――なぜ電動バイクだったんでしょうか。冷蔵庫や洗濯機、お料理グッズなど、もっと「家電らしい」IoTガジェットがありそうですが。

なぜバイクかというのはよく聞かれます。UPQ BIKE me01の構想は2015年の10月くらいからでした。UPQのポリシーのひとつとして、世の中で一部の人だけが知っていて盛り上がっているけれど、一般の人にその良さが伝わっていないものを、わかりやすくカタチにする、というものがあります。この時は、セグウェイのようなものは海外だったら移動手段になるのに、日本でなぜ乗れないのかと話したりしてました。

携帯電話を筆頭に日本の家電はガラパゴスと言われていて、独自の進化を遂げているといわれることがあります。逆に、海外では普通に使っているものが、日本では普及しないこともあります。

今回発売した「電動の折りたたみバイク」という乗り物は、数年前からアメリカやヨーロッパ、そして中国や香港で、速度は15~18km/h程度しか出ないのですが、乗られているのをよく見かけたものです。日本の公道で使用するには、最低限、道路車両運送法の原付の保安基準に適合させないといけない、ということが調べてわかりました。逆にいえば、適合させれば日本で乗れる、と。

セグウェイは現在そのまま公道を走ることはできず、自治体などが公道走行実証実験を行っている。写真は東京都世田谷区二子玉川周辺地区で開催された、セグウェイ公道走行実証実験における屋内試乗の様子

バイクは、それこそキーボードやスマホとはサイズやレベルも違いますし、「人が乗るものは家電ではないんじゃないか」と言われたりもしますが、私にとっては、電気で動くものであれば、電化製品の延長上だと思っています。

日本で、公道でこのバイクが走ったら、皆面白いと思うし、びっくりすると思ったんですよ。

何かを進化させようとするとき、みんな複雑にするんですが、そうじゃなくて、よりシンプルにする。いろいろなものをそぎ落として、シンプルにして、面白いよね、というものを作っていきたいです。それが今回はバイクだったというだけです。