Intel、AMD、ARMなどのモダンCPUの投機的実行 (speculative execution)プロセスに悪用可能な脆弱性「Meltdown」「Spectre」が存在することが明らかになった問題で、セキュリティアップデートによるPCパフォーマンスへの影響について、IntelとMicrosoftがそれぞれ、これまでの調査に基づいた情報のアップデートを行った。

Meltdownの「CVE-2017-5754」やSpectreの「CVE-2017-5753」への対応の影響は小規模にとどまりそうだが、Spectreの「CVE-2017-5715」にはCPUのマイクロコードのアップデートが必要であり、パフォーマンスに影響が及ぶ可能性がある。最大30%ほど低下する可能性も指摘されていた。

Intelが1月3日 (米国時間)に公開した「Intel responds to security research findings」の中で、同社は影響の規模はワークロードで変わるものの「平均的なユーザーに対して大きくなるべきものではない」としていた。その見通しに変化はない。SYSmark 2014 SEによるベンチマークで、第8世代Coreプラットフォームのスコアの低下率はテストによっては2%、大きい場合は14%、全体では6%を下回った。これはメールを確認したり、ドキュメントの作成や画像にアクセスするといった一般的なホームユーザーやビジネスユーザーの使い方では減速を感じない程度だという。テスト機は、Core i7-8650U、4GB DDR4-2400×2本、Intel 600p m.2 NVME SSDという構成のノートPC、Core i7-8700K、8GB DDR4-2666×2本、Intel 600p M.2 NVMe SSDという構成のデスクトップPCだった。

Microsoftはより広範なPCについてコメントしている。

  • 第6世代Core (Skylake)や第7世代Core (Kabylake)以降のCPUを搭載した2016年頃以降のWindows 10 PC:パフォーマンスの低下は一桁台、ミリ秒の違いであり、ほとんどのユーザーが変化に気づかない。
  • 第4世代Core (Haswell)またはそれ以前のCPUを搭載した2015年頃のWindows 10 PC:いくつかのベンチマークテストでは低下率が大きく、一部のユーザーがパフォーマンスの低下を感じる。
  • 第4世代Core (Haswell)またはそれ以前のCPUを搭載した2015年頃のWindows 8/7 PC:ほとんどのユーザーがパフォーマンスの低下を覚える可能性がある。

性能低下はWindows Server、特にI/Oインテンシブなアプリケーションで顕著であり、PCの場合、低下は避けられないものの、一般的なユーザーの利用ケースで深刻な低下が発生することはなさそうだ。ただし、全てのフォント・レンダリングがカーネルで行われるなど、ユーザー空間とカーネルのトランジションが多いレガシーな設計のWindows 7/8では影響の規模が大きくなる。