――発表会では、UPQ BIKE me01について「あまり数を出すつもりはない」と話していましたね。その理由を聞かせてください。

UPQのブランディングで大事にしていることは「シェアを取りたい」じゃないんです。シェアを取りたい=売り上げ伸ばしたい、という結果が昨今のものづくりの危機を招いていると思っています。私達は数を作ることを目的にしていません。ただ、作って赤字というわけにもいかないので、ペイできる最小数で、市場にインパクトを残せたらいいなと思うわけです。

モノのあふれている今だからこそ、そういうものづくりができる時代だと思っています。

――2015年7月の起業から1年が経ちました。意識が変わった部分はありますか。

2015年末時点で投資した費用が全てペイされたので、戻ってきたお金を2ndシーズン製品の開発や量産品を作るコストに回したり、UPQ BIKE me01を作ったりしています。

1年でかけた資金を回収できるとは自分でも想像していなかったのですが、「つくって売る、つくって売る」を繰り返せるように、これからも新しいカテゴリに挑戦しつつメーカーとして育っていきたいと思います。

最初に会社を起ちあげて、ビジネスになるかどうか、次のモノ作りができるかどうか、メーカーになれるかどうかという部分を必死でやった結果、「できるんだ」という実感に変わりました。そこからようやく、今ジャンプしている状態です。それが2ndシーズンで、その延長線上にバイクが入ってきています。

ここはもう終わったよと言われるカテゴリの製品ほど、固執してやっていくと面白いんじゃないかと。私らしさというか、そこに興味があるのが。

2ndシーズンでは12種19製品の新製品が発表された

直近で興味があり、挑戦中のこととしては「海外でも日本と同じくらいの規模で売れるものを作る」です。そうは言っても、海外は厳しいよと岩佐さん(※Cerevo代表取締役の岩佐氏)にも言われるんですが、だからこそ面白いんじゃないですか、難しいパズルを解く方がわくわくしませんか、と。そういう意味での意識は、起業前というより、メーカー時代(※中澤氏は以前カシオ日立に在籍していた)からも何も変わってはいないんじゃないかと思います。

一方で、進んだ分見えている世界も変わってきています。UPQも1年で成長し、メンバーのうちひとりでもいなくなったら回らなくなると思っています。皆がいて、成長していって、「つくって売る」を繰り返していってようやく、次のステージが見えて、チャレンジできるようになると。

今はどうしたらやり続けられるかなと考えるのが面白いです。かつそれが、儲けたいからではなく「楽しいから」、という環境を保ち続けたいと思います。

――ありがとうございました。