ソラコムはドコモのMVNO

注目したいのは、KDDIの新サービスがソラコム提供のIoT向け回線サービス「SORACOM Air」と同様の特徴を備え、ほぼ同一の料金体系であることだ。「SORACOM Air」は2015年9月のサービス開始以降、4000を超えるパートナーに利用され、IoTの分野では注目を浴びているサービスでもある。今後も「SORACOM Air」は提供していくという。そこが気になるのは、ソラコムがNTTドコモの回線を利用したMVNOでもあり、ドコモの代理と考えると、KDDIにとってはちょっぴり複雑な関係といえるからだ。

「SORACOM Air」と「KDDI IoT コネクト Air」は同様のサービスだ

もちろん、ソラコムのサービス(ドコモ回線)ではなくKDDI回線を利用したい、もしくは両方の回線を利用したいという企業もあるだろうが、KDDIがIoT分野で成功を収めるには、何とも心許ない。そもそも、KDDI単独でサービス展開を図るべきだったのでは? と思えてしまう。

KDDIはどうするか

その点に関して、KDDIは急激なIoTのニーズの高まりに対して、いち早く商用サービスを提供するためにソラコムと共同開発したと説明する。一から仕組みを構築するよりも、ソラコムと共同開発を行い、KDDIの強みを生かしたほうが得なのだろう。

その強みのひとつが営業力だ。企業のIoTの利用意向について「企業内でのコンセンサスが取れたような状況」「経営陣からのIoT利用の指示が出始めたような段階にある」というのがステージだ。そうした状況において、サービスを用意して、待ちの姿勢を貫くのではなく、全国のKDDI営業ネットワークを活用して積極的に攻めることが有効と見ているようだ。

営業力だけではない。アプリケーションやクラウドサービスといった上位レイヤー部分でも差別化を図れるのもKDDIの強みだ。IoTにはネットワークを経由してデータを集め、それをアプリケーションで表示、状況を人間に認知させる必要がある。通信部分だけではなく、上位レイヤーで勝負をしていこうというのがKDDIの戦略だ。IoTを巡るビジネスはまだ始まったばかりであり、こうした戦略がKDDIの想定どおりに進むのか。評価をするには少し時間がかかりそうだ。