iPhoneの魅力といえば、説明書を読まなくても使いかたがわかるほどの直感的な操作性です。しかし、なぜ? どうして? と疑問を持ってしまう事柄も少なくありません。ここでは、2013年1月以来連日のように掲載されてきた「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」の過去記事を分析し、アクセス数やSNSでの投稿をもとに得点化したジャンルごとのトップ5を紹介、解説します。第1回となる今回のテーマは「充電」です。

第5位:Lightningケーブルの質は充電に影響する?

2012年秋に突然発表されたApple独自のコネクタ形式「Lightning(ライトニング)」。端子に方向性がなく上下を気にせず挿入できるコネクタは、当時かなり画期的なものでした。Appleが独自に策定した規格のため、当初はApple純正品で占められていましたが、やがてAppleの厳しい審査を経て「Made for iPhone(MFi)」ロゴを獲得したサードパーティー製品も登場、さまざまな長さや色のLightningケーブルが流通するようになりました。

しかし、いつしかMFiロゴのないLightningケーブルを見かけるように。Appleの審査を経ていない「Lightning互換品」の出現です。Lightning端子の内部には、正規のLightningケーブルかどうかを判定できるICが埋め込まれているのですが、同等品やコピー品を使うことでこれをクリア、Appleにライセンス料を払わずに済むため激安にできるというカラクリです。

問題は、その品質。記事執筆のため、MFiロゴあり/なしのLightningケーブルをそれぞれ調べてみましたが、MFiロゴありのものは電流が1A(アンペア)付近で安定していたものの、激安品は0.6Aなど1Aに満たないものばかりでした。充電するための電力(ワット/W)は、電圧(ボルト/V)×電流(アンペア/A)の計算式で求められますから、アンペアが小さければ他の条件が同一のとき充電時間は長くなります。安価な互換品が必ずしも1アンペア以下とはかぎりませんが、性能が保証されている純正品/MFiロゴ取得品のほうが確実とはいえるでしょう。

  • 純正/MFiロゴがあるLightningケーブルと互換品では、充電時間に差が生じることもあります

第4位:iPadの充電器はiPhoneにも使える?

充電器に関する記事も、多く読まれたようです。iPhoneに付属のACアダプタは電圧が5V(ボルト)、電流が2.1A(アンペア)という仕様が長い間続いており、バッテリー容量増加でより高速充電が求められるようになったことから、出力が大きいiPadのACアダプタを使えないの? という疑問が生じたからでしょう。

iPadの充電器をiPhoneで使えるかどうかですが、Appleは公式に「使える」ことを紹介しています。iPhoneの内部には過剰な電流を防止する回路がありますから、特に心配はいりません。

充電速度は段違いで、「12W」と明記されたACアダプタを例にすると、電圧が5V、電流が2.1Aで10.5Wの電力を供給できることになりますから、iPhoneに付属のACアダプタ(5V×1A=5W)より格段に速いことがわかります。iPadとiPhoneの両方を持っているのなら、使わない手はありませんね。

  • iPadに付属のACアダプタは、iPhoneシリーズでも使えます

第3位:バッテリーは使い切ってから充電すべき?

バッテリーは0%になるまで使わないといけないと信じている人、実はかなり多いようです。かつて主素材にニッケルとカドミウムを利用した通称「ニッカド電池」や、カドミウムの代わりに水素を含んだ合金を利用した「ニッケル水素電池」という二次電池(充電して何度も使い回しできるバッテリー)が広く利用されていたとき、そのクセともいえる「メモリー効果」を覚えているせいかもしれません。

メモリー効果とは、残量がゼロになっていないニッカド電池やニッケル水素電池に充電(継ぎ足し充電)すると、継ぎ足しを開始した時点の電池容量が記憶され、次回以降その容量まで到達すると電圧が降下してしまうことで、この症状が現れたバッテリーは必要な電圧が供給されず電池切れに近い状態になります。使い切らないで充電すると容量が減ったように見えるため、使い切ってから充電することがセオリーだったのです。

しかし、iPhoneに内蔵の二次電池は、リチウムイオンポリマーを主素材とした「リチウムイオンポリマーバッテリー」です。このタイプの二次電池にはメモリー効果がほとんどないため、継ぎ足し充電をしてもなんら問題はありません。バッテリーが残量ゼロになると面倒ですから、早めに継ぎ足し充電しましょう。

  • バッテリーの最大容量が次第に低下することと継ぎ足し充電には、直接の関係はありません

第2位:充電中に使うとiPhoneにダメージがある?

充電中にiPhoneを使うとバッテリーがダメージを受けそうで気になる、という声をよく耳にします。いいか悪いかの二択で論じることは難しいものの、回答としては「気にせず使えるけれど、グラフィックを駆使するゲームなど高負荷のアプリは避けるべき」となるでしょう。

iPhoneに採用されているリチウムイオンポリマーバッテリーは、満充電のまま使い続けたり完全放電状態で長期間放置したりすると、エネルギーを蓄える結晶構造にダメージを受けます。熱からの影響も受けやすく、45度を超える環境で長時間充電を行うと性能が低下し、ダメージが重なると次第にバッテリーの最大容量が減っていきます。

充電中にバッテリーの温度は上昇しますから、高負荷な処理を続けると温度上昇の追い打ちをかけることになります。バッテリーをできるだけ長持ちさせたければ、充電中にiPhoneを酷使することは避けたほうが無難です。

  • リチウムイオンポリマーバッテリーは高熱に弱いため、iPhoneを充電中に酷使することは避けましょう

第1位:純正品ではない充電アダプタを使ってもだいじょうぶ?

充電に関する記事で数年にわたりアクセス数が多かったトピックは、純正品ではない充電アダプタの使用に関するものでした。海外の爆発事故が繰り返し報道されたインパクトが大きかったのでしょう、安全性に不安を感じるユーザが増えるのも無理はありません。

純正品ではない充電アダプタを使ってもだいじょうぶ? との問いに対する回答ですが、Lightningケーブル同様「純正品もしくはMFiロゴが付与された製品」が安心、ということになります。AppleはiPhoneアクセサリに厳しい互換性要件を定めており、その性能基準を満たしていると認定された製品にのみMFiロゴの使用許可が与えられるからです。

なお、純正品やMFi取得品であっても、安心しきってしまうのは禁物です。リチウムイオンバッテリーは温度に敏感で、高熱を発する場所に放置すると膨張するなどして予想外の事態を招く可能性があるからです。油断せず、慎重に利用しましょう。

  • 充電アダプタは純正品もしくはMFiロゴが付与された製品が安心です