大容量プランはiPhoneを好む若い世代向けの施策

しかしなぜ、ソフトバンクはギガモンスターによる高速通信容量増大を打ち出すに至ったのだろうか。その理由を考えると、iPhone 7/7 Plusの発売というのが、大きなポイントになるといえそうだ。

iPhoneは日本で最も人気の高いスマートフォンであるが、中でもiPhoneに強いこだわりを持ち、iPhoneを欲している人達は誰なのかと考えると、それは若年層、中でも女子を主体とした学生層ということになる。

iPhoneのブランド力と価値は、特に若い世代であるほどiPhone高いとされているのに加え、この世代は同調圧力も強いことから、皆と同じiPhoneを持つことが重要となっているようだ。最近では女子高生などの間で、iPhoneは「iPhone」、それ以外のスマートフォンは「スマートフォン」と明確に区別して呼ぶという話も耳にするほどで、そうした傾向からも若い世代におけるiPhoneの人気が絶大であることをうかがわせる。

しかもiPhoneに強いこだわりを持つ若い世代は、スマートフォンを積極的に利用する傾向が強い。中でも最近伸びているのが動画サービスの利用だ。「YouTube」などは古くから若い世代に人気を集め、YouTuberらも若い世代から大きな支持を得て人気となった経緯がある。さらに最近では「ツイキャス」「LINE LIVE」など誰でも利用できるライブストリーミング系サービスの利用が拡大しているほか、「AbemaTV」など若い世代にターゲットを合わせた動画ストリーミング系のサービスも登場している。

そうした動画サービスを若い世代が積極的に利用すると、問題となってくるのが高速データ通信量を多く消費してしまうことである。若い世代は自宅のWi-Fi利用を利用する上で制限があることも多いため、データ定額サービスの高速通信容量を消費して動画を視聴することが多いようだ。

それゆえ、毎月の高速通信容量をオーバーしてしまい、通信速度が低速になってしまうことを恐れる傾向も強くなってきているという。かつてモバイルでのデータ通信が従量制だった頃、通信のし過ぎで高額な料金が請求される「パケ死」という言葉が使われていたが、最近ではその「パケ死」が、毎月の高速通信容量上限を超えてしまうという意味に変化し、若い世代の間で頻繁に使われるようになってきている。

そうした若い世代の動向を意識し、ソフトバンクは若い世代に人気のiPhone新機種が発表されたタイミングで、従来より大容量のプランが安価に利用できるギガモンスターを発表するに至ったといえそうだ。ちなみにソフトバンクは今年1月、25歳以下の若い世代を対象に、毎月6GB分の高速通信容量を36カ月間プレゼントする「ギガ学割」を展開しているが、ギガ学割はギガモンスターの提供に向け動向を探るためのキャンペーンだったと見ることができるかもしれない。

1月12日に発表された当時の「ギガ学割」。若い世代向けに向け36カ月間、高速通信容量をプレゼントするキャンペーンであった(後にプレゼントされる容量は倍増されている)