近年、多くの企業で導入している「アウトソーシング」ですが、どういう事か、知らない人もいるのでは?

今回は、分かっているようでよく知らないビジネス用語「アウトソーシング」について解説します。

■「アウトソーシング」とは?

アウトソーシング(outsourcing)は、「外部」という意味の「out」と、「源泉となる・調達する」という意味の「sourcing」で成り立っていう言葉で、ビジネスの世界では、「企業が執り行う業務の一部を、外部の専門企業へ委託する事」をアウトソーシングと言います。「業務委託」「外部委託」「外注」「外部調達」などと呼ぶこともあります。

アウトソーシングは、1980年代にアメリカで注目されはじめたもので、元々は情報システムの構築や運用・保守など、IT分野で用いられていた手法です。

日本においては、1989年、セブンーイレブン・ジャパンが情報システム部門の一括委託を行ったのが本格的な始まりのようで、今では、開発や生産、物流、経理といったあらゆる業務でアウトソーシングが用いられています。

■アウトソーシング導入のメリット

どんな企業でも、人事や経理、法務、情報システムに関連した業務が存在するものですが、どれも専門性の高い業務です。だからと言って、常に最新の知識とスキルを備えた人材を採用したり、一から育てるとなると、それなりの時間とコストを要してしまいます。そんな時に便利なのが、アウトソーシングなのです。

その道のプロである外部の専門家に委託することで、その業務にかかる時間や人件費、専門設備といったコストを抑制することが可能です。また、これまでその業務を担当していた従業員は勿論のこと、あらゆる経営資源を自社の主たる事業(開発業務など)に集中させることができるのもアウトソーシングの魅力です。

さらに、新しい事業を展開する際などには、経験の少ない自社の従業員で新しい部署を立ち上げるよりも、高度な技術やノウハウを持った専門家に委託する方が、品質を保持しつつ開発に取り組むことができるのです。

例えば、社内のIT設備の構築を外部に委託したり、新たな商品開発に必要な部品の一部を外注したり、受付業務をコールセンターに集中させることなどが挙げられます。特に、IT設備の構築は高い専門知識がなければ出来ないものですが、これを、専門外の従業員にやらせるとなれば、膨大な時間を費やしてしまうだけでなく、成功するとも限りません。

このように、「コアではないが、それなりの専門知識を要する業務は外部へ委託し、自社の従業員をコア業務に集中させることで本業を強化し、全体としてコスト削減に繋げる」というのが、アウトソーシングの効率の良い活用方法と言えるでしょう。

■アウトソーシングの実例

コールセンターサービスの導入
PC関連のユーザーサポート、インターネットの接続サポート、電機メーカーの修理・保守受付、通販の注文受付、ホテルの予約受付など。

物流サービスの導入
DM・カタログ・アンケートなどの送付物配送、ギフト配送、商品配送センターなど。

フィールドサポートサービスの導入
社内ソフトウェアの導入、LAN構築、社内ネットワークトラブルの復旧、HDDデータ消去・破壊、イベント会場内のIT設備構築など。

バックオフィスサポートサービスの導入
アンケート入力・集計、ECサイト運営代行、アパレル関連のマネキン撮影・モデル撮影、印刷業務、業務マニュアルの作成など。


アウトソーシングには、社内ノウハウの蓄積ができなかったり、情報漏洩のリスクが高まるといったデメリットもあります。しかしながら、専門外である業務まで全てを自社で担おうとるすと、外部に委託する以上に時間とコストを消費してしまうのも事実です。

アウトソーシングのメリット、デメリットをしっかりと把握し、自社の経営状況に合わせて上手に活用しましょう。