――競合する製品はありますか。

カテゴリとしては、折りたたみ式のおしゃれ自転車とか、キックスケーターとかですかね。モノは違いますが、そういうカテゴリの製品で電動でもいいんじゃないかと思います。車に載せて持ち運べて、行った先で小回りがきく。嗜好品のカテゴリとしては、ものすごく「アリ」なんじゃないかと。

――日本では珍しい折りたたみの電動バイクとなると、開発にはいろいろな課題があったのではないでしょうか。

一番の課題は、道路車両運送法の原付の保安基準に適合させることでした。たとえば、前方の方向指示器はライトの中心同士で30cm離れていないといけない。でも、UPQ BIKE me01の車体幅は約20cmなんです。本体デザインの大きな課題でした。

ナンバープレートも海外と日本では全く違い、白色のナンバー灯も必要です。海外向けのバイクをベースにすると、日本の法規制に合わせるために、多くのパーツを電気的に新規開発しないといけないんですよね。アメリカ向けにバイクを作ってきた経験のある中国の工場でも、日本で必要な電気パーツを説明すると「そんなの聞いたことない」と言われる始末でした。

中国の工場にはバイクの生産経験がありますが、日本で当たり前の感覚を理解することは難しい。また、彼らは、私達が家電しか作っていないと思っているので「バイクに詳しくない奴が何を言う」という態度で来る。そこを交渉する大変さもありましたね。原付が走っている動画を撮影して、「日本の道路状況はこうだから、絶対にこの機能、このパーツが必要だ」と伝えたり。

試乗会での様子。写真は開発中のモデルだが、ハンドルの間に液晶表示のメーターがあり、後部にはナンバープレートも付属している

――試乗会ではベースのモデルがあるという話でしたが、どの部分がUPQ仕様になるんでしょうか。

金属のフレームや金具などの部分を、ベースモデルから採用しています。タイヤは別途、メーカーのタイヤのラインナップを見て、検証して決めました。キーとその受信機はベースの仕様では安全ではないと判断し、ゼロから鍵工場で製造しています。

テールランプ部分も日本のチームのデザインエンジニアにPCB設計、ケース設計をしてもらい、ああでもないこうでもないと言いながら、実績ある中国のテールランプ工場で生産しました。

バッテリも、充電器を専門に開発している工場で生産。電池は取り外しできることが絶対だと指示をし、PSEを取得しました。これができたのも中国での開発、生産や輸送、販売のノウハウが溜まってきたからだと思います。

UPQ BIKE me01(開発中モデル)の後輪タイヤ部分。直径315mm

バッテリは着脱式でフレーム中央に格納する

――実際の販売には、型式認定を取得する問題もありますよね。

バイクは今の時代、1,000台も売れたらヒットモデルだそうです。1,000台生産するような名の知れたメーカーの原付でも、型式認定を任意取得することはまずない、と言われました。割に合わないからとの見解だそうです。同時に、販売して台数をみてからでも型式認定を取ることはでき、基本どのメーカーも輸入者もこの方法だと知りました。

つまり、道路車両運送法の原付の保安基準の適合内容の開示がエビデンスとなるということです。