ファンの気持ちもわかる

――何かを選ばれるときは、選択肢をいっぱい用意して選ぼうというタイプなんですか?

そうかもしれないですね。元々理工学部を選んだのも、医学部・理系・文系と、1番色んな職業に行ける学科だと思ったから。やりたいことが見つかっていたらいいんですが、みんな、学生の頃にやりたいことがほとんどないと思うんですよ。就職している人も、なんとなくこの業界がいいなとか、給与がいいからとか、みんなが行きたがる狭き門だから、といった選択をする人が多いようで、少し疑問には思っていました。だからなるべく選択肢を増やして、何かしらに出会うんじゃないかと模索している最中に、俳優という職業の選択が出てきたんです。

――俳優というのは、別のところから飛び込んできた選択肢だったんですね。理工学部って企業からも引く手あまたなので、そこから俳優にとは、すごいです。

全く違うところでしたけど、結果的に、来ちゃいましたね(笑)。

――周りには10代の頃から仕事している方もたくさんいらっしゃると思うんですが、大学生から俳優の道に入ったことで違う感覚を持っていると思うことはありますか?

それは、あると思います。この業界って結構特殊で、一般的な感覚と少し違うというのは、事務所に入ったときに感じました。でも僕は22才まで普通に大学生として過ごしていたので、両方の感覚が分かる分、ファンの人の気持ちもなんとなくわかります。芸能界に対してのちょっとしたフィルターだったり、ミーハー心だったり、そういう感覚もわかるところまで普通に生活していたので、応援して下さる方にこうしてあげたい、という気持ちが出てきます。

自分に自信を持てないタイプ

――そうやって選ばれた俳優の道ですが、演技をされている上で気をつけているポイントなどはありますか?

大切にしているのは、自分に自信を持って演じること。他の仕事でも言えるかもしれないですけど、自信を持ってやるのと、自信を持たないままやるのとでは、だいぶ違うと思います。だから「自分に自信を持ってやること」「遠慮せずにやること」という2つを大切にしています。

――それはいつ頃から思い始めたのですか?

俳優1年目くらいのときに、佐々木蔵之介さんに「遠慮するなよ」と言っていただいたんです。ぽろっとさらっとおっしゃったんですけど、すごく響いて、大切にしています。僕はあまり自信が持てないタイプなので、自分に自信を持つよう言い聞かせて。

――佐々木さんが「遠慮するなよ」とおっしゃったときに、古川さんご自身が「遠慮してたかも」と思い当たる所があったんですか?

たぶん当てはまることころが、いくつかあったんですよね。ひるんでいたり遠慮していたりする気持ちが、結果として芝居に影響してくるということが見えてきて、「これはダメだな」と思って、いただいた言葉を大切にしています。

――『僕だけがいない街』はご自身でご覧になっていかがでしたか?

自分のドラマを観る時は、ちょっと難しいんですよね。どうしても、自分のことばかり観てしまって。でも観始めてすぐ、普通のドラマと雰囲気が違うなと思いましたし、30分があっという間で、海外ドラマのように、次の話が見たくなるような終わり方をするところがいいなと思いました。

――では、最後にこのドラマを見る方に向けてメッセージをいただければ。

190カ国で配信されるということで、世界中の方々に観ていただけることをすごく楽しみにしています。今回Netflixでドラマ化したことによって、より原作に近い作品になっていると思うので、そこを楽しんで観ていただきたいです。4Kで撮った映像がすごく綺麗で、北海道、岡山、富士山といろいろなロケ地で撮影した日本の要素も入っているので、海外の人たちが映像を通して日本の事をより知ってもらうきっかけになればいいなと思っています。

■古川雄輝
1987年12月18日、東京都出身。7歳よりカナダへ移住し、16歳で単身NYへ渡る。大学ではミスター慶應コンテストでグランプリに輝き、2010年にキャンパスターH★50with メンズノンノにて審査委員特別賞を受賞。2013年、日英共同作品『家康と按針』で海外デビューし、同年、主演ドラマ『イタズラなKiss~Love in TOKYO』が日本と同時に中国で配信され大ヒットを記録。映画『脳内ポイズンベリー』(15)、『ライチ☆光クラブ』(16)、ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(15)、『ぺっぴんさん』(16)など様々な作品で活躍し、2017年は『重要参考人探偵』に出演。公開待機作に『日韓合作映画 風の色』『曇天に笑う』『となりの怪物くん』がある。