロードマップ公開は、新Microsoft Edgeの開発が一定レベルに達し、Microsoftが得意とするエンタープライズビジネスへの展開が始まったことを意味する。新Microsoft Edgeの開発は次なる段階へと進み、我々のWeb閲覧体験を向上させるだろう。

阿久津良和(Cactus)